次々と起こる新しい事態

公務員の仕事は「前例通り」と言われることがあります。しかし、次々と、これまでにないことが起きています。9年前の東日本大震災、そして今回のコロナウィルス流行です。ここに、日本の政治と官僚機構の力量が問われます。参考「3月19日に思う、災害対策の要点

もっとも、このような災害だけでなく、技術と社会の変化によって、対処すべき新しい事態も起きています。例えば、ガーファ(GAFA)など巨大IT企業による情報産業の支配、それらに対する個人情報の保護、他方でスマホやゲーム機による中毒もあります。
ゆっくりと進む社会の課題には、引きこもり、虐待、子どもの貧困、孤立などがあります。災害や事件事故は、ニュースとして大きく取り上げられますが、このような緩慢な変化は、見落とされがちです。

明治以来発展してきた日本の行政機構と行政手法は、昭和後期にすばらしい成果を発揮しました。しかし、その後に起きている新しい課題に、まだ十分対応できていません。それを、連載「公共を創る」で論じています。

経済発展、モノとサービスの充実に適した行政機構は、提供者側、事業者側に沿った組織と仕組みになっています。ところが、大震災でもコロナウィルスでも、被災者や困った人たちに応える必要があります。しかし、行政機構と発想はそうなっていないのです。
マスクの増産は、これまでの行政機構でできます。課題は、誰がそれを求めているか、その人にどのようにして届けるか。生活資金に困っている人は誰か、どのようにその人たちを把握し、救うかです。そのような案件を所管する省庁がない、そのような思考をする省庁がないのです。