カテゴリーアーカイブ:社会の見方

海水浴客、40年で10分の1に

2024年9月5日   岡本全勝

8月20日の朝日新聞に「海水浴客、40年で9割減少 人手不足・マナー違反…海水浴場も3割減」が載っていました。

・・・海離れが進んでいる。レジャーの多様化などを背景に、海水浴客はピーク時から約40年で10分の1に減少した。人手不足や利用客のマナー違反などを理由に、海水浴場を開設しないケースも相次ぎ、全国の海水浴場の数も約7割になっている。
1999年には100万人以上の海水浴客でにぎわった神奈川県三浦市の三浦海岸。昨年は約8万人にまで減り、今年は海水浴場が開設されなかった。周辺では「遊泳をお控えください」という掲示が目につく。
海水浴に訪れる親子連れや若者はおり、県は安全対策のためにライフセーバーを配置。その一人の男性は「泳ぐのは自己責任。子どもはライフジャケットを着けるなどしてほしい」と話す・・・

・・・日本観光振興協会によると、全国の海水浴場は85年に1353カ所あったが、今年6月末時点で970カ所にまで減少した。海水浴客も減っている。日本生産性本部のレジャー白書によると、国内の海水浴客数(推計)はピーク時の85年に3790万人だったが、2022年は360万人になった。
「海水浴と日本人」の著書がある日本大学の畔柳(くろやなぎ)昭雄名誉教授は「海水浴だけが選択肢ではなく、屋内プールやレジャー施設が人気になっている」と分析する。近年の酷暑や日焼けを避けるように社会が変化していることも背景にあるとみる・・・

訪日外国人1億人も

2024年9月3日   岡本全勝

8月12日の日経新聞に「インバウンド1億人「列島改造」迫る 25年後に訪日客3倍」が載っていました。

インバウンド(訪日外国人)が増加中だ。国際観光市場の成長を順当に取り込めれば、足元で年間3000万人台ペースの訪日客が、2050年ごろには3倍以上の1億人前後に達する可能性がある。日本人一人ひとりが「外貨の稼ぎ手」になる時代。旅行者ファーストの国へ、制度や慣習、地域の変化は待ったなしだ。

・・・コロナ前に政府が立てた訪日客の目標は2020年に4000万人、30年に6000万人。単純にこのグラフを延長すると50年には1億人になる。国連は新型コロナウイルス前に国際観光客の増加率を年率3%から4%増と見込んでいた。予測通りなら6000万人から1億人までは20年かからない。これは国内観光客向けインフラへの間借りで対応できる人数ではない。
きちんと備えるか、混乱と摩擦が起きてから慌てて対応策を練るか。訪日客と共存する未来を思い描く若いベンチャービジネスが次々に誕生している・・・

・・・日本文化をもっと体験したいという人向けの宿泊施設の需要も高まる。欧州では城や宗教建築などを高級ホテルに活用する。バリューマネジメント(東京・千代田)はお城に泊まる「城泊」を商品化。料亭旅館や古民家の再生も手がける。「歴史的価値があるのに発揮できていない例は多い」(他力野淳社長)。歴史と文化を経済的価値に変え地域の存続につなげる。
有料席の設定と販売で地域のお祭りを経済的な資源に変えるオマツリジャパン(東京・千代田)。きちんとマナーを知って旅をしたい外国人に向けて、楽しくマナーを伝えるツーリストシップ(京都市)……。インバウンドの進化に向けた新世代の発想は柔軟だ。観光ベンチャーの新たなビジネスはいずれ海外にも輸出できるかもしれない。
訪日客の増加は移住を呼び過疎地の活性化にもつながる。瀬戸内海の島々を舞台にした現代アート展、瀬戸内国際芸術祭は「お客もボランティアスタッフも外国人が多い」(総合ディレクターの北川フラム氏)。離島の魅力を知り、日本人だけでなく外国人の移住者も現れた・・・

・・・明治、戦後に続く第三の開国が始まる。かつては欧州、米国の生活文化を取り入れた。今後の主役は近隣のアジア。続いて存在感を増すのはインド、中東、アフリカの人々だ。
米国では今、もう一段の集客増をにらみ、観光業界などで黒人や黒人文化への注目と登用が広まっている。働き手としても含め、こうした地域にルーツや関係を持つ人々への注目度は日本でも高まるのではないか・・・

韓国大統領、光復節演説で日本批判なし

2024年9月2日   岡本全勝

8月15日は韓国にとって、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の日です。政府主催の式典で大統領が演説します。例年、大統領は日本批判を繰り返すのですが、今年、ユンソンニョル大統領が日本批判をしなかったことがニュースになっていました。

8月15日の毎日新聞「韓国大統領演説で日本批判なし 光復節式典で」は、次のように伝えています。
・・・光復節の大統領演説では、歴史問題などを巡る対日批判を盛り込む例が多かった。だが対日関係を重視する尹氏の演説では昨年に続き、日本批判は皆無。韓国の1人当たり国民総所得(GNI)が2023年に初めて日本を上回ったことなど、経済関連の指標に触れただけだった。光復節の演説で日本に関する考え方に言及しないのは異例・・・

経済停滞30年の原因私見1

2024年9月1日   岡本全勝

1991年にバブル経済が崩壊し、不況になりました。政府は何度も景気刺激策を打って、公共事業などを追加しました。しかし、経済は好転しませんでした。安倍第二次政権になってインフレ目標を導入し、「異次元の」と形容される金融政策をとりました。しかし、成功したとは言えません。黒田日銀総裁は、異次元緩和の導入時に2年で2%の物価上昇を目指すと表明しましたが、任期中の10年間では実現しませんでした。

私は、金利操作による「インフレターゲット」は景気が過熱した際に下げるときには有効でしょうが、景気拡大には効果がなかったと思います。
2000年代初めに、麻生太郎総務大臣から「金利を下げても、企業が投資をしない。そんなときに何をしたらよいか、日銀総裁をはじめ経済学者に聞いたが、想定していないので答えがない」と聞きました。金利を下げ、政府の需要を拡大しても、企業が投資を拡大しないと効果はありません。ケインズ経済学の限界です。

1990年代後半に日本企業は、雇用、設備、債務の3つの過剰に悩み、これらの削減に動きました(1999年版「経済白書」)。企業はコストカットに全力を挙げ、給料も上げず、投資にも消極的になりました。これは理解できます。ところが、それらの処理を終えた2000年代、2010年代にも、企業は設備投資を手控え、利益を内部留保に蓄えました。
ここまでは経済学の説明です。では、企業はなぜ投資を拡大しなかったか。ここからは、経営学、社会学の説明です。「その2」に続く。

大企業は中小企業をいじめるな

2024年8月31日   岡本全勝

8月18日の日経新聞、小林健・日本商工会議所会頭の「中小を為替ヘッジに使うな」から。

―中小企業への手厚い支援は、生産性が低い「ゾンビ企業」を延命させるとの批判もある。

「それはファクトをみる必要がある。日銀や財務省の統計を分析した中小企業白書によると、製造業の2019〜21年度の実質労働生産性は大企業が年率で2.4%プラス、中小企業が2.3%のプラスだ。両者の生産性の差はほぼない」
「ところが『価格転嫁力』の上昇率をみると、大企業が0.9%プラスなのに対し、中小は2.3%のマイナスだ。この2つを足した結果、企業の収益力を示す1人あたりの名目付加価値額の上昇率は中小の場合、ゼロになってしまう。つまり大企業が十分な価格転嫁を認めないために、中小が高めた生産性が吸い取られている構図だ」
「だから大企業は中小が負担する原材料価格などの上昇を、必要なコストと考えて価格交渉に応じてほしい。『もうけから還元する』という考え方は変えるべきだ。同じサプライチェーン(供給網)にある場合、大企業は中小が作る物の原価がわかり適正利益も見えるはずだ。企業数で99.7%を占める中小企業が良くなれば日本の経済も良くなるのだから、これは大企業の社会的責任だ」

根本涼、竹内宏介記者の解説
「もうけから下請けにいくらか出すという『おぼしめし』スタイルの価格交渉ではなく、コストととらえて中小企業に払う部品代を上げてほしい」。小林氏が熱弁したのは自身が身を置いてきた大企業の意識変革だった。
利益が出たら還元するという強者の論理ではなく、中小企業が最初から収益をあげられる共存共栄の姿勢を求める。供給網の一角をなす中小企業の価格転嫁が進まなければ賃上げも滞り、デフレからの完全脱却の好機を逃すとみる。
商工会議所の生みの親の渋沢栄一は、社会貢献などの公益を図りながら事業の私益を追う重要性を説いた。小林氏の「価格転嫁は大企業の社会的責任」との言葉に通じる。
もちろん中小企業にもDXなどの努力が不可欠なのは言うまでもない。稼ぐ力を高めるための最適解を探る双方の努力があってはじめて、経済停滞を克服できる。