カテゴリー別アーカイブ: 日経新聞夕刊コラム

被災者生活支援本部、指名した2人

日経新聞夕刊コラム第2回の補足説明(1月11日記事)に、私が呼び寄せた2人の名前を書きました。「なぜ、その2人を指名したのですか」との問い合わせがあったので、説明します。
彼ら2人は、旧総務庁採用です。私の自治省の後輩でありません。2001年に行われた省庁改革を準備する本部で、知り合いました。1998年から、参事官だった私を、企画官として支えてくれました。その後も、時に集まっては「意見交換」をしていました。

二人とも、省庁改革本部勤務とともに、行政管理局などの経験もあり、霞が関全省庁の組織や仕組みを熟知してるいるのです。被災者支援に必要な仕事を分類整理し、霞が関各省から人を集め、組織をつくる。それには、彼らが適任だと考えたのです。
被災地の自治体との連携も必要ですが、それは総務省や国土交通省に任せておけます。

そして彼らは、私の仕事のやり方を熟知しています。私も、彼らの仕事ぶりを知っています。細かい指示をしなくても、どんどん進めてくれるのです。
夕方に私の前にやってきて、「関係者の××に、『全勝さんの指示だから・・・』と言ってありますから、問い合わせが来たら『その通りや』と答えてください」というようにです(苦笑)。
また、面と向かって「それは、駄目でっせ」と意見を言ってくれるのです。
このような職員を知っていた、持っていたことは、幸せでした。

日経新聞夕刊コラム第2回

日経新聞夕刊コラムの第2回目「暗闇の灯台になる」が載りました。前回に続き、大震災直後の話です。
当時は、「未曾有」とか「想定外」という言葉が、よく使われました。しかし、想定外のことは起こります。その際に、責任者は何をするべきか、何を考えるべきか。私の経験を伝えたくて、この話題を選びました。
個別の案件を処理するのが、トップの仕事ではありません。たくさんの課題を円滑に処理できるように仕組みを作ること、かつ混乱している中で優先順位を付けることが、仕事です。そのために、そのようなことができる組織をつくることが重要です。

私がしたのは、それをしてくれる2人を呼んできたことです。
組織が出来て(作りつつですが)、仕事の流れができれば、それぞれの担当者が処理してくれます。そして、彼らが判断できないことを私が判断する、あるいは大臣に相談すれば良いのです。
あわせて、ここに書いたように、国民に私たちの存在を知らせる必要がありました。それが「灯台」です。関係者に「手形交換所」を知らせることも必要でした。

文中に出てくる2人は、山下哲夫・行政改革本部参事官(現・総務省行政管理局長)と、福井仁史・内閣府公文書管理課長(現・国立公文書館理事)です。
被災者生活支援本部の記録、下(事務局風景)の真ん中の写真で、左奥時計の下のスーツ姿と、左手前資料を持って歩いている姿です(2011年3月24日)。発足当時は彼らは机もなく、立ったままで、あるいは空いている席を見つけて仕事をしていました。
下左の写真、手前真ん中が私の席ですが、座っていませんねえ。指示を書く罫紙と万年筆とサインペンが載っています。この騒々しさの中でしゃべるので喉を痛め、ペットボトルの水が必需品でした。
下右の写真は、しばらくしてから移った執務室です。服装を見ると、初夏の頃でしょうか。
1月16日に続く。

日経新聞夕刊コラム第1回

今日1月4日付けで、第1回「前例はない」が載りました。今回は名刺代わりに、大震災直後の話を書きました。
私の官僚生活の一番の思い出が、東日本大震災対応です。当時のことを広く知ってもらおうと思い、この話題を選びました。読者も、この話ならわかりやすいと思いました。お正月の4日から、このような話題で良いのか、少し悩んだのですが。
紙面では、顔写真付きです。

日経新聞夕刊1面コラム「あすへの話題」連載

2018年1月から6月まで、日本経済新聞夕刊1面コラム「あすへの話題」を毎週木曜日に執筆しました。日経のウエッブサイトでも読むことができます。
このホームページでは、「補足説明」も書いておきます。

(連載一覧)
1 1月4日 前例はない
2 1月11日 暗闇の灯台になる 追記
3 1月18日 企業の貢献
4 1月25日 鯉が包丁を持つ
5 2月1日 お詫びの訓練
6 2月8日 職場の非常識
7 2月15日 私設ホームページ
8 2月22日 いつ寝るか
9 3月1日 仕事人間の反省
10 3月8日 3.11から7年
11 3月15日 社会の財産
12 3月22日 フルート
13 3月29日 帽子
14 4月5日 新人諸君へ
15 4月12日 新聞の読み方
16 4月19日 未来との対話
17 4月26日 この国のかたち
18 5月10日 自治体と企業
19 5月17日 NPOの活躍
20 5月24日 高円寺のカエル
21 5月31日 仏像
22 6月7日 内閣官僚
23 6月14日 鷹の目と象の時間
24 6月21日 明日香村
25 6月28日 人間修養道場

5月3日 番外編1(執筆に当たって、主題とオチ)
6月30日 番外編2(連載を終えて、分類など)