カテゴリーアーカイブ:行政

次々と起こる新しい事態

2020年4月4日   岡本全勝

公務員の仕事は「前例通り」と言われることがあります。しかし、次々と、これまでにないことが起きています。9年前の東日本大震災、そして今回のコロナウィルス流行です。ここに、日本の政治と官僚機構の力量が問われます。参考「3月19日に思う、災害対策の要点

もっとも、このような災害だけでなく、技術と社会の変化によって、対処すべき新しい事態も起きています。例えば、ガーファ(GAFA)など巨大IT企業による情報産業の支配、それらに対する個人情報の保護、他方でスマホやゲーム機による中毒もあります。
ゆっくりと進む社会の課題には、引きこもり、虐待、子どもの貧困、孤立などがあります。災害や事件事故は、ニュースとして大きく取り上げられますが、このような緩慢な変化は、見落とされがちです。

明治以来発展してきた日本の行政機構と行政手法は、昭和後期にすばらしい成果を発揮しました。しかし、その後に起きている新しい課題に、まだ十分対応できていません。それを、連載「公共を創る」で論じています。

経済発展、モノとサービスの充実に適した行政機構は、提供者側、事業者側に沿った組織と仕組みになっています。ところが、大震災でもコロナウィルスでも、被災者や困った人たちに応える必要があります。しかし、行政機構と発想はそうなっていないのです。
マスクの増産は、これまでの行政機構でできます。課題は、誰がそれを求めているか、その人にどのようにして届けるか。生活資金に困っている人は誰か、どのようにその人たちを把握し、救うかです。そのような案件を所管する省庁がない、そのような思考をする省庁がないのです。

改革のやりっ放し

2020年4月3日   岡本全勝

3月30日の読売新聞、松岡亮二・早稲田大准教授の[1000字でわかる教育格差]「政策提案「改革のやりっ放し」脱却を」から。

・・・日本の教育改革は「現状把握」を十分せずに根拠薄弱な目標を掲げ、予算不足のまま強行することで学校現場を疲弊させ、効果の測定をしない、という迷走を繰り返してきた。
教育は自身の経験と見聞で尤もっともらしい議論をすることができる上、成果はすぐには表面化しない・・・医者が診察と検査をせずに病名を断定し、何となく良さそうな投薬・手術を行い、経過観察をしないのと同じである。

この教育「改革のやりっ放し」を止めるために、具体的にできることは多い。たとえば、
(1)全国学力調査の改善(抽出にして保護者と教員も調査)、
(2)同一の子供を長期的に追跡する大規模パネル調査の実施、
(3)貧困率や教員非正規率など学校の特性を示すデータの作成・更新、
(4)審議会など政策議論時に全国調査による現状把握を義務化、
(5)制度変更前にデータ取得計画作成、などである。
これらの「現状把握」に基づき、一部の地域でランダム化比較試験などによる実践・政策の効果検証を行い、どんな「生まれ」の子供に「何」が効くのか研究知見を蓄積した上で、効果のある対策を広域で実施することができれば合理的かつ効率的だ・・・

引きこもり、8050問題

2020年4月1日   岡本全勝

3月30日の朝日新聞が1面で「孤立リスク、推計57万世帯 無職独身40~50代と生活費出す親の同居」を伝えていました。
・・・無職で独身の40~50代の子が高齢の親と同居し、生活費を親に頼っているとみられる家庭は2013年時点で推計約57万世帯あり、1995年からの18年で約3倍に増えていたことがわかった・・・
数値や具体事例が詳しく書かれています。原文をお読みください。

「8050問題」という言葉があります。親が80代、子が50代で、独身の子が親と同居し、親に養ってもらっている状態です。親の収入が少なく貧困に落ちっている場合や親が亡くなると共倒れになるのです。
内閣府は昨年、40~64歳で引きこもり状態の人が、61万人いるとの推計を公表しています。

非正規雇用の増加

2020年3月31日   岡本全勝

3月29日の朝日新聞「働くってなんですか プロローグ」は「働き手が元気になるために」は、新型コロナウイルスによる諸活動の自粛が、非正規雇用やフリーランスなど弱い人たちの生活に大きな影響を与えていることを解説しています。
そこに、1990年(平成2年、バブル期)と2019年の雇用形態別労働者数が、図になって載っています。平成の30年間の変化です。

数字だけを抜き出すと、次のようになります。各項目で、1990年、2019年の順に並べます。
正社員・男性 2438万人→2334万人。減少
正社員・女性 1050万人→1160万人。1割増
パート・アルバイト・男性 126万人→355万人。3倍
パート・アルバイト・女性 584万人→1164万人。2倍、600万人の増
派遣社員・男性 6万人→56万人。9倍
派遣社員・女性 21万人→85万人。4倍
外国人労働者 10万人→166万人。16倍

パート・アルバイト特に女性と、派遣社員、外国人労働者の増加が目立ちます。
日本の雇用者数は約6000万人ですから、600万人の増はその1割です。

NPOによる被災者自立支援

2020年3月26日   岡本全勝

3月24日の日経新聞に「被災者の伴走続ける 岩手・大槌の仮設住宅、今月末閉鎖 転居後の生活民間支援」が載っていました。

・・・東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町などで、孤立や生活の困窮など様々な問題を抱える被災者らを支援し続ける民間団体がある。公益財団法人「共生地域創造財団」(本部=宮城県石巻市)は3月末で応急仮設住宅を閉じる町から、災害公営住宅などへ転居する住民を支援するよう委託された。転居後の生活を見据え、文字通り生活全般に伴走する・・・

この財団は、大槌町や石巻市の委託を受けて、被災者の転居を支援しています。転居先の物件探しや引っ越しの相談にとどまりません。被災によって、家族が抱えていた引きこもり、貧困、病気が深刻になります。役場にも、福祉、教育、健康などの窓口はあるのですが、縦割りです。また、これまでの行政は、本人からの申告を待って動きます。困って声を出せない人は、漏れ落ちるのです。
これからの行政の姿を先取りしていると思います。