連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第105回「産業政策と日本の発展」が、発行されました。
前回から、政府による市場経済への介入を説明しています。今回はその3番目「国民を豊にする」政策です。そこには、産業政策、科学技術振興、雇用確保と労働者保護、社会の持続などがあります。
まず産業政策です。財政の経済安定化機能とは別に、特定の産業について計画や規制、財政や税制などの手法を用いて支援が行われます。
1991年のバブル経済崩壊後、幾度となく巨額の経済対策が打たれました。それは景気低迷を抑える効果はあったのでしょうが、日本の産業が世界の競争から落後することを防ぐには効果がありませんでした。この30年間、先進国や中進国が経済成長を続けたのに対し、日本は停滞しました。1人当たり国内総生産(GDP)で米国などに差をつけられ、韓国に抜かれました。景気刺激策と産業政策とは別なのです。
日本は明治以来、産業政策を重要な国家政策として進めてきました。それが、一時は世界第二位の経済大国を実現したのです。