月刊「地方財務」3月号が、東日本大震災から10年の特集を組んでくれました。
末宗徹郎・前復興事務次官の総括のほか、
現場からは、戸羽太・陸前高田市長、須田善明・女川市長が、
復興庁からは、大田泰介・参事官の被災者支援、杉山真・参事官の復興交付金制度、石川靖・参事官の産業の復旧復興、御手洗潤・中井淳一・井浦義典・参事官による福島再生加速化交付金の解説があります。
復興への取り組みがよくわかる内容になっています。
月刊「地方財務」3月号が、東日本大震災から10年の特集を組んでくれました。
末宗徹郎・前復興事務次官の総括のほか、
現場からは、戸羽太・陸前高田市長、須田善明・女川市長が、
復興庁からは、大田泰介・参事官の被災者支援、杉山真・参事官の復興交付金制度、石川靖・参事官の産業の復旧復興、御手洗潤・中井淳一・井浦義典・参事官による福島再生加速化交付金の解説があります。
復興への取り組みがよくわかる内容になっています。
自治体国際化協会のニューヨーク事務所が、震災10年を機に、海外からの支援を世界の方々に知っていただくため、ドキュメンタリー映像の上映やパネルディスカッションを行います。3月6日から12日の1週間にわたり、オンラインで開催です。
JETプログラム(※)関係者が、作品の監督、取材対象、パネリスト、あるいはスタッフとして関わって創っています。
上映作品6本のうち、LIVE YOUR DREAM(3月10日)は、震災で犠牲となった元JETのテイラー・アンダーソンさんの軌跡と石巻の人々に対する情熱をたどる作品。Tohoku Tomo(3月6日)は、震災後に東北各地で復興のために活動してきた国際色豊かなコミュニティ・団体による日本に捧げる思いを映し出したストーリーです。3月12日は東北3県のJET等のライブ出演により、東北の未来を考えるパネルディスカッションを行います。
「Footprints & Footsteps: 3.11 and the Future of Tohoku 3.11から現在、そして未来へ —映像で振り返る東北の10年—」https://ff311tohoku.eventive.org/
3月6日~12日、各日午前9:00-11:00(3月15日11:00まで視聴可能)
上映作品等:ドキュメンタリー映像6本、パネルディスカッション3本
無料、URLより要予約
上映作品は日本語/英語、パネルディスカッションは英語
※JETプログラムは、語学指導等を行う外国青年招致事業です。これまで75カ国から7万人以上が参加しています。地域での草の根の国際化を進めています。
2月24日の読売新聞解説欄「東日本大震災10年」、エマニュエル・トッドさんの発言「原発維持 意義ある決断」から。
大震災の位置づけについて
・・・原発の安全神話の瓦解を含め、3・11を太平洋戦争の敗北に続く「敗戦」とする声もあると聞きます。
私はそうは思わない。
戦後、驚異の復活を遂げた「無敵」の日本が失墜したのは1990年代初めのバブル崩壊です。日本は米国に追いつき・追い越せを標語に、右肩上がりの成長を続けた。金満になり、米国を追い越そうとした矢先にバブルがはじけ、弱点である硬直性を露呈した。日本単独では未来を創れないこと、新しい世界像を示せないことが判明した。日本の転換点でした。
これは中国が将来直面する事態でしょう。中国は米国と肩を並べたと思った途端に挫折するはずです。
日本はバブル崩壊後、謙虚になりました。成長は停滞しますが、科学技術の競争力を維持し、先進国・経済大国にとどまった。強靱さを身につけたのです。
3・11でも強靱さを示した。初動では混乱や過ちもあったのでしょうが、取り乱すことはなかった。
無論、廃炉や除染を含め、日本は「フクシマ」と共にあり続けなければなりません。唯一の被爆国にとって複雑で重い課題でしょう・・・
人口減少について
・・・とはいえ、日本の最大の問題は人口減少です。
私見では、日本はようやく移民受け入れに転じた。2019年施行の改正出入国管理・難民認定法で受け入れにカジを切った。既に流入は進んでいました。年間の流入人口から流出人口を引いた「純移動」は17年、約36万人で、フランスの2倍でした。大半が移民のはずです。
労働力不足に悩む経営者らは流入を支持している。移民は増え続けるでしょう。
人口危機は長い潜行の後、顕在化し、制御不能に陥る。世界一の高齢化社会の日本にとって移民は必須です。
助言が二つあります。
日本人の安寧は「日本人どうしでいること」です。異文化を尊重し、共生をめざす多文化主義は不向きです。移民を同化させる不断の努力が必要になります。
ただ移民受け入れだけでは不十分、やはり子供が多く生まれる必要がある。移民の子らが日本の子らと混じり合い、日本人らしくなるのが理想です。喫緊の課題は低い出生率を引き上げる抜本策を見いだすこと。女性の地位を巡る意識の転換が不可欠です。
3・11を機に人口減少が一層加速した被災地は日本の縮図です。日本の人口減少を制御できなければ、真の復興も成就できません・・・
2月28日の朝日新聞に、被災地42首長のアンケートが載っていました。「創造的復興できた7割 まちの将来に不安8割」。
・・・東日本大震災で特に被害の大きかった岩手、宮城、福島の42市町村長にアンケートしたところ、7割がこの10年で「創造的復興」ができたと考えている一方で、8割が将来に不安を感じていることがわかった。不安の理由はハード・ソフトの両面にわたる。相反するような回答から、震災復興の難しさが浮かぶ・・・
・・・アンケートでは、創造的復興が「できた」「おおむねできた」と答えた首長は74%。「あまりできていない」「できていない」は19%だった。
具体的な事業で最も「できた」「おおむねできた」が多かったのは「宅地や道路など町のハード面の基盤整備」の90%。「あまりできていない」「できていない」が最も多かったのは「イノベーションを伴うなど新産業、研究機関の進出」の62%だった・・・
津波被災地は工事が終わりましたが、原発被災地はまだ立ち入り禁止の区域もあります。同一には論じることはできません。
・・・しかし、アンケートではまちの将来に不安を感じるか、との問いに首長の86%が「感じる」「やや感じる」と答えた。「あまり感じない」「感じない」と答えたのは、仙台市、山元町(宮城県)、飯舘村(福島県)の3首長だけだった。
特に不安を感じる点を複数回答で選んでもらうと、「少子高齢化がいっそう進む」(86%)、「インフラの維持管理が重荷になりそう」(50%)、「人口の転出に歯止めがかからない」(31%)が上位だった・・・
山元町と飯舘村は、地理的社会的条件が決して良い場所ではありません。両首長が不安をあまり感じていないのは、その条件の下で頑張って暮らしていこうということの認識だと推測します。
2月24日の朝日新聞に、福島県民世論調査が載っていました。「東日本大震災10年 廃炉予定通り「期待できない」74% 福島県民世論調査」
・・・原発事故から10年を経て、復興への道筋が「ついた」と答えた人は「大いに」3%、「ある程度」47%を合わせて50%だった。
復興への道筋が「ついた」は事故翌年の2012年調査では7%、16年は36%、県内の主な除染作業が完了した翌年の19年には52%まで増えたが、その後足踏みが続いている・・・
・・・原発事故を防げなかった責任が国にあると思うか尋ねると、「大いに」33%、「ある程度」51%を合わせて84%が責任が「ある」と答えた。事故に対する政府のこれまでの対応を「評価する」は28%、「評価しない」が50%。東電がこの10年間、事故に対する責任を「果たしてきた」は39%、「果たしてこなかった」は43%だった・・・