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社会

日本は異質だという思い込み

4月27日日経新聞中外時評、小林省太論説委員の「五輪を機にというならば」は、考えさせられます。日本とフランスとの間の翻訳をめぐるシンポジウムについてです。
・・なかには「仏訳がある岩波新書は1点しかない」という指摘もあった。岩波書店に尋ねるとその情報は不正確だったが、それでも仏語に訳されたのは4点だけ。中国語、韓国語訳は多数ある。しかし英訳でさえ17、独訳9、伊訳1という数字は、問題が日仏間にとどまらないことを示している・・
社会科学系の研究書の「入超」については、先日「大学、社会との関わり方の変遷、2」(4月18日)で疑問を呈しました。
次のような指摘もあります。
・・仏国立東洋言語文化研究所のエマニュエル・ロズラン教授は言う。「日本はお茶や生け花、武士道、今なら漫画、アニメということになってしまう。それはウソではないが、ずれている。日本人も世界の人々と同じ問題を抱えて生きる普通の国の普通の人だという感覚が我々にもない。自然科学は別だとしても、少子高齢化でも原発問題でも、世界に伝えるべき日本の思想や施策がもっとあるのではないか。それが西洋中心主義を考え直すきっかけにもなる」。
「美しい日本」「クールジャパン」。そんなせりふが先走り、地球を覆う課題を考える共通の土俵に日本が立っていない。その指摘には耳を傾けなければならないだろう・・
「日本は西洋に比べ遅れている」という主張も、「日本は各国と違い優れている」という主張も、どちらも「日本は異質だ」という「自尊心」の現れでしょう。

65歳は高齢者か

高齢者の定義を見直してはどうか、という議論があります。
例えば、4月4日の日経新聞経済教室、金子隆一・国立社会保障・人口問題研究所副所長の「高齢の定義、見直しの時」。
そこで提案されているのは、「平均余命等価年齢」という指標で、高齢化を捉えるものです。すなわち、1960年当時は、65歳での平均余命は男性11.6年、女性14.1年でした。それぞれあと、12年、14年生きることができました。その後、平均寿命が延びたので、それを2010年時点に置き換えると(同じだけの平均余命の歳は)、男性は75歳、女性が77歳になります。
個人差があるので、一般化や平均は慎重に議論しなければなりませんが、この説は納得できます。
かつては、60歳はおじいさんやおばあさんで、見るからに年寄りでした。今、60歳の人に「おじいさん」とか「おばあさん」と呼びかけたら、殴られますよ。
「年齢に0.8をかけた年が、かつての年齢に相当する」という説もあります。それだと、60歳×0.8=48歳。81歳×0.8=65歳です。これはちょっときつすぎるとして、0.9だと、60歳×0.9=54歳。70歳×0.9=63歳です。昔は多くの職場で55歳定年だったのが、60歳定年に伸びました。現在は、65歳へ引き上げつつあります。しかし、単純に定年を引き上げることは、後輩たちから、「早く席を譲ってくれ」と苦情が出そうです。

日本型人事管理と、西欧型人事管理

厚生労働省が、4月1日に「雇用指針」を公表しました。簡単には「概要」をご覧ください。これは、日本型人事管理・雇用慣行と、外国(西欧型)の人事管理・雇用慣行の違いを埋めようとするものだと、理解しています。
そこに「内部労働市場型」と「外部労働市場型」と表現されています。概要の説明では、次の通りです。
内部労働市場型=①新規学校卒業者の定期採用、職務や勤務地の限定無し、長期間の勤続、仕事の習熟度や経験年数等を考慮した人事・賃金制度の下での昇格・昇給、②幅広い配転や出向、③就業規則による統一的な労働条件の設定、④景気後退に際し、所定外労働の削減、新規採用の縮減、休業、出向等による雇用調整。雇用終了の場合は、整理解雇の前に早期退職希望者の募集等を実施。
外部労働市場型=①空きポスト発生時に社内公募又は中途採用を実施、長期間の勤続を前提としない、職務給の実施、②職務が明確、人事異動の範囲が狭い、③労働者個人毎に労働契約書で労働条件を詳細に設定、④特定のポストのために雇用される労働者について、ポストが喪失した際には、金銭的な補償や再就職支援を行った上で解雇を実施。
アメリカ型組織・人事と日本型組織・人事については、清家篤先生の本を紹介して、書いたことがあります(2013年12月25日26日の記事)。

人口ピラミッドの変化

日本の高齢化と少子化で、人口ピラミッドが、三角形から提灯型になり、さらに逆三角形に近くなっていることは、皆さんご承知の通りです。それを、動画で見ることができます。「国立社会保障・人口問題研究所」のホームページです。画面の左下にあります。
蠕動運動みたいに、重心が動きます(上昇します)。動画としてはおもしろいですが、重たい内容です。読売新聞に紹介されていました。

先入観

先日、あるビルの代表に電話をかけたら、男性の電話交換手が出ました。最初は、電話番号を間違ったかと思いました。「電話交換手は女性である」と、思い込んでいるのですね。その思い込みが、間違いです。
たぶん、電話交換業務は民間委託されていて、年度が替わる際に入札で業者が変わったのでしょう。そして新しい業者には、男性の交換手がいたというということだと、推察します。