秋学期の準備

9月22日から、慶應大学での講義が始まります。秋学期は、地方自治論Ⅱ(金曜1限)です。春学期は週に2駒でしたから、少しは楽になります。ぼちぼちと準備を始めていたのですが、いよいよ本格的に取り組んでいます。
シラバスは春に作ってあるので、講義ノート、レジュメ、配付資料を準備しています。2010年秋に、慶應大学で地方財政を講義したので、そのときの資料が役に立ちます。とはいえ、7年も前のことなので、骨格を利用しつつ、全面的に更新する必要があります。
前回は、片山善博教授が総務大臣に就任され、ピンチヒッターでした。この授業を終えたら、3月に東日本大震災が発生して、私はそちらに駆りだされました。

地方財政に関しては、たくさんの教科書が出ています。7年経つと、入れ替わっていますね。この間に出た新しいものとして、
神野直彦・小西砂千夫『日本の地方財政』(2014年、有斐閣)
持田信樹『地方財政論』(2013年、東京大学出版会)
があります。授業でも参考書として使います。
また、
林宏昭他「入門地方財政第3版」(2014年、中央経済社)は、第3版が出ています。
中井英雄他「新しい地方財政論」(2010年、有斐閣アルマ)も使えます。

総務省から、新しい資料をもらいました。また、相模原市役所にお願いして、各種の印刷物をもらいました。
理論と数字だけは、学生に実感してもらえないので、予算書の現物はどんなものか見てもらいます。また、自治体の財政(予算)が、住民の暮らしとどのように関わっているかを知ってもらうためです。教科書だけを講義していたら、楽なんですがね。

近々ある講演(3つ)の準備を終え、連載原稿をひとまず片付け、講義の準備に励んでいます。とはいえ、連載は次の締めきりが追いかけてきて、もう一つ締めきりが迫っている原稿もあります。人間、同時にはいくつものことはできないものです。

2017年秋学期・地方自治論Ⅱ

2017年秋学期・地方自治論Ⅰ―役所の経営と地域の経営
(金曜日1限)。講義の記録

春学期(地方自治論Ⅰ)では、地方行政の仕組みを学びました。秋学期は、役所の経営(特に地方財政)と地域経営をお話しします。
地方自治体には、大きく分けて2つの仕事があります。
1つは、役所を運営し、行政サービスを提供することです。
もう1つは、地域の課題を解決することです。社会で生じているさまざまな課題、例えば子ども子育て支援、高齢者対策、産業振興など、住みよい地域をつくることです。
前者は役所という組織の経営であり、後者は地域の経営です。その仕組み特に地方財政と、地域の課題と取り組みを学びます。

(第1部 地方財政)
第1回 授業計画の説明
第2回 地方財政1―地方財政の概要
第3回 地方財政2―市のサービスと財政
第4回 地方財政3―税と収入
第5回 地方財政4―支出
第6回 地方財政5―地方交付税
第7回 地方財政6―地方公営企業
第8回 地方財政7―課題
(第2部 地域の経営)
第9回 地域経営1―地域の課題
第10回 地域経営2―地域振興
第11回 地域経営3―生活支援
第12回 地域経営4―被災地で町をつくる
第13回 地域経営5―地域の公
第14回 これからの地方行政
その他 総括とまとめ

さすが山川出版社。直ちに正誤表で対応。

先日「これも風化?」(2017年9月12日)を書きました。今日、山川出版社から、手紙で正誤表を出すとの報告が来ました。出版社の了解はもらっていませんが、手紙の一部を転記します。
・・・本来、あってはならない誤りがございましたこと、誠にお恥ずかしい限りです、次回増刷の折には必ず訂正させていただきます。また、弊社HPに訂正表を掲載し、今後は同封した訂正表を書籍に挟み込ませていただきます・・・
と、訂正表も同封されていました。社のホームページにも、正誤表が載っています。

原稿、編集、校正と何人もの目を、通っているはずです。まあ、私も原稿を書いていて、またこのホームページを書いていて、しばしば誤記をします。「人間は見落とすものだ」といえばそれまでですが、間違った内容が内容だけに・・・。
何人かの読者から、「これはひどいですね」との投書がありました。

被災地での求人支援

9月14日の日経新聞が「水産・観光の人材 被災3県に仲介 都内復興支援団体など」を載せていました。
・・・復興支援の一般社団法人RCF(東京・港)と人材サービスのビズリーチ(同・渋谷)は、東日本大震災で被災した東北3県の水産・観光業の専門人材確保を支援する。新事業の展開や販路拡大を目指す10社・団体を選び、首都圏などから経営やマーケティングに詳しい人材を募って結び付ける。企業と人材双方の新たな挑戦を手助けし、被災地の産業復興につなげる・・・
詳しくは原文を読んでいただくとして。
被災地では工場や生産設備が復旧したのですが、後継者不足、労働者不足に悩んでいます。そこで、国が人材確保支援に乗り出したのですが、この記事にあるように民間に委託し、そのノウハウを活用しています。

福島で原発で避難指示が出た区域も、順次帰還が始まり、企業が事業を再開しています。ここも、従業員不足が課題です。商工業だけでなく、保育園や介護施設もです。ここでも、職員募集に民間の力を借りています。「福島で働こう

明るい公務員講座・中級編36

『地方行政』連載「明るい公務員講座・中級編」の第36回「職場の無駄(4)資料作りその2」が発行されました。前回、パソコンが配備されたことで、資料作りの無駄が生まれたことを説明しました。特に、パワーポイントで、色や図形を工夫すること、そして矢印を使うことが、無用な時間を費やしているとお話ししました。

今回は、資料作りに時間がかかると言っても、実は資料の内容を考えることに時間をかけているのではなく、体裁に時間をかけていることを指摘しました。この指摘に、耳が痛い方もいるでしょう。
職員がダラダラ仕事をしていても、人件費はかかっています。大まかに言って、公務員一人あたりの人件費(給与のほかに退職金なども含めたもの)は約8百万円。それに電気代などを含めて年間1千万円ほどかかるとすると、1日で4万円、1時間で5千円かかっています。あなたが技巧に走っている間にも、税金を無駄遣いしているのです。
そして、課長として注意しなければならないことは、不要な資料を職員に作らせないことです。

今回の内容は、次の通り。
体裁に時間をかけるな、時間はコストを伴う、不要な資料を作らせない。