カテゴリーアーカイブ:社会の見方

他人の配偶者を何と呼ぶ。「妻さん」「夫さん」?

2023年7月6日   岡本全勝

6月15日の日経新聞夕刊に「他人の配偶者を何と呼ぶ 「妻さん」「夫さん」悩ましく」が載っていました。

他人の配偶者を何と呼ぶか。記者が取材するときにも悩ましい問題だ。上下関係がにじむ「奥さん」や「ご主人」を使いにくいと感じる人は多い。だが、「妻」「夫」は相手には使えない。そこで「妻様」「夫様」という新語も出始めている。男女を限定しない「パートナーさん」や「お連れ合い」が広がる可能性もある。変化の現場を追った。

日経xwomanの2021年の調査では、他人の男性パートナーの呼び方では「旦那さん」が47%、「ご主人」が24.4%と多く、「夫さん」は7.3%。女性パートナーでは「奥さん」が73.8%と圧倒的に多く、「妻さん」はわずかに1.8%だ。

夫婦への接客が多い営業の現場はどうだろう。
積水ハウスでは「奥様、ご主人は使わず、何と呼べばいいか尋ねるケース、お名前で呼ぶケースがある」(広報室)という。京都の中村さんのお願いを先取りした形だ。また「目を見て話せば分かるので、あえて呼称を使わないこともある」。アンケートの続柄欄には「パートナー」を加える工夫もしている。
三越伊勢丹ホールディングスでは「お連れ様という呼称を使う場合もある」(広報・IR部)。社内では「ユニバーサルマナーのハンドブックを定めて呼称だけでなく接客レベルの向上に努めている」という。
全日本ホテル旅館協同組合の中村克次事務局長は「現場に指導しているわけではないが、個人的には男女の性別に関係なくフラットに使える『ご家族の方』がいいと思う」と話す。脱「奥様・ご主人」の動きは広がっているようだ。

「ご主人」への違和感を訴える声は昔からあった。有名なのは戦後間もない1955年に行われた第1回日本母親大会。評論家の丸岡秀子さんが「主人と呼ばず夫と呼ぼう」と提唱した。遠藤さんによると、「主人」が使われたのは明治以降で、「戦前まで、配偶者を『主人』『ご主人』と呼ぶ人は、インテリ層のごく一部の人だけだった」という。
つまり封建的な響きを持つ「ご主人」は戦後のわずか10年で定着していったと考えられるわけだ。遠藤さんは「戦後民主主義の中で、少し気取った言い方の『主人』をまねる人が増えたのではないか」と説明する。民主化の流れの中で「男言葉、女言葉はやめよう」という主張が男性からあったが、「女性リーダーが『女言葉は美しい』と、その平等主義の流れを止めてしまった歴史のパラドックスもある」と指摘する。

汚染者負担、国の責任とは

2023年7月5日   岡本全勝

6月15日の朝日新聞夕刊「取材考記」、大鹿靖明・編集委員の「チッソも東電も「汚染者負担」国の責任とは」から。

・・・水俣病の原因企業チッソの責任を認めた最初の判決から50年経つ。それなのに、いまも被害者との間で争いが続くのは、政府の対策が不十分だからである。
政府は、水俣病被害者への補償や環境対策について「汚染者負担の原則」という考えに依拠してきた。環境を汚染したものが費用を負担せよ、という思想である。経済協力開発機構(OECD)が1972年、環境政策の指導原則に採択し、日本では公害の原因企業に責任を負わす根拠となってきた。チッソも、原発事故を起こした東京電力も、この原則が適用されている。「けしからんことをした企業に責任をとってもらうという考え方です」と財務省幹部は説明する。

だが、企業の補償能力を超える環境被害が起きたときに、どうするか。水俣が突きつけたのは、それだった。チッソは自力で費用を工面できなくなり、73年には債務超過に陥った。ふつうは経営破綻となるが、国はそうさせず、資金を「貸す」政策が採られた・・・

・・・霞が関では「汚染者負担の原則はグローバルスタンダード」と思われてきたが、実は日本は「特殊」なのだ。OECDが唱えた「汚染者負担の原則」は、例えば汚染排出企業に賦課金を課せば、企業はそれを免れるため自主的に予防対策に充てるようなケースを想定し、「予防費用を市場経済メカニズムに組み込んで解決を図るもの」(大阪公立大の除本理史教授)とされる。それに対して日本の「汚染者負担の原則」には、補償や原状回復費用、さらに倫理的責任など広く包含された。「加害企業が永遠に責任を持てという社会の声に適合した」と慶応大の遠藤典子特任教授。結果的に公害企業が一義的責任を負い、国が責任を回避する原則となってきた。

56年の水俣病公式確認後、チッソの工場排水が疑われたが、旧通商産業省はチッソを擁護し、排水が止まったのは68年。この間、被害が拡大した。国(通産省)の責任は重大だが、「汚染者負担の原則」からチッソが矢面に立つ。東電も同じ構図にある・・・

街の国際化

2023年7月2日   岡本全勝

平成時代から、国際化が一つのはやり言葉になりました。海外に行く国際化と、海外の人が日本に来る「内なる国際化」がありました。一つは観光客の増加で、もう一つは外国人労働者の増加です。

京都などで海外からの観光客が増えて、「これが国際化か」と思うことがありました。「そういえば、かつてパリやロンドンに行ったときに、外国からの観光客ばかりだなあ」と思いました。
外国人労働者の増加は、特定の市町村(工場のあるところ)とともに、東京でもコンビニや飲食店でたくさん働いています。

もう一つ、最近外国人が増えたなあと感じたのが、高円寺の商店街です。観光地とは言えない商店街です。特徴と言えば、古着屋と居酒屋が多いことです。だから、私が入るような店が少ないのです。その商店街に、外国人観光客と思われる人が増えたのです。
6月19日の日経新聞1面コラム「春秋」が、高円寺を取り上げていました。
東京観光財団が、訪日観光の目玉の一つに推しているとのこと。「東京の素顔にふれられる」と好評で、高円寺体験を組み込んだ日本ツアーができたのです。
へえ、そんなことが売りになるのですね。

『世界がわかる資源の話』

2023年6月30日   岡本全勝

鎌田浩毅著『世界がわかる資源の話』(2023年、大和書房)を紹介します。
宣伝文には、次のように書かれています。
「電気代高騰も、異常気象も、ウクライナ侵攻も、新ビジネスも、私たちの食生活も、ぜんぶ「資源」で読み解ける! "科学の伝道師"である鎌田浩毅京大名誉教授がおくる、新時代の教養本」

「新時代の教養本」という表現がよいですね。自然科学の分野も、日進月歩です。そしてそれが、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。「専門書は難しい」「新聞の解説ではよくわからない」ということが多いです。その際に、このような解説書が役に立ちます。
取り上げられている各主題も、水、木、エネルギーなど身近なもので、文章はいつものように読みやすいです。鎌田浩毅先生は、ますます元気のご様子です。

154ページに「エコバッグは無意味?」との記述があります。
海洋プラスチックごみの多くは漁網とペットボトルなどで、レジ袋は全体の0.3%でしかないのだそうです。
デンマークのある機関の調査では、紙袋は43回、オーガニックコットンのバッグは2万回使わないと元が取れなとのこと。レジ袋を製造している会社は、原料のポリエチレンが石油を精製する際に必然的にできるため、資源の無駄にはならないと主張しているのだそうです。
問題は、レジ袋やペットボトルのポイ捨てにあるのでしょうね。

高校生の就活

2023年6月29日   岡本全勝

朝日新聞夕刊「現場へ!」は、6月12日から「フレーフレー就活高校生」を連載していました「1学歴のバリア、打ち破ろう」。

・・・まずは「三和建設」。
大阪市淀川区に本社がある中堅ゼネコンである。創業は1947年、社員は165人。
工事部門のリーダー、参鍋(さんなべ)広志(43)は大阪生まれ。家は裕福ではなかったので、大学進学という選択肢はなかった。工業高校で建築を学び、先生のすすめで三和建設へ。
建築工事の現場は、朝が早かったり、夜が遅かったり。休み返上もざら。2年目のある日、参鍋は上司に告げた。
「会社やめます。この仕事、自分にあってません」
上司は言った。
「たかが2年で、この仕事の何が分かるんや。オモロいと思えることが、きっとある」
仕事をつづけてみた。工事計画をつくり、その通り完成させる達成感が、やみつきに。
ゼネコンの仕事が楽しくなってくると、参鍋には、新たなモチベーションが生まれた。
同期入社は12人。高卒は参鍋ら2人、あとは大卒。参鍋は出世、同期の大卒のほとんどは会社をやめていった。

参鍋が2年目に「やめたい」と告げた相手は、辻中敏(51)。彼も高卒、いまは専務、会社のナンバー2だ。
辻中の父が建築業を営んでいて、子どものころから現場に入り浸った。大手ゼネコンから監督としてやってくる若者が、父や職人たちに偉そうにしている。辻中少年は誓った。
〈いつか、あの場所に立つ。でも、偉そうにはしない〉
京都の工業高校へ。親も先生も大学進学をすすめた。「なりたい自分への早道は就職」と考えた辻中は、高校にすすめられた三和建設に入った。
いくつもの現場で監督をつとめた。もちろん、上から目線は排除、である。
そんな辻中の高校の後輩、冨川祐司(33)は、20代半ばから異例のスピードで現場監督をつとめる。冨川のモチベーションも、昇進して大卒同期を追い抜くこと。分からないことは辻中や参鍋たちに聞いては実践、を繰り返して今がある。
三和建設の役員と経営幹部、その4分の1が高卒である。学歴は関係なく、入社後の成長がすべてだ・・・

職業や職種によっては、学歴が関係ないものも多いです。そして、大学で学んだのが一般教養では、職業に役に立つことは少ないでしょう。