自治体での昇任試験

コメントライナー第9回「人事評価、職場と職員を変える手法」にも書いたのですが、職員の昇任試験が行われている自治体があります。その数は、5都府県、369市区町村です。昇任試験の実施状況については、総務省が調査しています。「地方公共団体の勤務条件等に関する調査」の17。

昇任試験は優秀な職員の選抜のためですが、機能はそれだけではありません。合格しなかった職員に、その後の処遇を納得させる機能も果たしています。人事評価だけでは、「上司と人事課は、私の能力を正当に評価してくれない」と不満がたまりますが、客観的な試験に落ちれば、その点について本人は納得せざるを得ないでしょう。

他方で、情実人事を防ぐ役割も果たしています。
かつて聞いた話ですが、役場幹部や議員から「特定の職員を昇任させるように」との圧力がかかる場合があります。きっぱりと断ることができればよいのですが、なかなかそうもいかない場合もあるようです。
その場合に昇任試験があると、「彼は試験に受かっていないので昇任させることができません」と断ることができるのです。その目的のために、試験を導入した自治体もあったようです。