失業率改善の内訳

日経新聞10月28日「失業率改善、もう限界? 雇用ミスマッチ厚い壁」が、グラフ付きで、かつわかりやすい解説をしていました。景気回復で、完全失業率が下がってきましたが、下げ止まる可能性があるのです。
完全失業率は、「景気要因」(景気が悪くて仕事がないことによって起こるもの)と、「構造的要因」(求人内容が、求職者の希望する仕事と異なるミスマッチで起きるもの)の2つがあります。このうち景気要因によるものが減少してきたのですが、構造的要因・ミスマッチは減っていません。
求人はあるのに応募がないという構造要因失業は、次の2つからなります。1つは、「労働条件のミスマッチ」(賃金が少ないとか非正規雇用なので、応募しない)です。もう1つは、「技能のミスマッチ」(その仕事に必要な技能がないので、応募できないもの)です。後者を減らすためには、職業訓練が必要になります。

3年以内に、半分が辞める会社

厚生労働省の調査で、大学を卒業して就職後、3年以内に仕事を辞めた人の割合は31%で、業種別では宿泊業や飲食サービス業で51%ということを、NHKニュースが伝えていました。すみません、厚労省の基礎資料のページを見つけることができませんでした。
教育・学習支援業が49%、生活関連サービス業・娯楽業が45%です。3分の1の人が、さらに業種によっては半数の人が、3年以内に辞めているということです。
従業員に問題があるのか、会社側に問題があるのか。この数字をみると、会社が若手職員を「使い捨てにしているのか」と、疑いたくなります。正規職員といいながら、期限付きのアルバイトと同じです。これは、本人にとっても、社会にとっても、大きな損失です。
一方、離職率が低かったのは、電気・ガスで9%、鉱業・採石業などで14%、製造業が18%です。「やってみたら、合わなかった」ということはあります。

アメリカのシリア攻撃断念。物事には裏がある。勝ったのはロシアかアメリカか

今年の8月、シリアで化学兵器の使用が確認され、オバマ政権が制裁のために武力行使を表明しました。しかし、議会の賛成を条件にしたことで、弱さを見せたと評価されました。さらに、議会の承認に手間取るうちに、ロシアの仲介で、シリアのアサド政権が化学兵器の放棄を表明し、武力衝突が回避されました。これで、ロシアの評価が上がり、アメリカの敗北とみる見方が多いようです。
ところが、実はアメリカが勝って、ロシアとシリアが負けたという見方もあるのだそうです。日経新聞、高坂哲朗編集委員の「敗れたのはロシア、シリア化学兵器問題の裏」(日経電子版10月24日配信、ニュースこう読む)。
それによると、「シリアは冷戦時代から自国軍人を旧ソ連に留学させて化学戦の技法を習得させ、冷戦後もロシアはシリアの化学兵器研究機関に物資や機材を提供していた。1997年の化学兵器禁止条約の発効後、ロシアは事実上シリアに化学兵器開発を代行させてきた。仮に攻撃があればシリアとの化学兵器協力が明らかになり、ロシアはメンツを失っていた。長年続いてきたロシアとシリアの化学兵器共同体を、一発のミサイルも撃たずに解体に追い込んだオバマ氏の手法は、なかなかにしたたかだ」なのだそうです。
では、なぜ、オバマ氏がロシアとシリアの化学兵器協力の詳細を暴露せず、あえてロシアに花を持たせたのか。それは原文をお読みください。

誤表示か偽装か

有名大手ホテルチェーンでの、レストランの食材の「誤表示」がニュースになっています。ホテル側は、「誤表示であって、偽装ではない」と説明しているそうです。ある人がこれについて、次のように評価していました。
「食材を誤って表示したと説明するのなら、安いブラックタイガーを高い車海老と表示をしただけでなく、逆に車エビをブラックタイガーと表示したこともあるのだろうか・・」。確かに、そのような例を示せば、利用者も納得するでしょうね。

改革を望まないドイツ国民。良いときには改革はできない

10月20日の日経新聞「日曜に考える。メルケル首相3選、欧州の安定は」、ドイツの新聞ツァイト紙の共同発行人、ヨーゼフ・ヨッフェさんの発言から。
「選挙結果の評価について」
・・現職首相の陣営の得票率が前回より8ポイントも伸びたのは歴史的だ・・議会はかつてなく同質になる。首相会派から左派党まで4政党が左寄りの社会民主主義だ。
強く面倒見のいい国を求める合意が社会に芽ばえ、競争重視で小さな政府や低税率を追うリベラル主義の理念の選択肢が大きく埋没した。現状維持を求め、急激な変化や10年前のような構造改革を望まない国民感情がある・・
「メルケル首相の人気について」
・・まさに有権者が望む存在だからだ。冷静と安定を絵に描いたような女性で冒険も方向転換もしない。ムティー(お母ちゃん)と呼ばれるような人柄だ・・
「ドイツに改革は不要なのか」
・・2020年代を見据えた改革は当然必要だ。生産性上昇が停滞し、輸出に頼る中国のようにいびつな経済構造で、補助金頼みの雇用も多すぎるからだ。債務水準も高すぎる。いまやドイツの大学は世界50位が最高。イノベーションの能力も高くない・・
・・だが次の政権が行動を起こすのは疑わしい。現状維持こそ素晴らしいのだ。ドイツは幸運児。失業率は低く、太平でよく運営されている。良いときに変えようとは思わないのが問題だ。危機意識からしか変化は生まれない・・