文化庁の京都移転

5月22日の朝日新聞文化欄「文化庁の京都移転を考える

井上章一・国際日本文化研究センター所長の発言から。
・・・私個人としては、文化庁の方々に、ややお気の毒だなという印象です。移転は地方創生事業の一環ですが、文化庁は様々な文化、芸術を担っており、東京のほうがメリットが大きいと言い続けました。移転が決まり、職員が何を思っているか。「なんで自分たちだけが都落ちしなければならないのか」という魂の叫び声が聞こえてきます。
京都側も抵抗したことがあります。京都は地方ではない。地方という言い方を変えてくれと。そういう京都側と、地方創生目的で移転した文化庁が、うまく折り合いをつけられるとは思えませんが、来てしまったので前向きに考えなければなりません。

霞が関の役人は、すべてを書類で判断します。京都では、文化が営まれている現場を目にして頂きたい。その楽しさ、おもしろさに目覚めてほしい。そうすれば、書類だけで動く霞が関文化が変えられるかもしれません。外交的な場での武器にもなるはずです・・・

河島伸子・同志社大学教授の発言から。
・・・文化庁の京都移転が「関西の活性化にどうつながりますか」とよく聞かれますが、京都の応援や関西の活性化のために文化庁が来たわけではありません。一番大事なのは、地方の視点を持つということです。
公演や展覧会といった文化のイベントや施設は、東京に集中しています。それぞれの地方に豊かにある文化への目配りが、今まではどうしても薄かったと思います。京都に移ることで、文化庁の職員も「地方都市とはこういうことか」と実感を持ってわかるのではないでしょうか・・・