8月21日の朝日新聞に「病児保育、増える利用、苦しい現場」が載っていました。
・・・少子化が進むなかでも、利用者が増加傾向にある病児保育。「予約がとれない」という切実な声も少なくありません。背景には、コロナ禍を経て感染症への向き合い方が変化したこともあるといいます。現状や課題について、全国病児保育協議会の杉野茂人会長(70)に聞きました。
―病児保育の利用者が増加傾向なのはなぜですか。
一つは、社会構造の変化です。共働き家庭がさらに増え、核家族化も進みました。
もう一つは、コロナ禍を経て感染症への考え方が変わったことです。以前は多少の風邪症状があっても保育園などで預かってもらえることもありました。しかし現在は、熱がなくても、感染防止の観点から「念のため」と受診やお迎えを求められるケースが増えています。
単なる「かぜ」ではなく、アデノウイルスや溶連菌などの診断がつくと、保育園では一定期間預かれません。そうした時に、病児保育が必要とされる場面が増えています。
―こども家庭庁の調査では、病児保育が「足りている」「余裕がある」とする自治体が8割にのぼります。それなのに「予約が取りにくい」のはなぜですか。
利用者数と定員数を比べると足りているように見えます。しかし、病児保育が足りているかどうかは、充足率だけでは判断できません。
病児保育で預かる子どもの多くは、急性期の感染症です。施設内で感染が広がらないようにしなければなりません。発熱などの原因が分からない子どももいます。この子とこの子は別の部屋で預かろう、担当する保育士も分けよう、といった、病児保育特有の判断が必要になります。
定員に達していなくても「今日はこれ以上、受け入れない方がいい」と判断することもあります。単に充足率で見るのではなく、一人ひとりが必要な時に、安心して使えたかが大切です。
―同じ調査で、赤字の施設は6割を超えます。運営面の課題は。
まず、季節によってニーズに波があることです。夏や冬の感染症流行期には予約が集中しますが、そうでない時期は1週間以上利用者がゼロということもあります。一方で、人員は確保しておかなければなりません。
さらに、当日キャンセルが相次ぐという問題があります。子どもの体調が回復したのならいいのですが、保護者のなかには「どうしても仕事を休めない。どこかには預けたい」と、複数の施設を予約する人もいます。
病児保育では人数だけでなく、利用する子どもの病状なども踏まえて受け入れを調整します。そのため、利用の可否が決まるのは当日朝になることも少なくありません。キャンセルが出た時点でほかの利用希望者に空きを案内しても、すでに仕事を休んでいるなど、利用につながらないことがあります。一方、施設側は人員を確保しているため、人件費は発生します。
全国調査でも、キャンセル率は5割近くにのぼり、施設運営の面で大きな課題です・・・