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経済

古新聞の回収

私の住んでいる地域では、区役所によるごみと資源の回収の他に、新聞配達店が古新聞を回収してくれます。新聞社によって違うのですが、A新聞は毎月第1土曜日が、回収日です。今日が、その日でした。
回収用の紙袋が配られ、それに入れて早朝に出すと、トラックで回収していきます。そして、袋1つにつき、トイレット・ぺーぺーを1個くれます。回収した古紙を再生したという「しるし」でしょう。1紙1か月で、だいたい2つになります。わが家は2紙取っているので、毎回3~4つもらえます。他社の新聞も、回収してくれるのです。
なかなか良くできた制度だと思います。分別してきちんと出そうという気になります。一家庭にとっては、大した金額ではないのですが。トラックの荷台に積まれた古新聞の量を見ると、大変な量の回収です。
区役所の資源回収もかなり進んでいて、プラスチック類、ペットボトル、古紙、缶、瓶などを決まった日に、回収してくれます。でも、先に書いた古新聞の場合は、トイレット・ぺーぺーをもらえるという、目に見える形(再生した)が、やる気を起こさせます。

市場が自由なだけでは、社会は良くならない

ハジュン・チャン著『世界経済を破綻させる23の嘘』(2010年、徳間書店)が、頭の整理になりました。新聞の書評などでも取り上げられているので、読まれた方もおられると思います。著者はソウル生まれで、ケンブリッジ大学准教授です。あまりに単純化された「自由市場経済主義」の問題点を、具体例を挙げながら論破します。取り上げられている項目=通説=嘘は、次のようなものです。
市場は自由でないといけない。すべて市場に任せるべきだ。企業に自由にやらせるのが国全体の経済にも良い。経済を発展させるには小さな政府の方がよい。市場がうまく動くのは、人間が利己的だからだ。途上国は自由市場・自由貿易によって富み栄える。世界は脱工業化時代に突入した。
日頃変だなあと思っていたことが、なるほどと納得できます。ご関心ある方は、ご一読ください。

頑張れ浅川さん。国際機関での日本の貢献

今日の朝刊に、財務省の浅川雅嗣副財務官が、OECDの租税委員会議長に就任することが載っていました。国際的な税制ルールづくりの場だそうです。国際機関で日本政府や日本人が活躍するのは、うれしいですね。
浅川さんとは、麻生内閣の秘書官として、一緒に仕事をしました。アメリカ発の世界同時不況に際し、日本政府がIMFに1千億ドル(約10兆円)の融資をし、中小国の資金繰りを助けたのは、その時の話です。国際金融の話は、私には新鮮で、たくさんのことを教えてもらいました。今朝、携帯電話にお祝いのメールを打ったら、夕方にパリから返事が来ました。

日本人の活躍とともに、このようなニュースが記事になることが、うれしいです。読者の関心がないのか、書く能力を持った記者が少ないのか、それを理解できる編集長がいないのか。このような記事は、めったにお目にかかれません。また、解説がないと、ほとんどの読者はわからないのではないでしょうか。
たぶん、それを書ける記者を、養成していないのだと思います。かつて書きましたが、日本の新聞やニュースの国内閉鎖性は、世界でも珍しいと思います。1億人の市場、日本(その国)だけで通じる日本語(言葉)、英語でなくてもできる大学教育。これを満たしている国は、日本くらいでしょう。フランス語やドイツ語、ロシア語は、1国だけではありません。エリートと財界人が、外国語(英語)なしで仕事ができる数少ない国なのです。
先に述べた1千億ドルの融資についても、総理記者会見の際に質問をした記者は、一人もいませんでした。また、大きな記事にならなかったので、ほとんどの日本人は知りません。そしてそれがどのような効果を持ったかも、記事になっていません。
日本が国際社会で貢献するには、輸出や援助も一つのバロメーターですが、このような国際経済対策やルールづくりも重要です。そして、それを理解して記事にできる記者を養成することも、必要ですね。次は、浅川議長の活躍を伝える記事を、期待しましょう。

円の実力

今日1月22日の朝日新聞経済面に、「円の実力横ばい。2010年、資源国が上昇トップ3」という記事が出ていました。NHKニュースなどで毎日伝えられるのは、円とドルの為替レート(ドルに対する円の価値)がほとんどです。この半年間は、円がドルに対し急速に値上がりし、経済への影響が議論されています。
しかし、日本が取引をしているのは、アメリカだけではなく、世界中の国々と取引をしています。そこで、アメリカ・ドル以外の通貨との為替レートを含め、貿易額を勘案して加重平均するのが、「実効為替レート」です。さらに、通貨の実力は物価変動にも左右されるので、それを調整したのが「実質実効レート」です。詳しくは、記事や解説書を読んでください。
国際決済銀行(BIS)が発表した数値では、2010年の円の実質実効レートは、前年に比べ0.9%の上昇でしかありません。ドルに対しては7%、ユーロに対しては12%値上がりしたのですが、他の国の通貨に対しては値下がりしたのです。例えば、オーストラリア・ドルに対しては9%値下がりしています。
多くの海外取引が、ドル立てて契約されているので、円ドル相場は大きな影響を持っていますが、日本経済・円の実力となると、この実質実効レートが意味を持ちます。
昨年値上がりしたのが、南アフリカ(ランド)、ブラジル(レアル)、オーストラリア(ドル)などで、これらは15~14%も上昇しています。中国(人民元)が-0.6%、アメリカ(ドル)が-4.4%、ユーロが-8%です。
ちなみに、記事によると、2005年を100として円の実質実効レートは、2010年は101.2で、ほぼ横ばいです。強くも弱くもなっていないと言うことですね。長期的な変化は、日本銀行のホームページ(統計データのページ、主要指標グラフの為替)でも見ることができます。日銀のグラフを見ると、ドルに対する円の実力と、世界全体に対する円の実力の違いが良くわかります。毎日のニュースだけでは、わからないものですね。
NHKの定時のニュースの最後で、円ドル為替相場や日経平均、ニューヨーク株式市場が伝えられるようになったのは、いつごろからでしょうか。私が子供の時は、定時のニュース放送では伝えられませんでした。日本が国際化したことの、一つの表れでしょう。昨年、NHKに問い合わせたのですが、「記録が残っていないので、わかりません」との答えでした。

産業別従事者数の推移

1月10日の日経新聞経済面「三度目の軌跡、データで見る」に、わかりやすいグラフが出ていました。1950年代から現在までの、産業別従事者数の推移です。
農林業が、1,500万人から260万人に大きく低下しました。製造業は、700万人から増加し、1964年に農林業を抜きました。1992年には 1,569万人とピークに達し、その後減少し、約3分の2の1,000万人程度にまで減っています。建設業は200万人から、経済成長とともに増加しまし たが、最も多かったのはバブル崩壊後の公共事業拡大期です。1997年に685万人に達しましたが、その後は公共事業の削減もあり、500万人程度に減っ ています。
卸・小売業、飲食店は、700万人程度から増加し、1996年に1,463万人と製造業を抜きました。その後、少し減っています。医療・福祉は600万人で、建設業を抜きました。
このように言葉で書くとわかりにくいですが、記事に出ているグラフはわかりやすいです。日本経済や産業の移り変わりが、一目瞭然です。