「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ

生き様-仕事の仕方

案件の大きさと受け止め方の重さとは比例しない

こんなことを、考えたことがあります。
一つ一つの案件の大きさです。毎日起こる事件や抱えている課題には、重要性に差があります。ところが、個別案件の「客観的大きさ」(そのような物差しがあるとして)と、その時々に本人が受ける「重さ」とは必ずしも比例しないのです。
例えば、大きさ・重さとして、A100、B80、C50、D30の4つの案件を抱えているとしましょう。ある日に、AとBとを処理しなければならないとします。両方に十分な時間を割けないとすると、まずはAに全力投球します。そして、Bは順位が落ちます。翌日、CとDを片付けなければならないとすると、まずはCに力を入れ、残る力をDに注ぎます。両日を見ると、B80に投入した力より、C50に投入した力の方が、大きい結果になっているのです。
後で振り返って、「なんで、こんな重要なBに、十分な検討をしなかったんだろう」と思うときがあります。ABCDを同時に処理するなら、そんなことは起こりません。しかし、時間差があると、こんな結果になります。
人間にとって、仕事(勤務)の単位は、通常は1日です。「大きなBより小さなCに力を入れる」という不合理な結果を生まないためには、より長い単位で、仕事の重要性を判断しなければなりません。とはいえ、毎日の課題を片付けるのに精一杯なので、また次々と新しい課題が持ち込まれるので、なかなかそうはいきません。
これは、社会の事件も同じです。ニュースの少ない日の朝刊は、小さい事件でも大きな記事になります。大きな事件があった場合は、ほかの日なら大きな扱いになるニュースが、小さな記事になります。しかし、私たちは毎朝、朝刊の第1面を見て、そこに取り上げられているトップニュースを大きな事件だと思い、隅に追いやられた大きなニュースを小さなものと思ってしまいます。そして数日経つと、その評価間違いが修正され、大きな事件は記憶され、小さな事件は忘れられます。

ゴーン社長の意思決定法、3

昨日の続きです。「三菱自動車も反対されたが」(2016年7月27日)。
・・・成功する人は「決して失敗しない人」ではありません。状況が悪くなったことにすぐに反応できるから、成功につながるのです。誰でも失敗します。問題はいつ是正するか。とにかく速やかにやればいいのです。「悪い兆しが出てきた、ああどうしよう」とグズグズしていると大きな失敗につながるのです・・・
・・・大切なのは「ミスを早く検知すること」です。
米グーグルのようなソフトウェア企業は、このことをよく理解しています。彼らは最初にエラーがあると分かっています。最後に完璧な商品になるのは、ミスを早く見つけすぐに修正する作業を繰り返すからです・・・
なるほどと思います。みんな失敗に学ぶのです。そして、部下は全員がミスをしない優秀な部下とは限りません。職場にミスはつきものです。もちろん、それを少なくすること、致命的なミスを防ぐことが管理職の仕事です。でも、ミスが見つかったとき、そのときの対応で、上司の力量が問われます。
・・・学んだことはたくさんありました。結果を出せたことも大切なことですが、それより重要なのは99年に2兆円の債務を抱え、破綻させた社員たちが、再び日産を復活させたことです。私は化学変化を起こした触媒です。日産には成功する材料はあったけれど、反応を起こす人がいなかったのです。成功と破産を同じ人間がやったということ。これこそ、マネジメントの真骨頂です・・・
同じ職員が働いていながら、破綻する場合と、そこから立ち直る場合。すると、成功も失敗も、上司次第です。職員を奮い立たせる、良い言葉ですね。

ゴーン社長の人材育成講座、2

昨日の続きです。「危ない会社こそ好機だ」 (2016年3月9日)から。
・・・私もミドルマネジメントにいたことがある。極めて重要な経験だった。ミドルには上司、部下の中間にいる。リーダーの意思決定も知り、部下とともに現場も知る立場だ。やりがいのある仕事であり、いい経験になる。上司との関係で、嫌な思いをすることもあるだろうが、そのほうが勉強になることがある。
実はある上司は私を信頼してくれなかった。信頼してくれれば、もっと貢献できたのにと思った。しかし学ぶことも多かった・・・
・・・ミドルにとって危機の会社は素晴らしいチャンスだ。好調な会社だと違いを出せないが、苦しいからこそ、違いを生み出して、目立つことができる。だからこそ厳しい企業に入るべきだ。自分の力を示すチャンスだ。確かにリスクはあるが、そこでワクワクすべきだ・・・

・・・99年当時の日産は客観的な指標がなかった。信じがたいことだが、会社を示す指標がなかったわけだ。正確な従業員数を把握するのにすら2カ月もかかった。CFO(最高財務責任者)もいなかった。車種別の利益率など分からなかった。数字がないから何も見えない。唯一の手段は現場に行くしかなかった。
現在の日産は極めて健全な企業になった。車ごと、市場ごとで詳細な数値が分かっている。ただ、どのように従業員が思っているか、戦略を理解しているか、モチベーションはどうか、を知るためには現場に行く必要がある・・・
この言葉のとおり、現場に行ってみないとわからない、それもじっくり見ないとわからないものです。現場には、工事現場など仕事の現場・課題の状況と、職員の様子という組織・職場の雰囲気の、2つのものがあります。この項続く。

危機的状況の際の対応、ゴーン社長

日経新聞電子版「リーダーに戦略を聞く」、カルロス・ゴーン(日産社長)の発言「グローバル人材育成講座」(2016年3月8日)から。
・・・1999年の日産自動車は深刻な危機に陥っていた。危機的状況にあると、どのような優先順位でそこから脱却するかにある。10年後ではない。いま火事が起きている。どうやってこの状況をコントロールして脱出するかを考える。当時、どうやってこの火事を抑えるか、源はどこか、どうやって家を建て直すかを考えた。
15年後、20年後どうするかは考えていなかった。基本的な健全な会社に戻すこと。明確なビジョンはしっかりあったわけではない。本当に大丈夫か?ただ、それだけだ・・・危機的状況では明日を考えない。いまどうするか。その後、緊急事態がおわって、明日を思う・・・
東日本大震災直後に、その対応に当たったものとして、同感です。もちろん、漠然とした将来への見通しを持ちつつですが。

・・・スーパーマンは経営者にいない。マネジメントの重要なカギは学びのプロセス。学んで結果を出すことの繰り返しだ。成果をだせばパフォーマンスで評価される。リーダーは実績のみで評価される。無理だとおもわれる実績をだすと、すごい、優れているとの評価になる。
私にも弱点はある。説得力がないとか、間違った人選をしたなど、失敗は少なくない。優れたマネジャーは客観的に自分の中で、弱点を見極める人だ・・・
詳しくは、原文をお読みください。この項続く。

忙しいことは良いことだ

今週も、忙しい1週間が終わりました。4日しかなかったのに、へとへとです。ところで、昼も忙しいのですが、夜がいけません。さまざまなお誘いの上に、かつての同僚や部下が、「慰労会をしましょう」と声をかけてくれます。「当分埋まっているから駄目や」と返事したら、ある元部下から、次のような返事が来ました。
「了解いたしました。お忙しそうで、安心いたしました。笑」と。私が暇にしている姿を、想像できないそうです。「こら!」