月別アーカイブ:2026年8月

鎌田先生解説、熊本地震と今後の巨大地震

2026年8月12日   岡本全勝

鎌田浩毅先生が、8月6日のテレビ朝日「モーニングショー」に出演して、「“大地変動の時代”突入?熊本地震も一環か 専門家「南海トラフの前兆」指摘も」を解説しておられます。ウェッブで見ることができます「大地変動の時代 南海トラフ地震関連は?」。約30分あまりの番組です。
すごくよくわかる説明でした。

「週刊エコノミスト」の連載「役に立つ地学」第261回の熊本地震の解説(8月12日掲載)も、無料で読むことができます。

物価指数からネクタイが外れた

2026年8月11日   岡本全勝

8月8日の日経新聞に「物価算定からネクタイ除外、消費の変化映す 新たにプロテイン追加」が載っていました。
・・・総務省は7日、基準年の見直しを反映した消費者物価指数の改定値を公表した。家計の消費実態を踏まえ、新たにプロテインパウダーやペット保険料などを対象品目に加えた。ネクタイや婦人用ストッキングなどは除外した。
たこ焼きや通信教育なども対象に加えた。ネクタイや婦人用ストッキングのほか、ビデオソフトレンタル料なども除外した。一部品目の名称も変えた。「男子」「婦人用」はそれぞれ「男性」「女性」に改めた。「男子用コート」は「男性用コート」に「婦人用上着」は「女性用上着」とした・・・
総務省統計局資料「消費者物価指数2025年基準改定の概要

社会人になって、スーツを着てにネクタイを締めたときは、何かしら一人前になった気になりました。それまでは、学生の下宿暮らし。きちんとした服も持たず、楽な(だらしない)格好でした。
その後は、仕事に忙しく、スーツとパジャマとスポーツウエアだけで過ごしたことは、いくつかのところで書きました。その3つしか生活の場面がなく、仕事着は紺のスーツが「制服」でした。
あるときから「世間」に反抗して、クレリックシャツや上下そろいでない洋服を着るようになりました。みんなから変に思われましたが。それでも、ワイシャツ(色物でも薄い色)、ネクタイ、上着は必須と考えていました。
クールビスが導入されたとき、よいことだと思いました。ただし、私の基準から外れた「だらしなく見える服装」には違和感がありました。その後、どんどんと基準が緩くなりました。ネクタイが売れなくなるのは、当然ですね。

検索したらネクタイの話題は、何度も書いていました。「ネクタイ、8割減」「ネクタイはなくなるか」「ネクタイとスーツは伝統衣装になるか

輸出額、韓国と台湾に抜かれる

2026年8月11日   岡本全勝

8月8日の日経新聞1面に、「韓国と台湾の輸出額ともに初の日本超え 26年上期」が載っていました。
・・・韓国、台湾の1〜6月の輸出額が初めて日本を上回ったことが分かった。人工知能(AI)向け半導体特需を受けて急伸した韓台に対し、日本は半導体関連の素材・製造装置に強みが限られ、恩恵に差が出た。世界が求める最終製品の供給で後手に回る日本のものづくりの現状を映す・・・

ここまで来ましたか。しかも、人口も日本の方が多いのです。韓国の人口は約5,200万人、台湾約2,300万人です。
私の見方を書こうと思ったのですが、川北英隆先生がわかりやすく解説してくださっています。そちらをご覧ください。「台湾と韓国に抜かれた日本

東京集中、発展途上国の現象

2026年8月10日   岡本全勝

東京一極集中「学」の勧め」の続きにもなります。川北英隆先生が、ブログに「地方本社の魅力」(8月8日)を書いておられました。「なぜ家が買えないか」(8月5日)も。
いつも、斬新な視点から経済や社会の問題を指摘し、切り込んでおられます。京都大学の気風でしょうか。そういえば、佐伯啓思先生は東大卒ですが、京都大学で教授でした。この説明は、やや強引ですかね。お二人とも高校(奈良女子大学附属)の先輩です。

東京への人口集中は、住む人にとって、とても暮らしにくい場所になっています。長距離通勤、とんでもない混雑、住宅費の高騰など。それを選んだのは住民ですが、それを選ばせたのは、東京に本社などを置く企業です。社員を大切に思うなら、地方に分散すべきです。

「日本経済は政府依存度が高く、首都であり政府機能の集まる東京に集中した。日本の東京集中は発展途上国の「賄賂型、政府癒着型スタイル」である」。その通りです。
もはや成熟国家になり、「官から民へ」と改革を進めて四半世紀以上が過ぎました。企業経営者、経団連、経済同友会には、地方分散へ舵を切ってもらいたいです。

平家の「都落ち」以来、都から離れることは、負けの印象があります。このような通念も変えなければなりません。
大勢順応に慣れた企業幹部には、大胆な方向転換は期待できないでしょうか。「異論や逆張りの発想の重要性

官民投資のあるべき姿

2026年8月10日   岡本全勝

7月28日の日経新聞経済教室、赤井伸郎・大阪大学教授の「官民投資に役割分担の設計を、民間追随なければ失敗に」から。

・・・「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」では、高市早苗政権の「責任ある積極財政」路線の下、17の戦略分野について官民投資ロードマップに盛り込まれた施策パッケージを着実に実行する方針が盛り込まれた。2040年度までに累計370兆円超の投資が予定される。
筆者の整理では、官民投資における役割分担は以下の5つのポイントにまとめられる。▼政府が投資予見性を高め、民間が投資実行を担う仕組み▼民間投資のボトルネック解消を政府が担う仕組み▼官民双方で需要創出を分担する仕組み▼財政措置により政府が直接的にリスクを引き受ける仕組み▼分野横断的な基盤整備により、個別分野で投資する民のリスクを軽減する仕組み――である。

官がリスクを取る際のカギは、民の投資リスクを減少させ収益性を高められるかどうかである。そうでなければ事業選定か、リスクの取り方に問題がある。重要なことは官民が適切に役割を分担しているかどうかである(図参照)。すべての施策には不確実性・リスクが伴う。官民の適切なリスク分担で、より大きな効果が期待できる。

社会には政治の変動・政策変更や自然災害など、民ではコントロールできない大きなリスクが存在する。それが原因で民が投資できない場合には、リスクを官が担うことによって将来の期待収益がプラスとなり、民間投資が可能となる。
官が担うことが望ましいかどうかは、リスクのタイプによる。政治・政策や自然災害については一般的に官が民よりも情報を持ち、リスク許容度も高いと考えられる。しかし事業性の見極めなど、本来であれば民が比較優位を持つ判断領域において官が先行してリスクを取ってしまうと、失敗につながる可能性がある。

過去の失敗事例として、官民ファンドのクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)や農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)が大きな損失を計上したケースが挙げられる。背景には公益性と収益性のトレードオフ問題に対する制度設計上の不備、事業リスクの見積もり・審査体制の甘さ、投資回収のコントロールの不備、高コストな組織運営、カントリーリスク・地政学リスクの直撃などがあったと考えられる。
官民ファンドの理念としては、政府が「アンカー出資者」としてリスクを先取りし、民間資金の呼び水となることが掲げられていた。しかし現実には政府出資比率が非常に高くなり、民間資金がほとんど追随せず、リスクが政府に一方的に集中する「呼び水効果の空洞化」が起きていた。
今回の官民投資ロードマップが前提とするリスク分担モデルはどうか。事業性の見極めが十分でないまま政府がリスク分野で先行投資を行うものの、民にとってはいまだ投資リスクが大きく、収益確保が見えないため、民間投資が追随しない――という落とし穴に陥る可能性がある・・・

・・・以下では、これまでの経験・教訓を踏まえ、より具体的に官民の役割分担の制度設計を考えてみたい。
第一に17分野を一律のリスク分担モデルで扱うのでなく▼研究開発の比率の高い分野(量子・核融合・次世代半導体など)▼大規模設備投資・量産能力構築が中心となる分野(造船能力増強や蓄電池・データセンターのインフラ整備など)――の2種類に区別する・・・
・・・第五に、意思決定主体の権限を明確化する。専門性と一定の裁量を持つプログラム責任者による機動的な判断(早期の見直し・撤退を含む)を可能にするガバナンス制度を設計する・・・
クールジャパン機構、回収率低迷6割