カテゴリーアーカイブ:このページの歴史

更地のままの津波被害地

2013年10月3日   岡本全勝

時々、「2年半が過ぎても復興が進まず、市街地は更地のまま」という説明がついて、更地のままの津波被害地の写真が、新聞などに載ることがあります。
この記述は、間違いではありませんが、正確ではありません。すなわち、そのような場所は危険なので、高台に移転します。跡地は、利用方法を検討していますが、住宅は建てません。
移転先の住宅建設を急いでいるので、跡地の方は計画や工事は後回しにしています。意図的に、更地のままなのです。さらに言うと、まだ当分の間、更地のままです。「工事が遅れている」とか、「復興庁が悪い」と批判しないでくださいね。

藤沢烈さんのサイト

2013年10月2日   岡本全勝

民間人の立場からほぼ毎日、復興関係のニュースを伝えているサイトがあります。
「藤沢烈BROG」です。民間人、しかもエネルギッシュに現地を回り、また若者たちの意見を拾っています。うらやましくもあり、脱帽です。このサイトとともに、ご活用ください。

被災地域の住民活動への助成

2013年10月1日   岡本全勝

トヨタ財団が、助成対象に、「東日本大震災特定課題」を設けています。対象となるのは、被災地のグループが実施する復興まちづくりの取組みです。地震・津波被災経験地である奥尻島、玄界島、中越、阪神・淡路の復興経験並びに現在の実態についての現地訪問学習を支援してくださいます。
これまでも、東日本大震災からの復興をテーマに、さまざまな助成をしてくださっています。住民が主体になって地域の課題の解決に取り組むプロジェクトや、コミュニティの復興に向けた活動など、なかなか手の届きにくい活動を選んでいます。

持田先生の新著『地方財政論』

2013年9月30日   岡本全勝

持田信樹・東大教授が『地方財政論』(2013年、東京大学出版会)を上梓されました。先生は既に『財政学』(2009年、東大出版会)を出しておられるので、これで両輪がそろいました。
先生は、この本の特色を、「第1に、世界の理論的潮流に照準を定め、わが国の制度を新たな視点から照らし、あるべき政策を考察していることである」と書いておられます。」と述べておられます。
「〈理論〉を志向すると、地方財政の〈制度〉に関する理解は浅くなる。〈制度〉の解説を志向すれば、それと表裏一体の関係性にある〈政策〉に関心が傾き、根本にある〈理論〉が手薄になる。本書は、その難題に挑戦し〈制度〉・〈理論〉・〈政策〉を1冊の教科書で有機的に結合して、釣り合いのとれた議論を展開しようとした」と書いておられます。確かにそうですね。そのバランスが難しいのです。
続いて、「大手製菓会社の宣伝文句に『1粒で2度おいしい』というのがある。そのひそみにならうならば、本書は『3度』楽しめるはずである」とも書いておられます。
第2の特徴として、「最近の地方財政論の成果を吸収して、所得再分配における地方財政の意義と問題点をやや詳しく概観している。このため、本書では経費論を予算論の一部として展開するのではなく、予算論から独立した章を立てて(教育、医療・介護、福祉)、やや詳しく概観した。それによって、地方財政論における歳入論偏重ともいうべき傾向を緩め、経費論の位置づけを高めようとした。地方財政の役割を資源配分機能の世界に閉じ込めるのはやや時代遅れである、という真意をくんでいただければ幸いである」。この後段は的確な指摘で、かつて地方財政を論じていた者の一人として、耳が痛いです。
拙著『地方財政改革論議』も、参考文献として紹介してもらっています。「やや古いが岡本(2002年)は、地方交付税改革の背景や内容に関するわかりやすい解説」(p306ほか)。ありがとうございます。しかし、もう11年も前のこと、古くなりました。その後は、内閣や官房系の仕事で忙しく、地方財政とはすっかりご無沙汰になっています。
なお、先生の『財政学』は、以前このページで、詳しく紹介しました(2009年12月6日以下)。

大震災、二重ローン対策

2013年9月28日   岡本全勝

今回の大震災に際して、新しく取られた政策の1つに、二重ローン対策があります。
事業を再開したり、家を再建しようとしても、既に借りていた借金があると、その上に新しい借金が乗るのです。しかも、先にお金を借りて建てた工場や自宅は、津波に流されています。これでは、新しく借金はできません。二重ローン対策は、簡単に言うと、銀行との話合いで、借入金を一部免除してもらうのです。 漫画がわかりやすいです。
その中に大きく分けて2つあり、一つは事業向けのもの、もう一つは個人の住宅ローン向けがあります。前者は、東日本大震災事業者再生支援機構と産業復興機構が担っています。後者は、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」です。
これは、国・銀行・法曹界が作った指針です。ガイドラインには、次のように書かれています。
「法的拘束力はないものの、金融機関等である対象債権者、債務者並びにその他の利害関係人によって、自発的に尊重され遵守されることが期待されている。」
法律でもなく、一企業や銀行の方針でもない、新しい型の「行政手法」です。ソフトローに分類されるのでしょうか。
これまでに、相談件数は4千件あまり、債務整理が成立したのは500件あまりあります。