今日は、日本大学大学院での講義。順調に進んで、第3章「市役所の経営」に入りました。狭い意味での行政経営論です。まず第5章は、「組織管理論から経営論へ」です。従来の「行政管理」から、近年は「行政経営」と、範囲も言葉も拡大しています。たくさんの書物が、出版されています。それらは、各自で読んでもらうとして、私の講義は、それらを全体としてどう位置づけるかです。
民間企業のコーポレート・ガバナンスとの対比、マネージメントとアドミニストレーション、ガバナンスの違い。住民に対する成果と、住民に対する説明責任。明治憲法下での統治と、昭和憲法下でのガバナンスとの違いなど。さらに、市役所の経営だけでなく、地域の経営という視点まで、広げるべきことを論じました。
院生諸氏からも、次々と鋭い見方が指摘され、充実した講義でした。いずれ、この講義も、活字にしなければなりませんね。ところが、講義が順調に進むと、講義ノートと配付資料の準備分がどんどん少なくなり、自転車操業が苦しくなります。将来の話でなく、まずは来週を、乗り切らなければなりません。
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2010.12.01
今日は、慶応大学で講義。今回は、地方交付税の機能と仕組みです。私の専門分野です。「資料なし、目をつむってもしゃべれます」といったら、言いすぎですかね(笑い)。30年近く携わっていると、かなり要領よくわかりやすく、お話しできるようになりました。と、本人は思っています。話している途中で、いろんなことを思い出し、脱線したくなるのですが、それは最小限に抑えて。
あることに詳しくなるには、いくつかの段階がありますね。まずは、理解する、解説できるようになる。次に、全体像と細部の両方がわかる、仕組みだけでなく機能を理解する、一般の方にわかりやすく話せるようになる。さらに、限られた時間で解説できる、といったところでしょうか。結論からお話しすることが、短い時間で理解してもらう、一つのコツですね。
今週は、2度も慶応大学に行きました。
2010.11.27
今日は、日本大学大学院で講義。昨日、ネパールから帰ってきたばかりなのに。もちろん、出発前に準備していきました。
講義は、随所で脱線というか、議論の範囲を広げつつ、順調に進んでいます。今日で、第2部「自治体は地域を経営したか」を終了。今回の私の議論は、次のようなものです。
市役所の組織を運営することだけが、公共経営ではない。官・共・私の3つのシステム(場)を含めて、地域や国家がうまくいくように運営することが、公共経営である。また、個人が暮らして行くには、公共サービスや私的財と私的サービス提供だけではなく、他人とのつながり・社会的関係資本が必要である。日本の行政は大成功したが、次の課題への取組に転換することに遅れている。これからの地域経営は、働く場を中心とした「活力」と、他者とのつながりを中心とした「安心」が重要である、ということです。
次回から、第3部「市役所の経営」に入ります。ここからが、通常の公共経営論です。官僚として32年、県庁、府省、官邸と、いろんなところで勉強させてもらいました。その経験から、お話しします。
(授業の補足)
授業中に言及した本は、宮澤俊昭著『国家による権利実現の基礎理論ーなぜ国家は民法を制定するのか』(2008年、勁草書房)です。
人前でしゃべる
今日、自治大学校第2部課程では、スピーチの演習でした。そのための講義はすでに受けていて、課題も与えられています。今日は、190人の研修生が、10教室に別れて、行いました。そのために、講師が10人必要です。各教室では、19人の研修生は、4班に分かれます。
まずは、3分間スピーチです。それぞれの班で、1番目の研修生が3分間スピーチを行い、それを評価します。残りの4人にも、役割が与えられます。この部分の詳細は企業秘密なので、ここでは書きません。
若い公務員は、人前でしゃべる経験は、案外少ないです。しかし、これから幹部になると、人前でしゃべることが増えます。「嫌です」とか「私は不慣れなので」とは、言っておられないのです。私も今日は参観しましたが、正直言って、最初はみんな下手です。時間内に収まらない。何を言いたいのかわからない・・。このような研修は、座って聞くより、やってみることが一番身につきます。中には、上手な研修生がいましたが、彼はPTAなどの役員をしていました。
講師の一人が話していましたが、日本では「読み、書き、そろばん」と言います。今は、「読み、書き、パソコン」だそうです。しかし、読むと書くの前に、人はしゃべるのです。なのに、学校では「話す」を教えません。
つまらないことを長々話すことが、「話す」ではありません。決められた時間内に、そして短い時間で、必要なことを伝える。観客にわからせる。それには、一定の技術が必要です。学校で教えないことが、不思議です。
一番の習得法は、場数をこなすことです。それができない場合は、一度練習してそれをビデオにとって、見てみることです。自分の歌ったカラオケをテープで聴いて、がっかりしたという経験を、お持ちの方も多いでしょう。自分のしゃべりをビデオで見たら、もっと自己嫌悪に陥りますよ。私もそうでした。でも、それが現実なのです。
2010.11.17
今日は、慶応大学での講義5回目。今月は、3日が祝日、10日は私が中国出張、今週17日は講義、24日は大学祭で休み。11月は、かき入れ時なのですがねえ。
授業は、国と地方の財政関係に入りました。日本の地方財政を論じる際の、最も重要なポイントです。今回は、国と地方全体の財源配分の仕組みと、財源保障の意義を講義しました。次回は、各地方団体ごとに、この仕組みがどのように機能しているかを、お話しします。今週がマクロ機能、次回がミクロ機能です。
先週、行ってきた、中国の実情と仕組み(中国で考えたこと2010年)もお話しして、なぜ国家が地方自治体の財政を保障し、自治体間格差を調整しなければならないかを、お話ししました。経済発展が進む際、地域間と個人間(家庭間)で格差が生じます。簡単に言うと、生産性の高い工業や商業が栄える地域と、生産性の低い農林業の地域の差です。その差を放置し、個人の移動(住所の移動と職業の移動)に任せるのか、ある程度の範囲に収めるように政策を実施するのか。
ゆっくりと経済成長する場合は、なだらかに調整されるのでしょう。しかし戦後の日本と、この30年の中国は、経済発展が急速だっただけに、個人間と地域間の格差の発生は大きかったのです。日本は、それを工場分散、地方への公共事業投資、米の買い支え、交付税制度で均衡化しました。世界でも、成功した方だと思います。それでも、集団就職列車が、あったのです。
この分野は、私のホームグラウンドです。いろいろエピソードも交えて、お話ししました。学生さんたちの食いつきも、良かったです。