カテゴリーアーカイブ:経済

鋭い経済分析

2026年1月20日   岡本全勝

このホームページで時々紹介する。川北英隆教授のブログ。山歩きの記も楽しいですが、本業の経済分析は、鋭いです。
例えば、「金融政策依存症候群」「猫の手も労働力の変」「政府が最初に出すべきは知恵
新聞の経済記事より、わかりやすいです。

時々、世相のぼやきも載っています。「東京銀蝿」「画一が壊す食文化」「インバウンド消費なんて悪や
こちらも、納得します。

日本の時間あたり労働生産性は28位

2026年1月12日   岡本全勝

日本生産性本部が、2024年の労働生産性国際比較を公表しました。
OECDデータに基づく2024年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値)は、60.1ドル(5,720円)で、OECD加盟38カ国中28位でした。就業者一人当たり労働生産性は98,344ドル(935万円)で、OECD加盟38カ国中29位です。
G7各国(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)もちろん、スペイン、トルコ、チェコといった国々にも負けています。
一人当たり労働生産性は、アメリカの54%程度です。主要先進7カ国の中では日本に次いで労働生産性が低いイギリス と比べても8割弱となっています。

日本の産業界のみなさん、奮発してくださいよ。

無制限な資本主義、是正を

2026年1月5日   岡本全勝

2025年11月16日の日経新聞、ジョセフ・スティグリッツ教授の「無制限な資本主義、是正を」から。

・・・1990年代初頭の東西冷戦終結後に米国主導で広がったグローバル資本主義が試練にさらされている。経済格差の拡大で社会は分断し、米国第一主義を掲げるトランプ米政権は国際経済・貿易に混乱をもたらしている。早くからグローバル資本主義に異議を唱えてきたジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授に聞いた・・・

1990年代から米国主導のグローバル資本主義に異議を唱えてきた。今月、20カ国・地域(G20)首脳会議の作業部会議長として、不平等の是正を求める報告書をまとめた。

―資本主義と民主主義は、第2次大戦と東西冷戦を経て国際システムの基盤となってきた。今はその2つが危機を迎えているようだ。
「資本主義が推進する多くの価値観、利己主義や近視眼的な視点は民主主義と相いれない。民主主義とはいかに協力して働くかということだ。かつて資本主義と民主主義は共存すると考えられていたが、今は資本主義が分断や利己主義を助長し民主主義と対立している。無制限の資本主義は大きな不平等を生む」
「資本主義の根幹は競争にあるはずだが、実際には独占資本主義に陥っている。経済力の集中は政治的不平等を招き民主主義に反する。自由民主主義と市場経済は大きな緊張関係にある」
「G20の報告書で提案した不平等についての国際委員会の創設に力を入れている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、地球温暖化の理解と対策を促したように、新委員会は不平等の根源を明らかにし対策の手助けをできる」

―ニューヨークで急進左派のマムダニ氏が市長に選ばれた。彼が唱える家賃凍結や増税策は不平等解消に効果的か。
「大筋で支持する。彼は米国民の不安を認識している。収入がニューヨークのような都市で生活するのに十分ではなく、多くの仕事で生活に十分な賃金がもらえない。彼は、多くの経済学者が見落としている点、一度アパートに入居すると大家が大きな支配力を持つことを理解している。人は簡単に引っ越すことはできない。家賃を安定させる制度づくりが必要だ」
――こうした政策に対し社会主義的だという批判がある。トランプ大統領が「狂った共産主義」と呼んだのは誇張にせよ、ビジネス界では、過度な再分配や規制が成長や経済の活力に悪影響を及ぼすという懸念もある。
「より平等な政策がより良い経済をもたらす証拠はある。従来は、平等を高めるには経済効率を犠牲にせざるを得ないといわれてきたが、私は平等主義的な政策が経済を向上させると論じている。不平等の代償は政治や社会だけでなく経済にも及ぶ。より健全で教育を受けた労働力は、生産性の高い労働力になる」

記事には、世界の富が上位10%の富裕層に偏在している図がついています。世界不平等研究所「世界不平等レポート2022」
所得では上位10%の人がが約5割を得て、資産では上位10%の人が8割近くを保有しています。それに対し下位50%の人は、所得では約1割、資産ではほとんど持っていません。

書籍が5年で1割値上がり

2025年12月31日   岡本全勝

11月22日の日経新聞に「書籍が5年で1割値上がり」が載っていました。理由は、印刷用紙と物流費の値上がりだそうです。
確かに、本が高くなったなあと思います。新書や文庫で、千円を超えるのですから。内容を考えると、それでも安いとも言えますが。

・・・書籍や雑誌の値上がりが加速している。出版業界を調査・研究する出版科学研究所(東京・新宿)によると、2024年の書籍1冊あたりの加重平均価格(消費税を含まない本体のみの価格)は1306円と5年で124円(10%)上昇。それ以前の5年間の上昇幅である66円(6%)を上回った。印刷用紙などの上昇や販売部数の減少が響く。
文庫は新刊のみの試算で801円となり5年で101円(14%)上昇した。手軽さが魅力だったが、最近は1000円を超える新刊も珍しくない。新書は99円(12%)高の925円だ。雑誌の値上がりはより大きく104円(18%)高の693円。「用紙代や物流費が高騰し、電子書籍の存在で初版部数が絞られる傾向も影響している」(出版科学研究所)・・・

・・・出版物市場の縮小は1冊あたりのコスト上昇など収益効率の悪化を招く。24年の紙の書籍・雑誌の推定販売金額は1兆56億円。5年で19%減った。新刊の発行部数を新刊点数で割った新刊1点あたりの発行部数は24年が約3600冊で11%減った。
雑誌の値上がりが目立つ理由には、掲載する広告の受注減少で売価の引き上げを迫られていることもある。SNSなどインターネットの情報に対抗するため、特集企画などで保存性の高い誌面づくりが進み単価上昇の一因になっているとの指摘もある・・・

米政策の失敗

2025年12月31日   岡本全勝

今年は「令和の米騒動」も、話題でした。政府の増産方針が撤回され、今後どのようになるのか、各紙が報道しています。問題は、今年のような米不足と価格の高騰だけでなく、担い手の高齢化と減少、そして海外と競争できない価格にもあります。

例えば、12月23日の日経新聞「コメ政策、問題はどこか」に、各国の米の反収比較が載っています。
10アールあたりで、日本は533キログラムなのに対して、オーストラリアは780キログラム、エジプトは722キログラム、アメリカは679キログラム、中国が567キログラムです。品質はわかりませんが。
12月30日の朝日新聞「(揺れるコメ改革)コメ増産、透ける「石破茂像」 掲げた「減反廃止」の理想、農水省は現実路線」によると、生産コストの平均はアメリカの4倍だそうです。

農業を事業として育てることも、農家を守ることも、失敗したようです。日本の農政は何をしていたのでしょうか、あるいは何を目指していたのでしょうか。