カテゴリー別アーカイブ: 2017年秋学期・地方自治論Ⅱ

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第5回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第5回目。先週の授業でたくさんの質問が出たので、今日はその補足説明から。
個人所得課税について、地方税である住民税所得割は、県税と市町村税を合わせて10%の定率課税、国税である所得税は5%~45%の累進課税です。これは、先年の税源移譲で、わかりやすくなりました(かつては住民税も累進課税でした)。しかし、国税の累進課税を説明しておかないと、学生は分かりません。
その前に、所得税の課税について、確定申告書の例を見せて、(収入ー経費=所得)ー控除=課税対象所得。これに税率をかけることを説明しました。私も自分で申告するようになって勉強したので、学生の多くは初めて見ることでしょう。未来の高額納税者になってもらう彼らなので、説明しておくことがよいでしょう。
法人課税は、地方税の法人事業税が外形標準課税になり、国税の法人税が所得課税なので、これも説明する際にはしやすくなりました。しかし、企業の6割が赤字決算だということも説明しておかないと。
消費税の多段階課税の仕組み、消費税は逆進性かについても、図を書いて説明しました。学生に聞くと、分かったという人と、わかりにくかったという人に別れました。

本論は、地方税の課題について。税収が少ないこと(かつては3割自治と呼ばれましたが、最近は4割自治に近くなっています)、地域間格差が大きいことを説明。そして、法定外税や超過課税について。しかし、課税を強化すると住民や企業は他の自治体に逃げる可能性があること。ここは、地方税の重要論点です。
あわせて、健康保険料、介護保険料、上水道料金の自治体間格差も説明しました。こちらの方も、大きいのです。
実際どうなっているのかを説明すると、理論や制度だけを説明するより、理解してもらいやすいですよね。学生の食いつきがよく読めて、楽しいそして内容のある1駒でした。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第4回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第4回目。地方税に入りました。税は、財政の基本です。

ところで気になって、学生諸君に、経済学、財政学、会計学を履修したことがあるかを問うと、ほとんどの学生が履修していません。う~ん、すると複式簿記を説明しても、通じませんね。
企業の幹部を目指すなら、社長を目指すなら、複式簿記は読めないと。法学部のカリキュラムには、ないのですかね。会計学までは手が回らないですが、私の授業では、財政の基礎はお教えしましょう。

一定税率と累進課税の説明は、住民税と所得税を税率を図示して説明すると、分かってもらいやすいです。
法人課税は、法人事業税の外形標準課税を説明しましたが、その前に法人税の所得課税の説明が必要でした。赤字法人の説明が必要です。
地方消費税は、消費税と一緒に説明したのですが、これは説明不足でした。多段階での課税と重複課税の防止、帰属地をどうするか、逆進性など、授業後に「分かりませんでした」との意見がたくさんあったので、来週、説明しましょうか。関心ある人は、自分でも勉強してください。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第3回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第3回目でした。
前回、予算の概要を説明しました。相模原市役所から提供いただいた冊子は、学生から「わかりやすかった」との評価でした。
予算書で見えることと見えないこととあわせて、フローとストックを説明しました。「今まで分からなかったのが、分かりました」と書いた学生がいました。経済学や財政学を履修していないと、知らないでしょうね。

今日は、予算の機能をお話ししました。機能の一つは、税金を中心とした歳入と歳出予算によるサービスの執行、資金の調達と支出という観点です。これは経済(学)です。もう一つは、住民の要望、議会による審査(予算案と決算)という、民主主義的統制です。これは、政治(学)です。
「地方財政」の「財政」は、経済(財)と政治(政)の結節点です。主体と作用を図示したので、学生からは「わかりやすかった」との感想をもらいました。経済学、財政学における「地方財政の地位と役割」は、地方財政学の主要論点の一つなので、日を改めてじっくり説明しましょう。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第2回目

今日は、慶應大学で地方自治論Ⅱの第2回目でした。今日は、前回に続いて、相模原市役所から提供してもらった住民サービス案内冊子「ナイスガイドさがみはら」を、少々丁寧に説明しました。学生にとって、市役所や市役所のサービスは、ふだんあまり縁がないでしょうから。それを踏まえて、市の予算を説明しました。

相模原市からいただいた「予算説明書」「主要施策説明書」など、分厚い議会提出資料を見せて(回覧して)、予算書ってどんなものかを見てもらいました。一般の方がこれを見ることは、まずはないでしょう。「欲しい」という学生がいたので、進呈しました。
もっとも、これらは数字の羅列で、あまりに細かく難しいです。公務員一年生の時に、徳島県財政課で、予算書の作成と校正をしたことを思い出しました。当時は活版印刷で、印刷所に行って「長時間労働」で、間違いがないか校正をしていました。

予算内容については、これもいただいた「予算事始」を配って説明しました。この冊子は、なかなか良くできていて、使いやすいのです。
たくさん印刷物を提供いただいた相模原市役所に、お礼をいいます。学生たちにも、好評でした。

地方財政の説明は、多くの場合、制度論や国と地方の関係などを説明するのですが。これまでの経験を踏まえて、説明の仕方や順番を変えることにしました。
自治体の職員に講義するなら、そのような学者的説明が良いのでしょうが、大学の学部生、多くは公務員にならない学生に話すには、まずは市民の暮らしと市の財政がどのように関わっているかを考えてもらい、制度論はその次にすることにしました。
予算で見える成果と見えない成果があること。予算で達成できることとできないこと。多い方がよいとは限らないことなども。

そして、細かいことを詰め込みすぎず、一つのことに絞って丁寧に説明するようにしました。私の講義、講演の欠点は、詰め込みすぎと早口、場面展開の多さなのです。これまでも、そのようにすることを試みていたのですが、より意識するようにしました。

慶應義塾大学、地方自治論Ⅱ第1回目

今日から、慶應大学秋学期の授業が始まりました。秋学期は、地方自治論Ⅱです。
今日も朝9時から、学生たちが熱心に聞いてくれました。資料を70部持ち込んだら、数枚余りました。
今日はまずは、今学期の講義計画と進め方を話しました。
「自治体の経営」といった際に、二つのものがあります。市役所の経営と、地域の経営です。
民間会社だと組織の効率化が利益を生みます。しかし、自治体の場合は、市役所組織を効率化するだけが、経営ではありません。地域の暮らしがよくなければ、よい市長とは言えません。市役所のコストカットだけでは、ダメなのです。企業なら、不採算部門を切り捨て、選択と集中ができますが、自治体では教育や福祉サービスをやめることはできません。「行政改革」だけでは、よい市長ではありません。

で、早速本論に入り、地方自治体の住民サービスを具体的に説明しました。抽象論より、身近な実例の方が分かりますよね。
また、相模原市役所からいただいた住民サービス冊子「ナイスガイドさがみはら」を配って、説明を始めました。これも、学生たちには好評でした。大量に提供いただいた市役所に感謝します。
ふだん受けている行政サービスは、空気のようなもので、意識しませんよね。しかし、私たちは、保育、教育、清掃、介護、道路など、朝から晩まで、生まれてから死ぬまで、かなりの部分を市町村役場の世話になっています。
この冊子は今日の授業では終わらずに、来週も使います。