カテゴリーアーカイブ:政治の役割

オバマ大統領、広島演説

2016年6月19日   岡本全勝

オバマ大統領、5月27日の広島での演説から。
・・・Technological progress without an equivalent progress in human institutions can doom us.  The scientific revolution that led to the splitting of an atom requires a moral revolution, as well.
That is why we come to this place.  We stand here, in the middle of this city, and force ourselves to imagine the moment the bomb fell.  We force ourselves to feel the dread of children confused by what they see.  We listen to a silent cry. ・・・

アメリカ大使館による日本語訳
・・人間社会に同等の進歩がないまま技術が進歩すれば、私たちは破滅するでしょう。原子の分裂を可能にした科学の革命には、倫理的な革命も必要なのです。
だからこそ私たちは、この場所を訪れるのです。この町の中心に立ち、勇気を奮い起こして原爆が投下された瞬間を想像してみるのです。目にしている光景に当惑した子どもたちの恐怖を感じてみるのです。 声なき叫び声に耳を傾けるのです・・・

・・・That is why we come to Hiroshima.  So that we might think of people we love -- the first smile from our children in the morning; the gentle touch from a spouse over the kitchen table; the comforting embrace of a parent ?- we can think of those things and know that those same precious moments took place here seventy-one years ago.  Those who died -? they are like us・・・

・・・だからこそ、人は広島を訪れるのです。そして大切に思う人々のことを思い浮かべます。朝一番に見せる子どもの笑顔。食卓でそっと触れる伴侶の手の優しさ。ホッとさせてくれる親の抱擁。こうしたことを考えるとき、私たちはこの同じ貴重な瞬間が71年前、ここにもあったことを知ることができます。犠牲となった方々は、私たちと同じです・・・

砂原准教授、有権者と政党の責任

2016年6月16日   岡本全勝

6月16日の朝日新聞オピニオン欄「舛添氏だけが悪いのか」に、砂原庸介・神戸大学准教授が出ておられました。「議会と政党も責任明確に」です。マスコミの、この数週間の舛添知事バッシング(というのでしょうか)に対し、少し違った角度からの分析と提言です。本文をお読みください。
若き大学院生だった砂原君(失礼)も、貫禄ある政治行政学者になりました。写真もね。

同盟の力

2016年6月3日   岡本全勝

読売新聞5月29日の「地球を読む」、アメリカの政治学者、ジョセフ・ナイ氏の「同盟関係こそ力の根源」から。
・・・米国には「過去の支配的な諸大国」と異なる特徴がある、と言うのは英国の戦略研究家ローレンス・フリードマン氏だ。その違いを「米国の力の基盤が植民地支配でなく同盟関係にあること」と指摘する。同盟関係が資産なのと対照的に、植民地支配は負債となる・・・
・・・今後米国はますます多くの新たな超国家的問題に直面するだろう。その際求められるのは、米国の力を他国に「対して」だけでなく、他国と「共に」行使することだ。世界が一段と複雑化している中では、他国と最も連携している国こそが最も強い国になる。国務省政策企画室長を務めたアン・マリー・スローター氏が「外交とは社会資本であり、国の外交的接触の濃度と広がりに依拠している」と指摘したとおりだ・・・

現在日本社会の亀裂

2016年6月2日   岡本全勝

政治とは、社会の課題を解決するための仕組みです。そして、社会の分裂を統合する役割もあります。無秩序になるのを防ぎ、安心して幸せに暮らせるようにすることです。代表制民主主義になると、社会の利害を代表するグループ=政党ができます。その時々の社会内対立を、反映することになります。資本家対労働者、保守主義対革新、自由主義経済対社会主義経済(統制経済)など。
さて、現代日本では、何が対立軸でしょうか。私は、世代間対立(年金受給者対若者)や、都市対地方が対立軸だと考えていました。しかし、近年は、日本社会で最も大きな亀裂は、正規対非正規だと考えています。経営者対労働者の対立は、過去のものとなりました。労働組合も、今や正社員のグループです。そこに入れない非正規の人たちが大きな割合になり、所得も低く不安定な状態にあります。子どもを産めないという原因にもなっています。これが、現代日本の大きな社会問題の一つでしょう。しかし、その人たちの声を代表する仕組みがないのです。
5月26日の朝日新聞オピニオン欄・論壇時評、小熊英二さんの「二つの国民 所属なき人見えているか」は、まさに私の考えと同じでした。
・・・19世紀英国の首相ディズレーリは、英国は「二つの国民」に分断されていると形容した。私見では、現代日本も「二つの国民」に分断されている。
そのうち「第一の国民」は、企業・官庁・労組・町内会・婦人会・業界団体などの「正社員」「正会員」とその家族である。「第二の国民」は、それらの組織に所属していない「非正規」の人々だ・・・

オバマ大統領の迎え方。塩野七生さん

2016年5月25日   岡本全勝

5月25日の朝日新聞オピニオン欄は、塩野七生さんの「オバマ大統領の迎え方」でした。いつものように、鋭い切れ味ですね。なるほどと思います。このインタビューを企画した記者、そしてそれを乗せた編集長に敬意を表します。
・・・久方ぶりに日本外交にとってのうれしいニュースだと思いました。
特に、日本側が「謝罪を求めない」といっているのが、大変に良い。
謝罪を求めず、無言で静かに迎える方が、謝罪を声高に求めるよりも、断じて品位の高さを強く印象づけることになるのです・・・

「ヨーロッパ諸国から『あれだけの惨苦を受けながら、ものわかりの良すぎる国だ』と思われるような心配はありませんか」という問に対して。
・・・少し前に、アジアの二つの強国のトップが、相前後してヨーロッパ諸国を歴訪したことがありました。その際にこのお二人は、訪問先の国々でまるで決まったように、日本は過去に悪事を働いただけでなく謝罪もしないのだ、と非難してまわったのです。
ところがその成果はと言えば、迎えた側の政府は礼儀は守りながらも実際上は聞き流しただけ。マスコミに至っては、それこそ「スルー」で終始したのです。
当然ですよね。ヨーロッパは旧植民地帝国の集まりみたいなようなものだから、日本の優に十倍の年月にわたって、旧植民地に言わせれば、悪事を働きつづけた歴史を持っているのです。それでいて、謝罪すべきだなどとは誰も考えない。
そういう国々を歴訪しながら「日本は悪いことをしていながら謝罪もしないんです」と訴えて、効果があると考えたのでしょうか。私には、外交感覚の救いようのない欠如にしか見えませんが・・・
原文をお読みください。