カテゴリー別アーカイブ: 行政機構

行政-行政機構

文化庁の京都移転

5月22日の朝日新聞文化欄「文化庁の京都移転を考える

井上章一・国際日本文化研究センター所長の発言から。
・・・私個人としては、文化庁の方々に、ややお気の毒だなという印象です。移転は地方創生事業の一環ですが、文化庁は様々な文化、芸術を担っており、東京のほうがメリットが大きいと言い続けました。移転が決まり、職員が何を思っているか。「なんで自分たちだけが都落ちしなければならないのか」という魂の叫び声が聞こえてきます。
京都側も抵抗したことがあります。京都は地方ではない。地方という言い方を変えてくれと。そういう京都側と、地方創生目的で移転した文化庁が、うまく折り合いをつけられるとは思えませんが、来てしまったので前向きに考えなければなりません。

霞が関の役人は、すべてを書類で判断します。京都では、文化が営まれている現場を目にして頂きたい。その楽しさ、おもしろさに目覚めてほしい。そうすれば、書類だけで動く霞が関文化が変えられるかもしれません。外交的な場での武器にもなるはずです・・・

河島伸子・同志社大学教授の発言から。
・・・文化庁の京都移転が「関西の活性化にどうつながりますか」とよく聞かれますが、京都の応援や関西の活性化のために文化庁が来たわけではありません。一番大事なのは、地方の視点を持つということです。
公演や展覧会といった文化のイベントや施設は、東京に集中しています。それぞれの地方に豊かにある文化への目配りが、今まではどうしても薄かったと思います。京都に移ることで、文化庁の職員も「地方都市とはこういうことか」と実感を持ってわかるのではないでしょうか・・・

長屋聡執筆「第二次臨調以降の行政改革施策」2

長屋聡・前総務省総務審議官が「第二次臨調以降の行政改革施策を振り返って(その1)」に続き、季刊『行政管理研究』3月号に、その2を書いています。

今回は、規制緩和・規制改革を扱っています。行政による社会経済への介入を削減することです。過度な介入を減らし、民間活動を活発にして、経済発展と国民生活の利益を上げようというものです。
主な規制改革の事例が、1990年代、2000年代、2010年代に分けて、表になっています。若い人は知らないでしょうから、よい資料になると思います。

行政改革が、かつてのような行政組織の改革から、それが行う作用の改革、社会への介入の改革に移っていることがわかります。

学校現場への文書半減の試み

4月20日の専門情報誌「官庁速報」が、「学校現場への文書半減=山梨県教委」を伝えていました。県の教育委員会から学校に、1年間で1500枚もの文書が送られているとのことです。
新型コロナウイルス感染症に関して、各省から自治体に膨大な数の文書が送られたことを、かつて紹介しました。役所で仕事をしているとき、送りつけられる大量の文書を「紙爆弾」と揶揄していました。あまりにたくさん来ると、処理できずに放置され「不発弾」のままで埋もれてしまいます。受け取る方の事情を知らずに、自分の方の都合だけで仕事をすると、こんなことが起きます。

・・・山梨県教育委員会は今年度から、市町村教委や学校現場へ送る文書を半減させる取り組みを始めた。国や各種団体からの通知を県教委が精査し、「送付しない」「市町村教委に留め置く」などと分類。共有の必要があるもののみ、要点をまとめた文面と共にグループウエアや校務支援システムで学校現場に送信する。
県教委によると、学校現場に送付される文書は年間1500枚以上に上る。事務負担を軽減し、教育の質向上を図る。教員の担い手確保にもつなげたい考えだ。

今後、国が行う調査やアンケートは、学校基本調査など法律に基づくものや、いじめ調査など児童生徒の命に関わるもの以外、県や市町村教委が分かる範囲で回答し、教員が対応する文書の数を減らす。
県による調査やアンケートは、必要性や方法を見直し、政策立案が目的の場合は必要最低限で実施。可能なものは標本抽出で行う。毎年定例的に行っている調査などは、2~3年に1回などに頻度を下げる・・・

自治体での昇任試験

コメントライナー第9回「人事評価、職場と職員を変える手法」にも書いたのですが、職員の昇任試験が行われている自治体があります。その数は、5都府県、369市区町村です。昇任試験の実施状況については、総務省が調査しています。「地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の17。

昇任試験は優秀な職員の選抜のためですが、機能はそれだけではありません。合格しなかった職員に、その後の処遇を納得させる機能も果たしています。人事評価だけでは、「上司と人事課は、私の能力を正当に評価してくれない」と不満がたまりますが、客観的な試験に落ちれば、その点について本人は納得せざるを得ないでしょう。

他方で、情実人事を防ぐ役割も果たしています。
かつて聞いた話ですが、役場幹部や議員から「特定の職員を昇任させるように」との圧力がかかる場合があります。きっぱりと断ることができればよいのですが、なかなかそうもいかない場合もあるようです。
その場合に昇任試験があると、「彼は試験に受かっていないので昇任させることができません」と断ることができるのです。その目的のために、試験を導入した自治体もあったようです。

新型コロナ、8か月間で通知1500件

新型コロナウイルス感染症が拡大した当初に、各府省から自治体あてに膨大な数の通知や連絡が出されました。私も2020年の春に、ある市長から、両手を30センチくらい広げて「こんなにたくさん来ても、読まないわ」と苦情を言われたことがありました。

専門誌『地方行政』の1月23日号に、高坂晶子・日本総合研究所主任研究員が、神戸市が8か月間に受け取った国からのコロナ関連の通知が、約1500件だったと書いています。