カテゴリー別アーカイブ: 連載「公共を創る」

連載「公共を創る」102回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第102回「「新しい通念と仕組み」構築の方向性」が、発行されました。
経済発展期には効果を発揮した日本型の雇用慣行と職場慣行が、今や負の機能を生んでいるという話を続けます。

経済成長期に効果的だったメンバーシップ型雇用は、いまや職場への不満を持つ社員を生んでいます。転職する仕組みが少ないこと、いったん就職すると会社に甘えることが原因でしょう。家族、親族、地域での付き合いから離れ自由になりましたが、それに代わる付き合いをつくれていないために、孤独になっています。自由は人生の選択肢を増やしましたが、自分で選び責任を持たなければならなくなりました。そして、人生双六が読めなくなりました。

このような暮らしの変化に応じた、安心のための仕組みと通念をつくる必要があるのです。社会保障は経済的な防護柵(落ちないようにする仕組み)と安全網(落ちた際の支え)を用意していますが、今問題になっているのは、社会生活での自立です。
そのためには、まず教育内容を変える必要があります。

連載「公共を創る」101回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第101回「家族と職場に見る「ずれ」の実像」が、発行されました。経済成長期に私たちの暮らしが大きく変化したのに、社会の仕組みや通念が追いついていません。そのずれが、不安を生んでいます。

家族の形では、サザエさんやちびまる子ちゃんのような3世代同居から、一人暮らしが増えました。家族という保障機能が小さくなると、孤立の問題が出てきます。男女共同参画は大きく進展しましたが、男性の家事従事時間は、女性よりはるかに短いです。

労働の形では、家族で働く農業や商工業から勤め人になりました。かつての農業に比べ、給料の良いきつい肉体労働でない月給取りは憧れでした。しかし、勤め人がすべて条件の良い労働ではありません。職場での人間関係に悩む人が増え、非正規雇用は給与も条件も良くありません。

終身雇用慣行は、社員が定着するには良い仕組みだったのですが、転職を妨げています。職場での大部屋主義と全員一致制は、非効率になりました。「部下に任せるのが良い上司」という通念は、上司が責任を取らないことにつながっています。

祝・連載「公共を創る」100回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第100回「通念と生活の「ずれ」ー顕在化した不安」が、発行されました。社会を支える民間のうち、企業や非営利団体の活動を説明したので、もう一つの要素である個人の意識を説明します。

同じような自然環境や地理的条件にあっても、関係資本や文化資本が違うと、国や地域で発展の違いが生まれます。「この国のかたち」が異なるのです。民主主義を輸入しても、刑法を輸入しても、それだけでは機能しません。国民がそれを受け入れ、運用しないと、絵に描いた餅になるのです。「集団主義」と呼ばれる日本国民の通念と慣習は、発展途上時代にはとてもよく機能しました。しかし、成熟社会になって、その通念と慣習が逆機能を生んでいます。

これで、第100回を迎えました。2019年4月25日からですから、2年半ですね。よく続いたものです。当初は、1年半ほど続くかなと思っていたのですが。こんなに続きました。この間、一度も原稿締めきりに遅れなかったことが自慢です。

事実の確認をしてくれた同僚、作図をしてくれた知人。そしてなんと言っても、毎回、原稿に目を通し鋭い指摘をして、真っ赤にしてくれる右筆たちに感謝です。さらにその原稿の誤りなどを指摘してくださる校閲さんには、頭が上がりません。
第4章2までたどり着いたので、もう少しで完結です。

連載「公共を創る」第99回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第99回「広がる企業の役割」が、発行されました。

社会貢献についての企業戦略が、慈善活動から社会的責任を果たすことへ、さらには積極的に社会課題を解決しようとすることへ変化してきました。そのいくつかの例を紹介しました。
また、企業と行政との連携「官民連携」も増えてきました。ここで言う官民連携は、公共施設の建設や運営に民間活力を活用するものだけでなく、企業が自治体と組んで地域の課題に取り組むものです。その特徴的な例を紹介しました。そのほか、企業と非営利団体の協働もあります。
ここから見えることは、「餅は餅屋」です。行政、企業、非営利団体それぞれが得意な分野を受け持つのです。官と民が区分され対立する公私二元論ではなく、3つの存在が協力して社会を支える官共業三元論を基本とすべきです。

記事で紹介したいくつかの例を、載せておきます。
(社会起業家)
認定NPO法人フローレンスは、病児保育問題に取り組んでいます。https://byojihoiku.florence.or.jp/
有限会社ビッグイシュー日本は、ホームレスに仕事の機会を提供しています。https://www.bigissue.jp/
ユニファ株式会社は、保育園や幼稚園の生産性向上に取り組んでいる会社です。https:/nifa-e.com/company/
リノベーター株式会社は、単身高齢者、外国人、生活保護受給者など住宅を借りることが困難な人に対して低廉な家賃で部屋を貸し、必要がある場合には生活や就労相談、さらには地域住民ともめないための調整を行っています。京都府=https://rennovater.co.jp/about-rennovater/
株式会社ヘラルボニーは、障がい者の経済的、社会的な自立と尊厳を実現することで、障がい者への偏見をなくすことを目指しています。障がい者が描く絵などを、ポスター、バッグ、服飾雑貨にデザインし、製作販売して、障がい者にも十分な対価を支払います。岩手県=https://heralbony.com/
ココホレジャパン株式会社「ニホン継業バンク」は、地方の零細企業の跡継ぎを探し、引き合わせるサービスです。岡山県=https://keigyo.jp/

(官民連携、民民連携)
あいおいニッセイ同和損保「地域活性応援サイト」。https://adclub.jp/creation.html
特定非営利活動法人「放課後NPOアフタースクール」は、多くの企業と協働して、学童保育でさまざまな学びと遊びの機会を提供しています。https://npoafterschool.org/activities/afterschool/

何と、連載はこれで99回です。次回で100回になります。

連載「公共を創る」執筆状況報告

恒例の、連載「公共を創る 新たな行政の役割」の執筆状況報告です。
「(1)社会を支える民間」の後半分を、右筆たちに手を入れてもらって、編集長に提出しました。毎回、さまざまな意見をくれたり、丁寧に手を入れてくれたりする右筆たちに感謝です。
締めきりに、間に合わすことができました。記事の形にしてもらうと、4回分になりました。11月25日号から12月16日号です。

今回は執筆に時間がかかり、余裕のない提出となりました。反省。
その続きの執筆も、進んでいないのです。今回出稿した分で年を越せると思ったのですが、編集長からは、年内の次の原稿の催促を受けました。
これからは恒例の年賀状書きもあるし、ほかに引き受けている案件もあります。夜の意見交換会も盛況で、時間が取れません。困ったことです。
毎回、同じことを言っています。