カテゴリー別アーカイブ: 社会

社会

立ち乗り2輪車の活用

今日、ご近所で、セグウェイに乗った人を見かけました。電動立ち乗り2輪車、と呼んだら良いのでしょうか。開発された頃はニュースで見ましたが、その後お目にかかったことはありませんでした。
「それほど便利ではないな、遊び用かな」と思っていましたが、今日の使われ方を見て、これは価値があると思いました。
乗っているのは中年男性で、左足が少し不自由なようです。ギプスの様な補装具をつけておられます。横断歩道を渡って歩道に乗る際に、タイヤが小さいので(直径30センチくらいでしょうか)、そのまま乗り上げることができず、いったん降りて歩道に引き上げて、再度乗り直して行かれました(その際に、足が不自由だとわかったのです)。歩いている人たちより、少し速い速度です。
納得です。この方は、車いすに乗るほどの障害ではなく、歩くことはできるのですが、不自由なのです。このような使い方は、活用されて良いと思いました。セグウェイは。公道で使うには、まだ制約があるようですが。

高齢化社会、社会の変化と意識の変化

先日(1月6日)、「高齢者は75歳以上」で、「課題は、75歳までの人たちに、活躍の場を提供することです」と書きました。私たちの寿命が延びることは望ましいのですが、二つ条件があります。一つは健康でいることと、もう一つは生きがいを持って生きることです。そして、後者は個人で趣味に生きることだけでなく、社会での「位置」も必要でしょう。元気な高齢者が、毎日趣味だけで時間をつぶすのは、難しいでしょう。皆が皆、それをできるとは思えません。

すると、個人に任せるだけでなく、高齢者の「活躍場所」を社会で用意する必要があります。活躍できる場を与えるということです。少しずつ定年を引き上げてきたのですが、それですべての高齢化を引き受けることは難しいようです。
今回の老年学会の提言での「65歳から74歳までの人たちを准高齢者と位置づける」ことは、一つの良い方法だと思います。全員が、現役を続けると若者の出番を取ってしまいます。他方で現役並みに仕事を続けるのは、すべての人にとってはしんどいでしょう。「准」という移行段階を設営するのです。それは、個人にとっても、社会にとってもです。その受け皿を、個人に任せるのではなく、意図的に設計するべきでしょう。
個人の寿命が延びるという事実の変化に対して、社会や意識を変える、制度を変更する必要があります。その際に、意図的に制度を変えるか、少しずつ微修正を加えていくか。高齢化が進み、元気な高齢者が増えている事実に対し、社会の制度と意識は追いついていないようです。

また、「時間」という要素が重要です。短期間に劇的に変化するか、緩慢に時間をかけて変わるかです。劇的な変化は認識されやすいのですが、緩慢な変化は意識しないと分かりません。「いつの間にか変わったなあ・・」とです。そして緩慢な変化に際して、社会の制度や意識が追いつくか、先取りするかです。
緩慢に高齢化が進んだ国・社会と、急速に進んだ国・社会とがあるのです。例えば、高齢化率が7%から14%になった「倍加年数」を比べると、フランス115年、アメリカ72年、イギリス46年に対し、日本は24年です(国立社会保障・人口問題研究所人口統計資料集)。なお、韓国は18年、中国は24年です。緩慢に進むと、徐々にそれに会わせて社会も変わるのでしょう。しかし、急速に進むと、制度や意識をそれにあわせて変えることは、重要になります。

年金制度や年金財政については、高齢化を意識して整備、改正を加えてきました。介護保険と老人ホームなども、整備しました。問題はあるのですが、ひとまず用意されています。課題は、このようなお金と設備とサービス以外の、生きがいの場を社会としてどのように用意するかです。そして、高齢化では年齢や比率で、日本が世界の最先端を走っています。単に老人が多いだけでなく、その高齢者が生き生きとしている社会をどのように作っていくかです。

雇用者数は増えている

1月8日の日経新聞「雇用 4年で250万人増」が、興味深い分析を載せています。詳しくは記事を読んでいただくとして。
1 日本の雇用者数は、2012年12月からこの4年間で、250万人増えています。人口が減少しているのですが、働く人が増えているのです。それは、女性と60歳台です。
2 増加したうち170万人が女性で、40~59歳の女性が130万人増えています。25~39歳の女性も増えていて、M字カーブは解消しつつあります。記事のグラフをご覧ください。
3 65歳以上の雇用者は男性で100万人近く、女性も60万人増えています。60~64歳男性の労働力率は8割近くで、65~69歳も5割を超えています。60歳台の人も多くは働いているということです。

働きやすくなったという面と、働かざるを得ないという両面があると思います。また、この数字だけでは、正規非正規の問題は見えません。

 

田村太郎さん、移民の受け入れ方

1月8日の朝日新聞オピニオン欄「移民の受け入れ方」に、田村太郎・ダイバーシティ研究所代表理事が出ておられます。
・・・日本はもはやアジアで唯一の経済大国ではなく、外国人からみれば自国の何倍もの賃金をもらえる国でもない。門戸を開けば、人がわっと押し寄せると心配されたのは、もう20年以上前の話です。生活支援政策を充実させなければ、だれも日本には来なくなります。
少子高齢化は中国や韓国でも進んでいます。日本人の介護福祉士が国外へ働きに行くかもしれません。すでにフィリピンにはカナダなどの国々が、専門学校を作ってケア人材の確保に動いています。国際的に人材の奪い合いが起きているなか、アジア全体の少子高齢化を見据えた議論を、日本が呼びかけるべきです・・・

・・・異なる人たちと接することに不安を抱くのは当然です。不安を減らすには、出会っていくしかありません。外国人に偏見があった人でも、○○さんと固有名詞でつながると意識が変わる例を、私は数多く見てきました。治安の悪化を懸念する声もありますが、外国人の犯罪検挙者数は減っています。
愛知県の県民意識調査では、はじめ外国人の存在を否定的に見る人が半数以上いたのが、生活支援や住民との交流を進めたところ、肯定的にとらえる人の方が多くなったという結果があります。
これまで外国人住民が増えても大きな問題が起きなかったのは、地域の人たちやNPO、自治体が熱心に共生に取り組んできたからです。こうした素地も生かしながら、「うちの街でチャンスをつかみたい人は、だれでも来てください」と自治体が競い合えば、地方創生にもつながります・・・

スリッパ

スリッパって、日本の発明品だと知っていましたか。私も西洋のものと思っていたのですが、外国のホテルでは置いてなく、日本産だと知りました。12月24日の日経新聞が、その生い立ちを詳しく紹介していました。
江戸末期に開国した日本。西洋人は人前で靴を脱ぐ習慣がなく、畳に靴を履いたまま上がろうとして混乱が起きました。そこで、靴の上から履く履き物を作ったのだそうです。1900年頃から日本人も使い始めますが、日本人は靴の上からでなく、素足に履いたのです。暮らしが洋風になり、板張りの部屋が増えたことも、スリッパが普及した要因でしょうね。

日本発祥のスリッパは、飛行機の機内サービスとして、世界各国の航空会社に取り入れられています。若い頃に国際線に乗ると、機内用に靴下が支給されて、「貧乏くさいなあ」と思っていました。よく考えれば、欧米にはスリッパがなかったからですね。
日本のホテルにはスリッパは行き渡ったようですが、世界のホテルにも普及しますかね。
西洋風に家の中でも靴というお家(東京)を知っていますが、「どこまで靴のママで行くのですか」とトンチンカンな質問をしたことがあります。「ベッドやお風呂の際には、どこで靴を脱ぐのですか」という質問です。もちろん、「そこまで靴」あるいは「靴を脱いで歩く」が答でした。

ホテルのベッドカバーの足の方に、目立つ色の帯の様なものがかかっています。あれも、長い間疑問でした。「なんのためにあるの。邪魔なだけや」と、取り外していました。あるとき、教えてもらいました。ベッドスローといって、靴を履いたままベッドに横になった際に、掛け布団が汚れないように敷いてあるのだそうです。
トイレの履き物も下駄からスリッパになり、病院などでもスリッパです。記事では、学校で履く「上履き」も紹介されています。この上履きは、病院や介護施設でも利用されているようです。