カテゴリーアーカイブ:著作

河北新報に載りました2

2023年3月24日   岡本全勝

河北新報の記事の続きです。

3月22日「巨額国費、帰還は進まず<(中)際限なき除染>
「放射線量が高い帰還困難区域の一部を除染して解除する復興拠点制度の道を切り開いたのが、19年11月まで町長を務めた渡辺さんだ。福島復興再生特別措置法が17年5月に改正される1年数カ月前、「大川原はあくまで復興の前線基地。『本丸』は大野駅周辺だ」と国に新制度の検討を求めた。

当時の復興庁事務次官岡本全勝さん(68)は「放射線量の減衰が想定より早い『うれしい誤算』があり、国も提案に乗れた」。新制度ができれば面積の約96%が帰還困難区域の双葉町も希望が持てる。問題は除染費用の捻出だった。
東電は帰還困難区域の住民に、避難先への移住を前提に故郷喪失の慰謝料700万円や土地建物の財物被害、新居購入費の差額分など1世帯当たり数千万円から数億円を支払っていた。
他の避難指示区域と性格が異なり、「汚染者負担の原則」に基づき東電へ費用を求償するのは難しい。原子力政策を担う国の責務として税金投入を決めた。
復興拠点制度は自治体が居住目標人口などを盛り込んだ整備計画を認定する仕組みにした。国は私有財産に公的資金を投じないのが原則だ。「未解除区域の活用は街づくりに資する」(岡本さん)との立て付けにし、まとまった地域を国費で除染する方針を決めた。」

22日の記事では、次のような指摘もあります。
「17年12月以降、大熊を含む6町村で除染が始まった。関係者が安堵したのもつかの間、今度は復興拠点から外れた「白地」と呼ばれる地区の住民から「不公平だ」との声が漏れた。
原因の一つが国の被災者生活再建支援金。除染の際、家屋解体すると「自然災害由来の住家被害」(内閣府防災)とみなされ、最大300万円が支払われる。霞が関の元官僚は「本来原子力災害は適用外のはずだ。賠償金との二重取りではないか」と問題提起する。
高まる不満を受け、政府は白地地区を一定条件下で「特定帰還居住区域」とし23年度から国費除染することにした。内閣府の須藤治福島原子力事故処理調整総括官は「希望者を帰還させるのが居住人口を増やす一番の近道。国は努力を惜しむべきではない」と話す。
避難区域の全域除染について、20年10月まで飯舘村長を務めた菅野典雄さん(76)は「復興拠点に膨大な予算を投じた意味がなくなるし、拠点制度を考えた官僚らの努力も報われない」と否定的見解を示す。
「福島は賠償金で住まいを再建できた人が多い。津波で自宅も家族も失った岩手や宮城の人たちの心情を思えば、もっと頑張れる余地がある」と問いかける。」

河北新報に載りました

2023年3月23日   岡本全勝

3月21日河北新報1面連載「償いの実相 福島に投じた復興予算」に、私の発言が載りました。
ハコモノ乱立、投資か浪費か<(上)潤沢な財源>
「東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から12年が過ぎた。ハード事業がほぼ終了した岩手、宮城両県の復興予算は縮小する一方、福島県はいまだ肥大化している。避難指示が解除された地区にはハコモノが乱立し、帰還困難区域の国費除染は終わりが見えない。前例のない予算措置を、国の関係者は福島への「償い」と呼ぶ。住民帰還が頭打ちとなる中、巨額の税金をつぎ込むことに国民の理解は得られるのか。模索が続く現場の実情を報告する。(東京支社・桐生薫子)」

内容は記事を読んでいただくとして、私の発言は次のようなものです。
「元復興庁事務次官の岡本全勝さん(68)は福島の復興は経済合理性では計れないとし、「天災に見舞われた宮城、岩手は復興支援だが、福島は国としての『償い』だ」と説く。一方で「納税者の理解を得られる執行に努めなければならない」とも付け加える。」

19面では、原発被災地復興に投じられた経費が詳しく分析されています。「帰還整備費、膨らみ続ける」。よく調べてあります。
そこでは、帰還困難区域の4人世帯の賠償金額(平均)の内訳も載っています。精神的慰謝料と故郷喪失損害に7317万円、土地と建物の損害(全額賠償)に4933万円、避難先での住宅確保(損害賠償との差額)3115万円、家財の損害(全額賠償)783万円、田畑・山林の損害(全額賠償)1580万円です。

連載「公共を創る」第146回

2023年3月16日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第146回「サービス提供における官民関係の変遷」が、発行されました。
行政の手法について、説明しています。モノとサービスの提供手法においても、公私二元論が変更されている例を取り上げました。行政が企業や住民と一緒に規制を考える手法です。

官共業三元論でサービス提供を見ると、どのように位置づけられるか。模式図で説明しました。この図は、大震災復興の過程で考え、講演会で使っているものです。好評で、自信を持っています。

連載「公共を創る」第145回

2023年3月9日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第145回「「新しい課題に対する新しい行政手法」とは?」が、発行されました。

行政改革の議論を終えて、行政の手法の議論に入ります。この連載では、社会の課題が「貧しさの解消」から「不安への対処」に変わったことと、従来の「サービスの提供」といった行政手法ではそれらを解決できないことを説明してきました。そして、いくつかの分野では、新しい手法が試みられていることを取り上げました。

まず、貧しさの解消のために取られた、モノとサービスの提供手法について説明します。かつては、公共サービスは政府が提供し、私的サービスは市場が提供すると説明されました。しかし、このような公私二元論は、もはや成り立ちません。

 

連載「公共を創る」第144回

2023年3月3日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第144回「政策を体系的に示す─内閣・府省・自治体」が、発行されました。

各内閣が次々と新しい政策に取り組んでいるのに、それらが体系的でなく、官僚や国民にとって分かりにくいことを議論しています。このような議論をしているのは、私が首相秘書官を務めた麻生太郎内閣(2008年~09年)では、首相が特に力を入れる主な政策を体系的に示していたからです。
内政と外交について、それぞれ「安心と活力」「安全と繁栄」に分け、「これまでの実績」「これからの見取り図」を示しました。あわせて、首相としての責任を「政治のかたち」として示しました。その図は、官邸のホームページに載せていました。現在では国立国会図書館のアーカイブで見ることができます。

もちろん、内閣、首相が取り組む政策はこれだけではありません。しかしそれらは、各大臣と各省に任せておけばよく、必要に応じて首相と相談すればよいのです。また、各大臣と各省にとっても、首相が何に力を入れているかが分かります。
この図は首相と議論して骨格をつくり、各秘書官がそれに沿って仕事をするとともに、図を充実していきました。

地方自治体にあっては、多くの団体が総合計画をつくっています。ところが、国にあっては、内閣にも各省にもそれに当たるものがないのです。