年別アーカイブ:2024年

子育て支援、施設整備からきめ細かな支援へ

2024年1月6日   岡本全勝

12月16日の日経新聞「データで読む地域再生」は「子育て支援 ソフト磨く」でした。
・・・少子化が加速するなか、子育て支援の充実で「選ばれるまち」をめざす自治体が広がる。保育施設などハード整備には一定のメドがつき、出産・子育て世帯の要望にきめ細かく応えるソフト施策を重視する動きが目立つ。日本経済新聞社と日経BPの情報サイト「日経xwoman」が主要都市のサービス内容などを調査・採点したところ、2023年は千葉県松戸市が2年ぶりにトップとなった・・・

・・・松戸市は妊産婦向け支援や保育の質など多くの項目で高得点だった。親子で遊んだり、専門知識のある職員と話したりできる「おやこDE広場」などの整備が代表的な取り組み。孤立しがちな妊産婦も気軽に訪れて様々な悩みを相談できる。駅周辺などに28カ所展開する。
保育所などを利用していない2歳未満の子どもがいる家庭や妊婦を対象に家事支援サービスも8月に始めた。ヘルパーが家庭を訪ねて家事などを支援すると同時に育児の相談にも応じる。児童1人につき年40時間を上限に1時間500円で利用できる・・・

詳しくは記事を読んでいただくとして。
困っている人への支援は、金銭支援、施設サービス、介助などの支援、話を聞くなどがあります。これまでは、金銭支援と施設サービスが主でした。これらは「定型的」な支援です。
そして、行政側からの「提供」とともに、困っている人の「声を聞いて対応する」ことが重要でしょう。すると、施設サービスだけでは対応できないことが見えてきます。
自治体が、国の決めた行政サービスを実施するだけでなく、住民の声を聞いて課題を拾い上げる。自治体の機能が発揮されているということです。

スマートフォンの多様な副作用

2024年1月5日   岡本全勝

40肩顛末記」の続きです。
40肩にしろぎっくり腰にしろ、運動不足と同じ姿勢を長時間続けることが原因の一つだと言われています。電車の中で、スマートフォンに熱中している人がいます。猫背になって、目を近づけ、その姿勢を長く保っています。この人たちも、40肩やぎっくり腰の予備軍ですね。

私はスマホを「猫背・近眼製造器」「脳力低下装置」「時間泥棒」「周りが見えない人製造器」「気配り破壊器」と呼んでいますが、「将来のぎっくり腰・40肩製造機」も付け加えましょう。

スマートフォンは、子どもたちにとって有害であることが報告されています。分別ある大人への悪影響とは違い、笑い話ではないので、ここには含めないでおきましょう。

若い女性の地方からの流出

2024年1月5日   岡本全勝

12月14日の日経新聞夕刊に「ジェンダー平等へ動く地方 若い女性の流出に危機感強く」が載っていました。
・・・若い女性の流出をどうすれば止められるのか―。地方がその解決の糸口としてジェンダーギャップ解消に乗り出している。伝統的な価値観が色濃く残り、女性に魅力的な仕事の少ないところもある。ただ現状に甘んじていては男女の人口比は崩れて未婚率が高まり、人口減は加速する。地元企業や地域住民を巻き込んだ試行錯誤が始まった・・・
詳しくは記事を読んでください。

地方から東京への人口移動が止まりません。大きな原因は、大学に進学したり就職したりした若者が戻ってこないことです。特に女性が戻ってこないのです。
10年近く前に地方の方と話していて、消防団員の減少が話題になりました。私が「この時代、男性だけでなく、女性にも声をかけないといけませんよ。どの程度、女性団員がいますか」と聞いたら、あきれられました。「岡本さん、若い女性は戻ってこないので、声をかけようにも地域には一人もいないのです」とのことでした。

男性に比べて女性の若手流失率が多い都道府県の数値が載っています。北陸、北海道、北関東などが、女性の流出が多いようです。
住みやすさ指標で高い順位の県で、なぜ女性の流出が多いか。この問題に詳しい天野馨南子さんに聞いたら、「そこに住むのがいやな人が出ていき、住みたい人が残っているので、住んでいる人を調査すると「住みたい人」が高くなる」という趣旨のことを教えてもらいました。納得。
この件については、また日を改めて議論しましょう。

フランス語の明晰性とその限界

2024年1月4日   岡本全勝

フランス語は明晰であると言われます。「明晰ならざるものフランス語にあらず」(Ce qui n'est pas clair n'est pas français.)は、18世紀の作家のことばです。何をもって明晰かどうかを判断するか、難しいですよね。それは神話だとも言われます。フランス語の単語の綴りと発音のずれ(発音しない文字がある)を見ただけで、明晰でないと思うのですが。

ただし、フランスは言語を明快にするために、努力をしています。国家機関のアカデミー・フランセーズが、フランス語の規範を定めているのです。アカデミー・フランセーズは、1635年にリシュリューが創設しました。中世の封建国家だったフランスを、近代統一国家・絶対王政の国に仕立て上げたのがリシュリューで、彼は統一国家言語を作ろうとしたのです。その反面、方言が抑圧されました。

もう一つ、色摩力夫さんが、著書『黄昏のスペイン帝国ーオリバーレスとリシュリュー』(1996年、中央公論社)で、スペインの哲学者オルテガの説を引用して、次のように指摘しています(337ページ)。
「フランス語は明快であり、明快なものはフランス語である」との格言が、自縄自縛に陥った。言葉と理念の明快を求めるのは美徳である。しかし、言語による「表現」の明快と、表現される「もの」の明快とは関係がない。「もの」には明快でなく難解なものも多い。難解なものをどのように表現するか。表現の明快を求めるあまり、難解なものまで明快であるかのように表現するのは虚偽である。フランス文化はこのような誤りに陥る危機にあるのではないか。

「官僚は政治家の道具ではない」

2024年1月4日   岡本全勝

12月24日の読売新聞、千正康裕氏の「官僚 政治家の道具ではない」から。

・・・官僚が外に出向く時間が取れない最大の要因は、国会対応です。「質問通告」では、国会の各委員会で質問に立つ議員から事前に内容を聞き取り、閣僚らの答弁を準備します。議員の質問通告が前日に届き、深夜残業することも日常茶飯事です。直前にならないと、実際に質問があるかどうかも分からないため、夜に予定を入れることはできません。現場に行きたくても、「行けるかどうか分からない」という前提では面会のアポイントをお願いできないのです。その結果、官僚の情報収集ルートは狭くなります。

国会では、これまでも質問通告の早期化を幾度となく申し合わせてきました。しかし、依然として改善は進んでいません。かけ声倒れに終わらないように、国会の委員会の開催が決定された日時と、各議員の質問通告時刻の公表をセットで行い、可視化する必要があります。官僚は、政治家が目的を達するための道具ではなく、公共財だと考えます。与野党が利害対立を乗り越えて協力し、国会改革を進めるべきです・・・

・・・官僚の業務は、国会対応以外にも増えています。その分、増員されるわけではないので、官僚の「労働密度」はおのずと高まります。こうした環境では、勉強時間が取れません。様々な現場を自分の目で見て、自分の足で歩き、自分の頭で政策を考えることがだんだんと難しくなる。政策立案能力を高めるために、もっと官僚に時間の余裕と裁量を与えるべきです。

そもそも深夜残業が前提の働き方では、自分自身の家族と過ごす時間も満足につくることができません。官僚も今の若手の多くは共働きです。昔の霞が関のように、家事や育児は家族に任せ、夜中までずっと職場にいても大丈夫だという人は少なくなりました。
理想は、ムダな仕事を排し、国会対応も効率化し、政策立案能力に優れた官僚と政治のリーダーシップが融合することです。僕の本意は「官僚に楽をさせてあげたい」のではなく、官僚が担っている政策立案機能は社会的に大切で、その機能が「壊れる」と国民が最終的に困るから止めたいのです・・・