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行政

氷河期世代、正社員9割超

2月7日の日経新聞に「氷河期世代、正社員9割超 男性、やっとバブル世代並みに 生涯賃金や貯蓄なお差」が載っていました。

・・・今国会で就職氷河期世代が抱える経済格差が議題に上る場面が目立つ。昨今の人手不足もあってパートや派遣社員から正規雇用に転じる人が増え、男性の正社員率は90%超とバブル世代並みになったものの、老後への懸念は消えていない。生涯賃金や貯蓄、年金受給額は他の世代と差があるためだ・・・

・・・「男性の正社員率は年齢上昇に伴って改善し、40歳代でバブル世代と同水準に到達した」。内閣官房が2024年12月の「就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム」で開示した資料にこんな記述がある。
もとになったのは東大の玄田有史教授の分析だ。玄田氏は1963〜67年生まれをバブル隆盛世代、68〜72年生まれをバブル崩壊世代、73〜77年生まれを就職氷河期前期世代、78〜82年生まれを就職氷河期後期世代と定義した。
総務省の労働力調査をみると、就職氷河期前期世代の20代後半時点の正社員率は男性で88.3%だった。就職氷河期後期世代は82.4%だ。バブル隆盛世代やバブル崩壊世代は比較可能な数字がないものの、玄田氏は「両世代ともに90%台半ばもしくはそれ以上」と推計する。

就職氷河期世代が大学を卒業した2000年前後は、バブル崩壊や金融危機を受けて企業が新卒採用を絞った時期にあたる。経済状況が好転するにつれて後から正社員になる人が増え、就職氷河期後期世代が30代後半になった時点の正社員率は89.9%、40代前半では90.7%とバブル隆盛世代との差が2.5ポイントに縮まった。
雇用問題に詳しい大正大の海老原嗣生招聘(しょうへい)教授は「2000年代の政府対策が奏功し多くの人が正社員化した」と話す。ジョブ・カード制度やトライアル雇用など、熟練度の低い労働者に訓練を積ませつつ働かせて正社員につなげる仕組みを例にあげた・・・

・・・一方で、氷河期世代には他の世代と比べた経済格差が残る。労働政策研究・研修機構の堀有喜衣氏が内閣官房の会議に提出した試算によると、正社員として同じように働いていても、あとから正社員になった場合は年収の平均が男性で約130万円、女性で約180万円低い。
堀氏は「将来の年金見込み額にも反映されるとみられ、高齢期まで影響する」とも強調した。過去30年と同じような経済状況が続く場合、1974年度生まれの人の4割弱は年金が月10万円に満たない・・・

記録、復興庁設置の経過

先日、防災庁構想について話しました。記録のために、復興庁設置の経過を書いておきます。

当時(2011年夏)は、復興本部で被災者の支援と被災地の復興に向けた政策の立案と実行に追われていました。仮設住宅建設が完了したのが秋でした。続いて、流された町の復興計画を作っていました。
それと並行して、復興庁設置の作業をしていました。このような新しい役所をつくることは、近年では前例のないことです。
組織の内容は、復興本部を基礎として、発展させることとしました。法案は、法制班を作って作業をしてもらいました。担当の阪本克彦参事官(総務省行政管理局、現・内閣人事局人事政策統括官)が、職員たちと長時間労働をして、短期間でやり遂げてくれました。法制班は、このころ同時に3本の新法を作ったのです。驚異的でした。緊急を要する事情で、平時では想像しにくい「突貫工事」ができたのだと思います。

私は、法案決定過程で、当時野党の自民党幹部の了解取り付けに苦労しました。何人かの方が、復興庁が直接、復興事業を担うべきこと、そのための組織を抱えることを主張されたのです。何度も通って、そのような職員を集めることが困難なこと(国土交通省などから移籍してもらう必要があるが、国土交通省も人が余っているわけではないこと)、現地の事業を復興庁と国土交通省などとで切り分けることが複雑なことを理解してもらいました。
それらを含めて、4か月で法案を閣議決定しました。

2011年6月24日 東日本大震災復興基本法公布。復興庁の設置を決定
11月1日 復興庁設置法案閣議決定
12月9日 復興庁設置法成立
2011年12月16日 復興庁設置法公布
2012年2月10日 復興庁開庁

世界の目に映る、日本の不平等

1月28日の朝日新聞「世界の目に映る、日本の「不平等」 国連の女性差別撤廃委、秋月弘子副委員長に聞く」から。

・・・ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位の日本。日本社会の男女の不均衡について、昨秋、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)も改善すべき点を指摘しました。委員会の副委員長を務める亜細亜大学の秋月弘子教授(国際法学)はジェンダーをめぐる「日本の当たり前は世界の非常識になっている」と話します。

―CEDAWの仕事はどのようなものですか。
家族関係などの私的な領域から政治経済まで、あらゆる分野でジェンダー差別をなくす措置を取るよう求める女性差別撤廃条約という条約があります。日本を含めて189カ国が締約しています。委員会は締約国の状況を審査し、解決策などを提案します。具体的には、私たち委員が1年に3回ジュネーブに集まり、1回に8カ国ずつ審査していきます。政府の他に、その国の市民団体などからも報告書を上げてもらい、そこに性差別があるのかないのか、精緻な「ジェンダーレンズ」を通して見ていきます。

――今回の日本への勧告にはどのように関わられたのですか?
独立性、公平性の観点から自身の国籍国の審査には一切関与できないことになっています。
ウェブサイトで公表されてから最終見解を読みましたが、ネットなどを中心に「日本の問題に口を出すな」という批判があがったことは非常に残念でした。

―日本がジェンダー平等に近づくためにはどのような取り組みが必要だと思いますか。
ジェンダーの問題は政治、経済、すべての分野にまたがっています。今は内閣府男女共同参画局が担当していますが、それでは十分ではありません。専門家を育成し、政策の立案や実行を推進するジェンダー庁をつくるべきです。
そして独立した国内人権機関も必要です。審査にあたって市民団体からCEDAWに提出された報告書は基本的に公表されます。しかし今回の日本審査では、公表された44の報告書以外に公表されない「極秘」扱いの報告書が20通近くあったそうです。
政治的な混乱や紛争があって、報告書を送ったことで国内で迫害や相当な嫌がらせを受けることが懸念される場合に非公表扱いにするのですが、日本も、差別を問題提起したことで攻撃される危険があるような状況になってしまったのかと驚きました。

業界団体の反対で法案が出せない

2月15日の読売新聞に「個人情報保護法見直し IT業界団体 法案提出の壁 与党の事前審査 難航」が載っていました。

・・・違反事業者に対する課徴金制度などを盛り込んだ個人情報保護法改正案の今国会での提出が危ぶまれている。「業界団体が改正案に納得していない」として自民党の閣僚経験者が法案提出に強く反対しているためだ。個人情報保護委員会は今年に入って、業界団体の求める規制緩和策を追加で公表するなど、譲歩を引き出そうとギリギリの交渉を続けている。だが、そもそも業界団体が法案に対する完全な「拒否権」をもつことは健全なのか・・・

・・・「個情法改正案は『C法案』。今のところ国会提出の見通しは立っていない」。政府関係者はこう明かす。
C法案とは、各省が国会に提出しようと準備を進めていた法案のうち、提出予定リストから漏れた「検討中法案」の通称である。いったんC法案になっても、その後の巻き返しで提出に至ることもあるが、「3月半ばがタイムリミット。それ以上調整が長引けば難しい」と関係者はみる。
改正案がC法案に回されたのは、与党の事前審査が通らないためだ。個情法の場合、第一関門は自民党内閣第2部会とデジタル社会推進本部で、ここで承認されないとその先の政調審議会、総務会に進めない。この「入り口」にあたるデジタル社会推進本部の実力派議員が「業界団体が納得しない法案は出さない」と譲らなかったとされる。

個情法は付則で法施行から3年ごとの見直しが定められており、今回は一昨年から検討が始まった。こどもの個人情報や生体データ、AI開発に必要なデータの取り扱いなど、論点は多岐にわたる。昨夏には意見公募を経て改正方針の中間整理もまとめられたが、経団連、新経済連盟、日本IT連盟などが反対。このため個情委は検討会を設け、特に反対が強い課徴金と団体訴訟について議論してきた。
有識者と消費者団体は「指導や勧告が中心の現行制度では、違反行為を抑止できない」「海外では既に導入され、国内でも多くの法令で導入済み」「対象は悪質な違法行為で、まじめな企業は心配ない」と主張したが、業界団体は「現行制度を有効活用すべきだ」「議論が尽くされていない」と反対し、結局、報告書には両論が併記された。

「報告書を読んでもらえれば、どちらに理があるかは分かるはず」。検討会に消費者代表として参加した情報通信消費者ネットワークの長田三紀氏は唇をかみ、「データ利活用は、消費者の事業者への信頼があって初めて進むもの。だが、いくら消費者が求めても、事業者が反対すると何も進まない」と悔しがる。
現在、党のデジタル政策の主導権を握るのはデジタル社会推進本部。その関心はデータ利活用に集中する。同本部が提言した「デジタル・ニッポン2024」作成のためヒアリングした対象も、経団連、新経連、IT連などの業界団体や企業ばかりだった。技術やサービスの複雑さもあり、同本部での発言権は一部議員に集中している。現状、事前審査を通すにはその議員の了解が必須で、議員が業界団体の意向を優先すれば、業界団体が法案の「拒否権」をもつ構図が生まれることになる。

だが、業界団体は日本経済全体の利益を代弁しているのか。
実のところ、経団連傘下の企業でも、その主張を苦々しく思う企業は少なからず存在する。既に海外の規制に対応しているグローバル企業からは「今の緩い日本の規制では、うちのように法令順守にコストをかけているまじめな企業がバカを見る」(メーカー)との声が漏れる。
AI関係業界でも開発用データの収集を容易にする改正に期待が高まっていた。「AI開発の環境整備が遅れれば、世界との競争にも大きな影響が出る」。プライバシーテック協会の竹之内隆夫事務局長は懸念する・・・

障がい児、18歳の壁

1月22日の朝日新聞夕刊「終わりなき育児に希望を3」「18歳からの居場所、作ろう」から。

・・・巣立ちの春といえば高校卒業の3月だろうか。解放感と寂しさの漂う季節を、障がい児や医療的ケア児の親は「18歳の壁」とも「崖」とも呼ぶ。
朝はスクールバスで特別支援学校に。下校後は放課後等デイサービス(放デイ)ですごし、仕事を終えた親は午後6時ごろ迎えに行く。親子の生活を支えてきた「命綱」が卒業と同時に一気に消える。
日中は生活介護や就労支援の施設に通うことになるが、始まりは遅く、午後3~4時には終わる。その後の行き場はなく、一人で過ごすこともできない。生活の激変で心身に支障をきたす子もいる。多くの親が力尽き、離職に至る。
悩み抜いた親たちが33年前に手探りで始めた「卒業後の居場所」が東京都世田谷区にあると聞き、認定NPO法人「わんぱくクラブ育成会」が運営する「ひかり」を訪ねた・・・

・・・平日の開所時間は午後4時から7時半ごろまで。日中の活動を終えた人たちが集まってきて、ゲームをしたり、好みの音楽をかけて踊ったり。以前は毎日参加できたのだが、利用者が60人近くなった今は、曜日ごとに週1回ずつしか通えない。こうした成人の居場所は都内でも数少ないため、希望者は増え続け、小さな場所と限られた職員で回すのは限界に来ている。
国の制度がない中で、世田谷区は10年前から「ひかり」の活動を市区町村の任意事業である「日中一時支援」に含めることで、一定の補助が受けられるようにした。それでも運営は赤字で「放デイ」など他の事業の収益で穴埋めしているのが実態だ・・・