8月13日の日経新聞に、谷隆徳・編集委員が「変質する地方分権 自治体の仕事どう減らす」を書いておられました。
・・・地方分権といえば、自治体の権限や自由度を高める改革だった。しかし、今では自治体の仕事をどう減らすのかが課題になっている。人口減やデジタル化が背景だ。「変質する」地方分権について考えてみた。
政府の地方分権改革有識者会議(座長・市川晃住友林業会長)が6月3日に開かれ、2026年に自治体から寄せられた385件に上る提案内容が報告された。医療や福祉分野が多く、関係する省庁別でみると総務省が最多で、厚生労働省や国土交通省が続く。
安倍政権時代の13年にこの有識者会議が設置され、14年から始めたのが「提案募集方式」だ。それまでの分権改革は政府が設けた委員会が包括的な改革案をまとめ、政府が段階的に実施した。新方式は自治体から毎年、改善を求める事務事業を募り、内閣府を窓口に各省庁と折衝し、実現可能なものは法改正する。
同会議は提案を求める際に毎年、「重点募集テーマ」を設けており、今回初めて「事務処理方法の見直し」が盛り込まれた。事務そのものをなくし、処理する主体を変える試みで、自治体から240件の提案があった。
「この3年ほど、行政サービスを持続可能にするための要望が増えてきたので今回、重点テーマに据えた」と内閣府地方分権改革推進室の稲原浩室長は話す。国、都道府県、市町村の役割分担について審議している政府の地方制度調査会の動きも背景にある。
具体例をいくつかみてみよう。ひとつは「都道府県経由事務」の廃止だ・・・
・・・提案募集方式が始まった当時は、権限の移譲を求めたり、国が定めた職員の配置基準などの緩和を要望したりする内容がほとんどだった。後者は今も多いが、前者の権限移譲は今回は2件しかなかった。有識者会議の取り組みは、もはや分権改革とは呼びづらい。
ただし、地方分権は目的ではなく、地方自治を強化する手段だ。人口減やデジタル化を踏まえて、形式的な手続きや実情に合わない事務を見直すことは悪い話ではない。
日本の行政システムは同じ業務を国、都道府県、市町村が協力して実施する「融合型」になっている。自治体の提案に基づいて仕事を減らすことはもちろん重要だ。しかし、国の仕事は企画から実施まで国がすべてを担い、自治体の仕事とはっきりと切り分ける「分離型」に変えないと、状況はなかなか改善しないのかもしれない・・・