アメリカのシリア攻撃断念。物事には裏がある。勝ったのはロシアかアメリカか

今年の8月、シリアで化学兵器の使用が確認され、オバマ政権が制裁のために武力行使を表明しました。しかし、議会の賛成を条件にしたことで、弱さを見せたと評価されました。さらに、議会の承認に手間取るうちに、ロシアの仲介で、シリアのアサド政権が化学兵器の放棄を表明し、武力衝突が回避されました。これで、ロシアの評価が上がり、アメリカの敗北とみる見方が多いようです。
ところが、実はアメリカが勝って、ロシアとシリアが負けたという見方もあるのだそうです。日経新聞、高坂哲朗編集委員の「敗れたのはロシア、シリア化学兵器問題の裏」(日経電子版10月24日配信、ニュースこう読む)。
それによると、「シリアは冷戦時代から自国軍人を旧ソ連に留学させて化学戦の技法を習得させ、冷戦後もロシアはシリアの化学兵器研究機関に物資や機材を提供していた。1997年の化学兵器禁止条約の発効後、ロシアは事実上シリアに化学兵器開発を代行させてきた。仮に攻撃があればシリアとの化学兵器協力が明らかになり、ロシアはメンツを失っていた。長年続いてきたロシアとシリアの化学兵器共同体を、一発のミサイルも撃たずに解体に追い込んだオバマ氏の手法は、なかなかにしたたかだ」なのだそうです。
では、なぜ、オバマ氏がロシアとシリアの化学兵器協力の詳細を暴露せず、あえてロシアに花を持たせたのか。それは原文をお読みください。