カテゴリーアーカイブ:行政

国家公務員、心の病

2013年3月16日   岡本全勝

人事院の調査によると、2011年度の長期病休者(病気やけがで1か月以上休んだ)国家公務員は、5,370人、全職員274,973人の約2%でした。うち、男性が4,186人(全男性職員229,601人の1.82%)、女性は1,184人(全女性職員45,372人の2.61%)です。
原因で最も多いのは、「精神及び行動の障害」の3,468人で、約65%を占めています。この数は、1か月以上休んだ職員ですから、職場にはこの数倍の「心の病の職員」がいます。

官僚の仕事は未来との対話

2013年3月9日   岡本全勝

かつて、イギリスの歴史家E・H・カーは、「歴史は、現在と過去との対話である」と表現しました(『歴史とは何か』1962年、岩波新書)。その言葉を借りると、私たち官僚の仕事は、「未来との対話である」とも言えます。
現在の社会が抱える問題に対し、それをどのように解決していくか。目標を立てて、それを解決する政策を進めていきます。課題を設定し、解決策を見いだし、現在ある財源、職員、ノウハウ、情報を動員します。
私たちが見据えなければならないのは、未来であり、責任を取らなければならないのは、将来の国民に対してです。歴史家や学者は過去を分析しますが、官僚は未来を作らなければなりません。
その際に、工程表を作り、関係者を巻き込んでいきます。「できる官僚」とは、それを上手にできるプロデューサーやディレクターでしょう。目標と時間軸と手法を提示して、作戦を実行することです。いつまでに何をするか。それには、どれだけの人や方法を利用できるか。
復興の仕事をしていて、自分の役割を見なおし、そんなことを考えています。

憲法は見なおすものか、不磨の大典か

2013年3月1日   岡本全勝

読売新聞は政治面で「憲法考」を連載しています。2月28日は「改正、世界では当たり前」です。このHPでもかつて紹介しましたが、日本国憲法は1946年の公布以来、半世紀余り一度も改正されていない、世界でも珍しい憲法です。
記事によると、戦後の憲法改正回数は、次の通りです。ドイツ58回、フランス27回、アメリカ6回、カナダ18回、イタリア15回、韓国9回です。この13年間でも、ドイツ11回、フランス10回、イタリア6回、スイス23回です。
もちろん、改正された内容や各国の事情を考慮しなければ、単純な数字の比較は意味がありません。基本的人権の保障などは、改正されないものでしょう。
しかし、憲法は「不磨の大典」(侵すべからず)という考えは、自らの統治構造や基本的人権を自らの力で見直すという民主主義とは相容れません。これまで、民主的と名乗る勢力が「憲法を守れ」と叫んだのは、ラベルの張り間違えか、民主主義のはき違えでしょう。
ところで、私が習った頃の大学の憲法の授業や教科書は、現憲法の解釈が主で、このような考え方もあるとか、このような改正も考えられるといった、未来への思考がありませんでした。
かつてこのHPで、ある教授の「理系の人間から見ると、文系の先生は過去の分析が主で、過去から現在を見て、現在で止まっているように見える。未来のことはあまり語らない。一方、工学は、現在の部分は産業界がやっているで、工学部はいつも5年先、10年先の未来を考えていないと成り立たない」という発言を紹介しました(2005年6月24日の記事

先進民主国家体制の危機、3

2013年2月21日   岡本全勝

・・・欧米民主諸国の危険は、それが死滅することではなく、硬直化していくことだ。予算圧力、政治的膠着、そして人口動態が作り出す圧力という、気の萎えるほどの大きな課題が指し示す未来は、崩壊ではなく、むしろ低成長と停滞が続くことだ。
泥縄式に危機をやり過ごせば、相対的な豊かさはかろうじて維持できるかもしれない。だが、ゆっくりと着実に先進国は世界の周辺へと追いやられていくことになるだろう・・
「改革する力を持たない先進国の産業民主主義のモデルがかつて存在した」。世界経済を支配していた時代を経て、先進国が成長率がわずか0.8%という時代を今後20年にわたって経験すれば、そうした解釈が出てくるだろう・・
アメリカ人、ヨーロッパ人が力を結集できなければ、彼らの未来がどのようなものになるかを知るのは簡単だ。日本に目を向ければ、容易に想像がつく・・・

最後の文章は、厳しい指摘です。外国人による日本評をありがたく承る必要はありませんが、オピニオンリーダーがこのように見ていること、そして影響力の大きい雑誌に載っていることを認識する必要はあります。
ところで、日本でもてはやされる「外国人による日本論」は、高く評価して自尊心をくすぐるものと、低い評価で日本はダメだという2種類に分類できます。そして、いずれもが、日本人(読者)が自ら考えていることと同じ論調のものをありがたがる=利用するのだと、考えています。すなわち、高い評価の場合はそれで自己満足し、低い評価の場合は「そうだよな」と言いつつ、内心では「いや日本は良い国なんだ」と自負しています。いずれにしろ、その「忠告」を受け入れ改革するつもりはありません。一種の「消費財」です。

先進民主国家体制の危機、2

2013年2月20日   岡本全勝

・・・「新たな民主主義の危機」にわれわれは直面しているのだろうか。アメリカの大衆は間違いなくそう感じている。いまや市民は政治家と政府機関に対して、1975年当時以上に大きな怒りを感じている。1964年に実施された世論調査によれば、「常に、あるいはほとんどの場合、ワシントンは正しい判断をする」という見方に、アメリカ人の76%が同意すると答えていた。だが、70年代末までには、そう答える人は40%代後半へと低下し、2008年には30%へ、そして2010年には実に19%へと低下していた・・・