今日は夕方から、復興支援に取り組んでくれている、あるNPOの職員40人との意見交換会でした。
私は、NPOが、これからの日本を変えてくれると期待しています。『新地方自治入門』第8章、『被災地から見える「町とは何か」』など。彼らと彼女たちに期待を込めて、どのようにして日本を変えるかを、しゃべってきました。
被災地の復興は、行政にとっても社会のあり方を考えるにしても、貴重な場です。千年に一度の災害なのですから、「前例がありません」は通じません。通達をいくら出しても、予算をいくらつけても、現地で効果が出なければ、していないと同じです。そして、町の暮らしを再建するには、行政の力だけではできません。
明治以来150年、行政と企業が、豊かになるために欧米を追いかけた「日本モデル」は大成功しました。しかし、その役割は終わりました。次の社会は、行政と企業と並んで、NPOなど非営利の中間団体が、大きな担い手になると思います。大げさに言えば、被災地でのNPOの挑戦は、日本社会改革への挑戦でもあります。もちろん、日本にしみこんだ意識や社会の仕組みを変えようというのですから、そう簡単には進みません。
今日のメンバーは、大企業を辞めてきた人など、志の高い人たちです。話が通じるので、どんどん自説を述べ、さらに脱線しました(反省)。質問も、高度なものばかり。楽しかったです。でも、私のこれまでのいろいろな経験を、少しでも伝えたかったのです。
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講演
ヨーロッパの国会議員への復興の説明
今日は、NATO加盟国会議員会議訪日団の方々へ、復興の説明をしました。そう、あの北大西洋条約機構のNATOです。オランダ、フランス、イタリア、アイスランド、トルコ、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、チェコなど各国の、30名の国会議員です。
軍事同盟の方々ですから、事前に、「ご関心は、原発事故対策と、エネルギーの安全保障ではないですか。それなら、私ではなく、原子力災害対策本部なり経産省が適任でしょう」とお断りをしたのですが。なぜか、私に回ってきました。
案の定、質疑応答になると、原発事故についての質問が多く、私の知っている限り精一杯お答えしました(日本国の官僚の名誉にかけて!)。
予定した時間は、はるかに超過して。これも、想定通りです。アイスランドの方の地熱発電の質問には「私も、お国の発電をみてきた」と答え、イタリアの方の質問には「2009年のG8ラクイラサミットに麻生総理のお供をしていったときに、ラクイラの地震被害を見せてもらった」と触れるだけの、余裕はありました。
東日本大震災の被害と政府の取り組み、そして復旧状況を、30分間で外国の方に説明する。これはこれで、勉強になります。たくさんある資料から、何を切り捨てるか。そして、ふだん使っている資料が、外国の方に通じるか。資料を作ってくれた職員、英語の監修をしてくれた職員に感謝します。
資料は英語で準備しましたが、通訳は、英語、フランス語、イタリア語でした。イヤホーンで、私の発言がどう通訳されているかを確認しながら、発言しました。通訳の苦労を考えたら、主語と述語を先に言う、文章は短くすることは当然です。そして、私の一文が通訳されるのを待って、次の発言をする。そうしないと、通訳さんは大変ですよね。
オランダとフランスの団長さんと挨拶を交わしましたが、もちろん「サッカー強いですね」と、よいしょをしました。向こうも、「いや、日本もよいチームだ」と返してくれました。そこで「予選リーグであなたたちの国と一緒にならずに、よかった」と答えると、「決勝戦で会おう」ということになりました。
地方財政学会、福島大学
今日5月24日は、地方財政学会(福島大学)で、シンポジウム「原子力災害と地方自治体」に出席しました。私は会員なので、当然の義務です。遠藤雄幸川内村長の現場からの報告とあわせ、福島の復興の現状と課題をお話ししました。
もっとも、持ち時間が20分なので、詳しくはお話しできません。しかし、短時間に何をしゃべるかを考えることは、頭を整理する良い機会です。講演会では、しばしば、しゃべりたいことが多くて、さらに時間が足らなくなることがあります。皆さんも、経験があるでしょう。
もし、「持ち時間5分」といわれたら、何をしゃべるか。最低限、何を伝えるか。それを考えることは、良い訓練になります。講演会だけでなく、大臣など上司への説明の時間が短くなった場合(これはしばしば起こります)や、お客さんに説明する場合などにも、共通します。
さらに講演会では、私が話したい内容とともに、観客が何を聞きたいかも、重要です。すると、観客の皆さんに、「今日は何を持って帰ってもらうか」を、考えなければなりません。そして多くの場合、観客は、話の内容について素人です。だからこそ、講演を求められるのです。同業者との討論と違い、知識の十分でない方への語りは、それなりに工夫が必要です。
私の場合は、必ず事前に、主催者に、観客がどのような人たちか、そして私に何を期待しているかを確認します。それから、まずレジュメを作ります。それに合わせて、資料をそろえます。その段階では、とても時間内に収まりそうもないくらいの資料になります。それからもう一度、レジュメを再考し、資料を思い切って削ります。
それでも、しゃべっているうちに、時間が足らなくなります。話の途中で、わかりやすいように、あるいは観客の注意をひくために、実例を入れたりして、脱線するからです(反省)。でも、レジュメに、今日持って帰ってもらうことは書いてあるので、大丈夫です。私は、パワーポイントは嫌いです(2011年11月6日の記事)。
会場では、旧知の学者の方々と、久しぶりに挨拶を交わすことができました。「早く、『新地方自治入門』を改訂してください。授業で使っているのです」という要望もありました。すみません、本業が忙しくて。また、近年は地方行政の現場から離れているので、難しいです。後輩たちに、期待しています。
帰りは某有名新聞記者につかまって、東京駅まで新幹線中で、地方行政、過疎地のあり方、地方振興について、議論を続けました。
災害時の宗教の役割、行政との関係
今日5月19日には、世界宗教者平和会議日本委員会円卓会議(仙台)に、講演に行ってきました。被災者支援活動において、宗教の役割や宗教と行政の関係について、考えることがたくさんありました。私は被災現場にはいませんでしたし、宗教の専門家ではありません。そのときの悩みと考えたことを、お話ししました。他の方の発表は、勉強になりました。追って、紹介しましょう。
大災害の経験、アジアへの貢献
昨日13日は、国連大学(渋谷)で開かれた国際シンポジウム「災害時の真のリーダーシップとは~東日本大震災・アジアの経験から」に出演しました。このシンポジウムは、ASEAN各国の防災担当者の研修を兼ねたものです。NGOのシビック・フォース、アジアパシフィックアライアンスとの共催です。同時通訳付きなので、私の発表や応答は日本語です。でも、通訳の方の便宜と、出席者に持ち帰ってもらうために、英語の資料を配りました。
このシンポジウムは、大西健丞さんから依頼を受けて、出てきました。2つの団体とも、大西さんが中心になって動かしているNGOです。大西さんは、かつてイラク支援で有名になりました。その後も、分野を変えて、新しい公を作るために活躍しておられます。