カテゴリーアーカイブ:経済

世界一しか売らない会社、批判だけでは許されない

2014年9月1日   岡本全勝

朝日新聞9月1日の夕刊連載「へえな会社」は、「世界一しか売りません」という医療器具製造のマニー(従業員数370人)でした。
年に2度、「世界一か否か会議」を開き、競合他社の製品に抜かれ、今後も抜き返せないと判断されたら、販売中止になるのだそうです。眼科ナイフの世界シェアは30%、微細な血管を縫合する0.14ミリ以下の手術針はこの会社しか作ることができないのだそうです。
高井寿秀社長のつぶやきが載っています。
・・製造技術は日進月歩。技術革新を続けないと、すぐに遅れを取ります。だからこそ「世界一か否か会議」を開いているのに、競合他社より劣る点だけを指摘して改善点に触れない若手がいて驚きます。本末転倒です。そのときはすかさず、執行役や部長から叱責の声が飛びます・・

廃棄物リサイクル、ものを捨てるには金がかかる

2014年8月28日   岡本全勝

8月26日の読売新聞解説欄「論点」は、細田衛士・慶應大学教授の「廃棄物リサイクル。資源回収、品目横断的に」でした。
先生の解説によると、日本には容器包装・家電製品・自動車など6つの品目別リサイクル法があります。これらの法律のおかげで、廃棄物の発生や排出抑制が進み、埋め立て処分量は10年前に比べて3分の1に減ったのだそうです。大きな成果ですね。
しかしまだ、課題はあります。資源となるものを、海外に流出させているのだそうです。詳しくは、本文をお読みください。詳しい数字は、「環境省白書(ホームページ)」をご覧ください。
商品やサービスの製造、販売、消費については、売り手の宣伝も大きく、経済学の教科書も取り上げます。しかし、10トンのものが売れれば、10トンの廃棄物が出ます。でなければ、個人の身体も、家も、町も、膨張するばかりです(笑い)。それらの、リサイクル、廃棄は、生産と販売と同じくらい重要なのです。「ものを買うのには金を払うけど、捨てるのはただにしたい」は、通用しません。
細田先生の『グッズとバッズの経済学』(第2版、2012年、東洋経済新報社)が、良い教科書です。我が家の体験談は、2012年12月23日。最近は、テレビを有料で引き取ってもらいました。

外国人向け免税店

2014年8月21日   岡本全勝

今日の放課後は、同業他社との意見交換会(う~ん、名目は違え、毎晩良く続くなあ・・)。会場に早く着きすぎた(N君の手配で、開始時間が遅かった)ので、近くを散歩。最近、銀座に行くことはないので。
銀座ライオン本店の隣に、主に中国からの観光客を相手にした免税店があり、視察しました。通りに、何台もの大型バスが並んで、免税店へ客を誘導し、また帰りを待っています。店頭の混雑と熱気は、たぶん30年前のパリやロンドンの、日本人観光客向け免税店(三越とかありましたよね)と同じでしょう。店員さんも、アジア系の人でした。
品揃えは、フロアガイドのとおり。入ったところに、シチズンとセイコーの時計があるのは、うれしいです。他は、ヨーロッパの時計ばかりです。しかも、1個で百万円を超えます。2階は、化粧品と日本の民芸品。観光地での土産物には、いつもがっかりします。芸者さんらしい女性を描いた扇子か湯飲み。う~ん、もう少しましなものはありませんかね。鉄瓶がたくさん並んでいたのは、意外でした。赤ちゃん用ミルクは、新聞報道で知っていたので納得。でも、これをたくさん抱えて帰るのかなあ。3階は電気製品。売れ筋は、相変わらず炊飯器です。他にひげそりとか。
これでは、あまり日本にお金は落ちませんねえ。かさばらずに、見た目が良くて、本人が喜ぶちょっと高価なものか、もらった人が喜ぶ土産、そして日本製が必要です。あなたなら、海外の友人に、何を持っていきますか。

公的サービスの適正さの確保

2014年8月6日   岡本全勝

8月3日の朝日新聞1面は、「保育園の企業参入、自治体が阻む 待機児童減らない一因」でした。
・・自治体が認可する保育園を企業が運営しようとしても、多くの市や町が「壁」を設けていることがわかった。政府が2000年に企業にも認可保育園を運営できるようにしたのに、社会福祉法人(社福)を優遇し、企業の運営を認めていなかったり条件を厳しくしたりしていた。保育料の安い認可保育園を希望しても入れない「待機児童」が、減らない一因になっている・・
・・認可保育園は約2万4千カ所あり、約9割を自治体や社福が運営し、企業は2%にとどまる。政府は2000年、自治体や社福に限っていた運営を企業にも開放したが、認可の条件などは市町村に任せている。
厚生労働省は5月、政令指定都市、中核市、待機児童が50人以上の市区町の計133自治体について、昨年10月時点の認可保育園の運営を認める条件をまとめた。これをもとに朝日新聞が取材したところ、半数以上の70自治体が企業参入に壁を設けていた・・
この記事を読んで、かつての規制緩和・民営化の議論を思い出しました。空港などの基本インフラについての、規制緩和・民営化の議論でした。
「空港や上水道など、国民生活に関わる重要なインフラを、外国の会社が買収したら困るではないか」という、懸念でした。しかしよくよく議論すると、空港や上水道事業の所有者が国内会社であれ外国会社であれ、きちんとした運営をしてくれないと困ることは同じです。「外国資本だから危ない」ということでは、ありません。運営会社の株式の過半数を日本人株主が持っていても、変な運用をされたら、同じです。
そのときの結論は、次の通り。
公的なサービスを提供する施設について、適正な運営を確保する必要がある。その場合、「所有者が誰か」とか、「運営主体が誰か」では、適切な運用は担保できない。そのためには、所有者や運営会社の国籍を規制するのではなく、「法律で運営規制をかけておく必要がある」ということでした。「所有規制」ではなく「運営規制」が重要なのです。入り口(提供主体)で規制するのではなく、出口(サービス)で規制するのです。
「社会福祉法人だから安心だ」とも「企業だから危ない」ともいえません。外国の宗教法人が実質的に運営する小中学校もあれば、企業が経営する病院もあります。質が高いので、それを選ぶ人も多いです。

内にこもるか、攻めて出るか

2014年7月10日   岡本全勝

6月16日の日経新聞の国際面に、ドイツポスト社長の発言が載っていました(古い話で、申し訳ありません)。
・・同社は、欧州の郵便市場自由化を転機に大型の合併・買収をしかけ、国際郵便・物流企業に脱皮した。DHLブランドの国際貨物などが売上高の4分の3を占める・・
これを読んで、10年前に、ドイツポストを訪問したことを思い出しました。衆議院総務委員会の欧州視察に同行して、訪問したのです。私の記録によると、2004年8月19日です。ドイツ・ポストが民営化され、郵政民営化を試みていた日本が、お手本としていたのです。ドイツも、決して順調ではありませんでしたが。私が感心したのは、アメリカのDHLを買収して国際市場に攻めていること、そして中国を市場と考える発想でした。日本には、そのような動きは見えませんでした。あの時感じたことが、今なお続いているのだなあという感慨です。でも、10年も経ちました。若い人には、昔のことです。
ここでの教訓は、「10年先を考えて手を打つこと」です。市場が国際化した現代では、今ある商圏とビジネスモデルを守っているだけでは、生き残れないのです。
このページの他、当時はあんなことを考えていたのですね。興味あれば、ご覧ください。欧州随行記その2ヨーロッパで考えたことヨーロッパで考えたこと2