朝日新聞9月17日1面「危機の政党」曽我豪編集委員の「選挙偏重から抜け出せ」に、次のような記述があります。今回の民主党代表選挙結果についてです。
・・国民が期待する答えは、そこではない。選挙制度改革、官邸機能強化、脱官僚。政治再生の方策は多々繰り出されたが、今や権力をつくり出す政党の仕組みと作法のチェンジが必要な時代に移った・・
そうですね。1990年代前半に日本の政治のエネルギーの多くをつぎ込んだ選挙制度改革は、16年前に実現しました。そしてその後、「2大政党+その他の党」体制を生み、ついに1年前に、実質的には半世紀ぶりの政権交代を生みました。
官邸機能強化は、橋本行革、省庁再編、小泉政権で、いくつかの制度化と運用の成果を生みました。もっとも、官邸機能強化は、その時々の総理大臣と官邸の運用によるところが大きいです。それはまた、各省や党がどのような抵抗をするかにもよります。そして、脱官僚・・。
この1年で、政権交代だけでは、国民の期待する政策が立案され実行されるわけではない、ということが見えました。次の課題として、政党内での政策の集約と、大臣及び総理候補者の育成が、課題として浮かび上がりました。
民主主義とは、このようにして、一歩一歩進んでいくものなのでしょう。
カテゴリーアーカイブ:行政
誰が、地域社会の問題を解決するか
昨日の続きです。小中学校での問題行動、例えば、いじめ、教師への暴力、学級崩壊、さらには不登校など。これらの問題に、誰が取り組み、だれが解決するかです。
かつては、このような問題は、本人が悪い子であり、親のしつけが悪い、と片付けられていたのでしょう。しかし、これだけ数が増えると、一個人、一家庭の問題とは、言っておられなくなります。学校での問題だから、教師が悪い、教師の責任だとも、言っておられないのです。
では、学校での問題行動は、どうしたら減らすことができるのでしょうか。それを、誰が取り組むのでしょうか。教育委員会と教師に任せていては、改善しないでしょう。原因は、学校現場だけにあるのではないのです。
そこには、原因として、社会の変化があると言わざるを得ません。そして、家庭や当事者だけでは解決できない問題であるということは、個人の問題・自己責任の問題から、社会の問題に変化したのです。
たとえば、交通事故死者は、政府や自治体、国民の長年の取り組みで、大幅に減らすことに成功しました。速度違反や飲酒運転の取り締まり、シートベルトなど事故を起こしても安全な車の開発、信号機・ガードレールなど施設の整備によってです(2010年1月3日の記事)。
私は、「新地方自治入門-行政の現在と未来」で、地域の財産を、自然環境、公共施設、制度資本、関係資本、文化資本に分けて説明しました(p190)。そして、公共施設や制度資本はお金と技術があればできるが、関係資本や文化資本は人間関係であり、それをつくるのは簡単ではないと述べました。児童生徒の問題行動の多発は、この分野に属します。
しかし、地方自治体が取り組まなければならない課題です。もちろん、市役所だけで解決できるものではありませんが、地域の人たちや組織を巻き込んで、対策を考えることができるのは、市町村です。
地方自治体の仕事は、このような地域住民の不安を解消することに、重点が移っています。「モノを増やすことから、関係の充実へ」。これが、私の主張です。
児童の問題行動
文部科学省が、子どもの暴力行為などの調査結果を発表しました(児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査)。それによると、平成21年度中の、小・中・高等学校での暴力行為の発生件数は約6万1千件です。うち生徒間暴力が3万4千件、対教師暴力が8千件もあります。器物損壊が1万7千件です。
小・中・高・特別支援学校での、いじめの認知件数は約7万3千件です。高等学校での不登校生徒数は約5万2千人、小・中学校の不登校児童生徒数は12万2千人です(8月5日発表)。高等学校での中途退学者数は約5万7千人です。小・中・高等学校で自殺した児童生徒は165人もいます。
これらの問題は、依然として減っていません。困ったことです。
見込み違い
9日の朝日新聞環境欄が、ごみの管路収集を取り上げていました。管路収集とは、地下に張り巡らせたパイプを使い、街中のごみを真空ポンプで集める仕組みです。例えば、東京のお台場では、内径60センチ、延長15キロの管の中を、ごみが時速90キロで飛び交うのだそうです。
こうすることで、朝のゴミ出しが不要になり、収集車も要らなくなる、きれいで便利になると、期待されました。「未来都市」の「夢のごみ収集」と呼ばれたのです。
ところが現在は、お台場では、一日300トンを集める能力がありながら、使われているのは11トンです。その他の地域でも、同じようです。順次、廃止されているようです。
なぜ、こうなったか。資源ごみの分別回収が普及して、捨てられるごみの量が減ったのです。また、この仕組みだと、ごみが目に見えなくなり、分別が進まなかったとの批判もあります。よかれと思って企画したのですが、失敗に終わりました。
人間の知恵とは、この程度のもの。担当者は、悪気があって事業を進めたのではないのでしょう。負の影響や時代の進展を予測するのは、難しいということです。「税金の無駄遣い」と批判されそうですが、新しい技術の導入には、失敗もあります。