カテゴリーアーカイブ:社会の見方

歯医者さんが減る

2025年1月6日   岡本全勝

12月30日の日経新聞に「多過ぎ?歯科医、初の減少 偏在で高齢者の受診困難に」が載っていました。経済成長で虫歯が増え、それに対処するために歯医者さんを増やしたのですね。他方で、地域偏在が課題になっています。

・・・国内の歯科医師の数が初めて減少に転じた。半世紀前に大量に育成したベテラン層が引退し始めたためだ。歯科医院は「コンビニよりも多い」と過剰が指摘されてきた。歯学部の定員抑制で若手の数は細り、今後も歯科医の減少が続く。偏在が深刻で、山陰や北陸などの地方で不足しつつある。今後、住民が歯科診療を受けられない地域が広がる恐れがある。

神奈川歯科大学の桜井孝学長は「1970年代に歯科医になったボリュームゾーンの世代が引退する時期を迎えた」と語る。
70年代は国を挙げて歯科医を増やした時期だ。60年代後半に虫歯の患者が急に増えた。高度経済成長によって戦後の貧しい時代を乗り越え、食生活が豊かになった。その結果、子どもは砂糖を含む甘い菓子などを食べる機会が増えた。一方で歯磨きの習慣付けなど虫歯の予防は遅れていた。
これを受けて全国で大学の歯学部や歯科大学の新設が相次いだ。日本歯科医師会の資料によると、政府は69年に人口10万人当たり30人台だった歯科医を同50人に増やす目標を掲げた。歯科大学などの入学定員を短期間で約1100人から3000人超に増やした。その効果で84年に10万人当たり52.5人に増えた。だが、今度は過剰が指摘された。87年に旧文部省が定員を約20%削減する目標を打ち出した。98年には旧厚生省がさらに約10%減らす方針を出した。

現在、歯科医の国家試験の合格者数は年約2000人と横ばいが続く。一方で1970年代に働き始めた世代の多くが70歳代以上になり、年約3000人が引退している。新たに歯科医になる人の数と引退する人の数を差し引きすると年1000人程度減り続ける。
24年9月末時点の歯科医院の数は約6万6000施設で、依然としてコンビニより多い。足元の課題は総数よりも偏在だ。22年末に人口10万人当たりの歯科医が最も多いのは東京都の120.3人で、徳島県と福岡県が続く。最少は滋賀県の58.8人で、山陰や北陸も少ない。東京都と滋賀県の差は2倍強に達する。神奈川歯科大の桜井学長は「歯科医を目指す若者が地方から都市部へ流れる」と背景を分析する・・・

フランスワインと日本酒の輸出額

2025年1月3日   岡本全勝

コンテンツ産業輸出額4.7兆円」の続きにもなります。

お酒の輸出額を、調べてみました。1ユーロを150円とすると(最近は160円程度ですが)。
フランスのワインとスピリッツの輸出総額162億ユーロ(2023年)、2兆4300億円
イタリアワインの輸出金額は63億ユーロ(2020年)、9450億円。
日本酒の輸出総額は411億円(2023年)。
・日本のワイン輸入額は、2476億円程度(私の計算が正しければ)。

頑張れ、日本酒。私が飲んでいる分には、輸出額は増えませんが。

近代文学の終焉

2025年1月3日   岡本全勝

朝日新聞「柄谷行人回想録」、12月11日と18日は「近代文学の終焉」でした。小説は、読者とは違う世界を見せてくれるものです。すると、社会に差異がなくなり、また理想がなくなると、小説の出番はなくなるのでしょうか。

柄谷さんが、2003年に近畿大で行った講演で、翌年「早稲田文学」に掲載された「近代文学の終り」が説明されています。
「近代的な国民国家の成立には、文学、とりわけ近代小説が重要な役割を果たしたことを確認しつつ、その役割は終えたと指摘した。社会階層などでバラバラだった人々を、“想像の共同体”としての国民(ネーション)としてつなぎ合わせる過程で、共感を生み出す小説が基盤となった。娯楽として軽視されていた小説の地位は向上し、より真実らしさを表現するため、リアリズムが課題となった。しかし、国民国家が世界各地に広がったこと、さらに映画などよりリアリティーを喚起しやすい形式が発達したことなどが重なって、小説は特権的な地位を失っていった、とみる。」

――柄谷さんは、70年代には中上健次や村上春樹といった作家が登場し、リアリズム中心の近代文学が抑圧した言葉遊びやパロディー、物語といった要素を持つ文学が復活してきたと見ていました。しかし、90年代にはそうした文学も急速に力を失った、とも。なぜでしょう。
「複雑な要因がありますが、一つの理由としてあげられるのは、近代小説が、“差異”から出てきた、ということでしょうか。例えば、ゴーゴリ独特のリアリズムは、先進国では失われた濃密な共同体がロシアに残っていたことから生まれた。
日本の夏目漱石も、コロンビアのガルシア・マルケスも、それぞれの社会独特の背景から生まれた。当たり前のようだけど、重要です」

――国による発展の違いが文学の源になったわけですか。
「米国国内での不均衡が背景にあるフォークナーも、同じです。都市と農村、先進国と後進国、男性と女性のような差異が一つの大きな動力になった。こうした差異は高度成長とグローバリゼーションによって、消滅の方向に向かいました」

――社会や人々の均質化で描くことが減った、と。しかし、差別や理不尽は残っています。
「格差がなくなること自体は、当然望ましい。その上で、ひどくなっている問題も多い。だけど、漱石やフォークナー、戦後文学の頃までは、差異をあぶり出すことによって新たな共同性を築くことができた。今は、サルトルのような世界的な連帯を牽引できる作家もいません。文学だけではなく、思想にも宗教にも求心力がない」

景気予測

2025年1月2日   岡本全勝

経済紙などが、今年の景気予測を書いています。財界人や専門家に、今年の株価、円ドル相場、経済成長率、インフレ率などを予測してもらっているのです。これはこれで興味深く、参考になります。
ところで、この人たちが去年の同時期に予測した数値は、どの程度あたったのでしょうか、外れたのでしょうか。たぶん、株価がここまで上がると予測した人は少なかったと思います。
今年の予測を書くなら、昨年の予測と実績の比較も載せてほしいですね。どこかに載っているのかな。

経済予測は、難しいものです。それが1年分であっても、10年分であっても。と改めて思います。