12月21日、読売新聞解説欄「日本の対外発信」、赤坂清隆フォーリン・プレスセンター理事長、元国連事務次長(広報担当)の発言。
・・今の世界の論調を支配しているメディアは、米国の二ユーヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙やCNN放送、英国のBBC放送やエコノミスト誌などであるという点だ。米国の外交専門誌フォーリン・アフェアーズも影響力がある・・
日本の発言力を強めるには、国内からの発信だけなく、こうした有力メディアに日本人の意見や主張がもっと載るようにすることが重要だ。だかそれができる人材は本当に少ない。例えば、この20年でフォーリン・アフェアーズに論文が載ったのは山崎正和氏、榊原英資氏、船橋洋一氏など数えるほどしかいない。
日本の文系の学者は何をしているのかとも思う。日本語で立派な論文を書き、高度な議論をしているが、国際的な影響力を強める努力が不十分ではないのか。理系の学者は世界の土俵で戦っているのに、文系の学者は「ガラパゴス化」しているように感じる。もっと世界にメッセージを発してほしい。言葉の壁は大きいが、あらゆる分野でそんな人材を育てるべきだ・・
私は、「日本語という非関税障壁に守られた世界」と呼んでいます。国内では評価されている(されていた)が、世界ではそうでもない。新聞、官僚、法学部などが、それに当たるでしょう。日本は、エリートが英語ニュースを読まなくてもすむ国、医学教育や大学院教育を英米独露でない自国語でまかなえる数少ない国です。これは、誇るべきことです。幕末以来150年間、欧米の学問と制度を輸入してきた成果です。
しかし、世界のトップグループに入ったとき、「翻訳と国内での消化」は、終わるべきでした。アジアの国々が経済発展で追いかけてきたとき、グローバル化が進んだときに、情報の輸入だけの一方通行では、世界で伍していけません。発展途上国の発想を、転換すべきだったのです。目標を達した際に、次の目標を設定することに失敗した。勝者のおごりでしょう。
産業界は世界に打って出、理系はノーベル賞を代表に世界で戦っています。文系が、いまだに鎖国・輸入状態なのです。
新聞、官僚、法学部は、アジアにもっと貢献できると思います。欧米に留学させるだけでなく、アジアから留学生や研修生を受け入れるとか。アジア各国に助言にいくとか。何か仕組みを作る必要がありますね。「アジア貢献庁」を作るのはどうでしょうか。良いアイデアは、ありませんかね。
(自らの反省を込めて言えば、私の若い頃は、田舎では、東京がゴールで、東大を出て官僚になるのが一つの目標でした。今は、東京や官僚はゴールではありません。)