自分と異なる意見に耳を傾ける

3月2日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、キャシー松井さんの「逆境が力に」から。

「管理職になったばかりのころ失敗しました。部下から別の人へのクレームがあり、なるほどと思わせる内容だったため、すぐ他方を叱責しかけたのです。『自分の言い分もしっかり聞いてくれ』。もっともな意見でした。時間をかけて聞くことが大事と反省しました」

「今後のビジョンを決めるうえでも、自分と異なる意見に耳を傾けるのが大事です。これだけ変化の大きい時代。多くの情報が入ってこそ、正しい方向性を決められます。同意できなくても、なぜこう思っているのか理解しようとするエンパシーは必要です。聞いてもらったということ自体が部下の意識を高めます」
「気をつけたいのは、立場が上になるほど、自分自身に対して厳しい見方をしにくくなることです。匿名でもいいからフィードバックを受ける工夫をすることもリーダーに必要なスキルだと思います」

「率直な意見を聞かせてくれる人の存在は、仕事でもプライベートでも大事な存在です。私は若いころから『自分だけの取締役会(パーソナルBOD)』をつくってきました。メンバーは自分が頭のなかで選んだ人たち。解決できない問題が生じると、取締役会を”招集”する。要するに意見やアドバイスを聞いてみるのです。メンバーには同じ金融業界の人もいますし、業界外の専門家もいます。男性も女性も、また昔からの友人もいます。みなそれぞれに忙しく、ネットワークを保つのには時間も手間もかかりますが、必要な投資です」