カテゴリーアーカイブ:行政

ジャレド・ダイアモンドさん、コロナ危機対応の要点

2020年5月12日   岡本全勝

5月8日の朝日新聞、「ジャレド・ダイアモンドさんに聞く」「新型コロナ 世界の一員アイデンティティー作る好機」から。新型コロナ危機にあたって重要なポイントを、5つ挙げておられます。

第1は、国家が危機的な状況にあるという事実、それ自体を認めること。危機の認識がなければ、解決へと向かうことはできません。
第2は、自ら行動する責任を受け入れること。もし政府や人々が祈るだけで行動しなければ、問題は解決しません。
第3に、他国の成功例を見習うこと。第4に、他国からの援助を受けること。
第5に、このパンデミックを将来の危機に対処するためのモデルとすること。

・・・欧州には、「有益な助言であれば、例えそれが悪魔からのものであっても従うべきだ」という言葉があります・・・
詳しくは原文をお読みください。

中島誠著『立法学』第4版

2020年5月2日   岡本全勝

中島誠著『立法学』(法律文化社)の第4版が出ました。
元は、九州大学助教授に3年間出向した際の講義をまとめたものです(2004年初版)。4版が出るのは、すばらしいですね。

内容は立法技術論ではなく、日本の立法過程論です。省内過程、政府内過程、与党内過程、国会内過程の段階ごとに説明しています。そして、政官関係、官僚制、マスコミ、政治主導などを取り上げています。
問題関心は、「政と官のありかた」です。官僚としての経験をもとに、立法過程を通して政官関係を分析しています。最近の変化も取り入れています。類書がないので、役に立つと思います。

コロナウィルス対策、自治体と国との協力

2020年4月22日   岡本全勝

コロナウィルス対策を、国と自治体が力を合わせて実施しています。全国知事会と国とも意見交換を行っているようです。4月17日の際に「全国を対象とした「緊急事態宣言」の発令を受けての緊急提言」が出されました。そこに、次のような文章があります。

6 地方における円滑な執務体制の確立
・・・また、各省庁からの通常業務に係る照会への回答等が各都道府県の職員の大きな負担となっていることから、こうした通常業務については休止・延期するなど、全都道府県が新型コロナウイルス対策に全力で取り組めるよう、国においても配慮すること・・・

自治体現場、自治体職員にとっては、とても重要なことだと思います。
各府省の公務員は、それぞれの仕事を完璧にこなそうと、さまざまな資料を集めます。また、自治体に文書を送ります。それぞれは小さな業務でも、それが積み重なるととんでもない量になるのです。
今回のコロナウィルス対策では、ふだんでも目一杯の仕事を抱えている部署に、すごい量の照会やら指示が来ていると想像されます。それを処理できない自治体現場では、パンクしてしまいます。
限られた職員と時間の中で、どれを優先するか。国の側で優先順位をつけることも難しいでしょうから、受けた自治体側の判断になります。すると、文書は机の上、パソコンの中に放置されることになりかねません。

砂原教授、政策会議の分析

2020年4月17日   岡本全勝

季刊『行政管理研究』2020年3月号に、砂原庸介・神戸大学教授他による「政策会議は統合をもたらすか―事務局編制に注目した分析」が載りました。ここで取り上げられる政策会議は、首相を長として閣僚や有識者が参加して議論する会議です。

これまでも、中曽根政権での第二次臨時行政調査会、橋本政権での行政改革会議といった審議会や私的懇談会がありました。小泉政権では、経済財政諮問会議が有名です。
安倍政権になってから、首相を長とする、特定課題の会議が、たくさん作られています。「内閣に置かれた会議一覧」。その事務局が内閣官房に置かれます。「内閣官房組織図

2001年省庁改革以降の政策会議の増加や内閣官房・内閣府との関係、政策の統合からの観点などが、よく整理されています。
小泉政権での経済財政諮問会議と、安倍政権での各種政策会議とは、全く機能が異なっています。
小泉首相は、この会議を使って、与党や各省の既得権に切り込もうとしました。反対者を押さえ込む手段として使いました。安倍首相の場合は、そのような与党や各省との対立は見られません。
また、経済財政諮問会議は、それまでの審議会が個別分野ごとに議論していたものを、一つのテーブルに載せることで、総合調整をしようとしました。社会保障と税財源との議論が一緒に行われたのです。一緒に行えたのです。それに対し安倍内閣の政策会議は、個別課題ごとに設置され、政策の統合機能はありません。

かつて、審議会は「官僚の隠れ蓑」と批判され、省庁改革の際に大幅に整理統合するとともに、役割を制限しました。私が担当参事官でした。拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』(良書普及会)2001年2月号、7月号。
審議会は、「官僚に決定権はない、しかし政治家が決めてくれない。そこで審議会という形を取って議論を整理し、その結果を政策とする」という、官僚主導の時代の手法でした。政治主導になると、首相や大臣の下で、官僚機構を使うのか、有識者も入れて議論するのか、どちらかによって意見の集約をするのでしょう。このほかに、与党で議論を集約する方法もあります。

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」3

2020年4月12日   岡本全勝

北村亘先生「2019年官僚意識調査基礎集計」2の続きです。「はい」「いいえ」の順に、割合(%)を並べます。

12.幹部には組織の将来像に関する明確なヴィジョンがある 36、64
前前回紹介したように、業務の増加や複雑化に対し、対応できていないことから、否定的な回答が多くなっているのでしょうか。

次に、職場の働きやすさです。かなりよくなっているようです。
13.直属の上司は、気持ちよく仕事をできるように配慮してくれる 82、18
14.直属の上司は、仕事以外のことについても十分に気配りをしてくれる 54、45
15.新しい業務が付加されたときや既存の業務を改善するときに同僚たちが協力してくれる 71、29
28.育児休暇などをとりやすい環境になっている 80、20
45.私は「ワーク・ライフ・バランス」をとることができている 78、32

処遇については、意見が分かれています。
19.給料は、自分の業績や成果を適切に反映している 50、50
20.官民含めて他の同様の組織と比較して、自分の給料は適切である 42、58
25.人事評価をもとにした昇進管理が適切に行われている 47、53
26.昇進の遅れが仕事のやる気を落としている 32、68