カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

在宅勤務の負の影響

新型コロナウイルス感染症対策のために、在宅勤務が進んでいます。「在宅でも仕事はできる」という意見もあります。それに向いている仕事もあるでしょう。しかし、在宅勤務は、社員と組織の双方に負の影響を及ぼしています。
まず、社員についてです。

社員は、仕事をするためだけに職場に来ているのでしょうか。そうではないでしょう。
同僚や上司、部下との会話が重要であり、楽しみです。仕事に関することでも、画面を通しては聞きにくい、聞くほどのことではないことも多いです。また、仕事以外のことでも、たわいないことから相談事まで、ちょっとしたことを話したいのです。
会社で社員を個室に一人ずつ入れて、「これだけのことをしなさい。わからないことがあったら聞いてください」と仕事の指示をしたら、いじめになるでしょう。在宅勤務は、それに近いのです。

多くの職場で、仕事のやり方は、すべてが記述できるものではありません。引継書と手順書でできる仕事ばかりではありません。
仕事に慣れた経験者なら、仕事で悩んでも切り抜ける方法を身につけているでしょう。しかし、新入社員や人事異動で来たばかりの社員は、誰に相談してよいのか、何を相談してよいのかわからないのです。精神的に不安になっている社員も、多いのではないでしょうか。

この問題は、児童や学生が学校に登校せず、自宅学習する場合にも言えます。子どもも大学生も、教室での勉強以上に、友達とのおしゃべりや遊びが楽しく、それが成長につながるのです。ひとりぽっちでは、さみしくなります。この項続く

最低支店長から社長に

9月15日の日経新聞「失敗のススメ」は、「悔しかった「最低支店長」の烙印 井村屋G社長の挫折」でした。肉まんやあずきバーで有名な井村屋の中島伸子社長が、職員から最低の評価を受けながら、そこから立ち直り、社長になる話です。

・・・社会人にとって自分のマイナス評価につながる「失敗」はなるべくしたくないもの。しかし会社人生で致命的ともいえる失敗をしながら、それを糧に成長した経営者がいる。部下の離反、海外事業の撤退、巨額損失……。失敗から何を学び、どう立ち直ったのか。6人の失敗経験を振り返りながら、逆境をバネに成長するヒントを探る。
「会社にいない方がいい」。支店長時代に部下の大半からそのような烙印を押された・・・

関東支店長の時、約50人の部下に匿名でアンケートをした際のことです。自分への評価を5段階で聞いたら、約40人が1点「いないほうがよい」か2点の「たいしたことない」をつけました。落ち込んだ中島さんは、上司に辞表を提出します。しかし専務は「社員に聞いてどうする。評価はお客さんに聞くもんや。そんな辞表は受け取れない」と一蹴されます。
中島さんは、自分のやり方を見なおします。それまでは前任者のトップダウン式を踏襲していましたが、現場に社員と一緒に赴いて取引先の話を聞くようにしました。
自分視点の考え方を捨てると、見える風景が変わりました。関東支店を建て直し、その後は出世を続けて、社長になります。
ぜひ、原文をお読みください。

オンラインでの謝罪

9月14日の日経新聞夕刊Bizワザは「誠意伝わる服装や場所で オンラインで謝罪」でした。お詫びは対面でするのが基本ですが、コロナ下では、ビデオ会議システムでお詫びする機会も増えているようです。
といっても、私が経験したお詫びも、目の前には記者たちがたくさんいましたが、その向こうには県民がいました。カメラを見て話すのは同じです。オンラインでの謝罪は、相手の顔が見えるということです。

記事には、参考になる点が書かれています。和田裕美・ビジネスコンサルタントの「原因や対策、説明を明確に」も勉強になります。
お詫びの機会はない方がよいのですが、今やどの組織でも管理職に必須科目になりました。読んで勉強しておいてください。

社員は社長から未来の話を聞きたい

9月9日の日経新聞「私のリーダー論」は、石坂産業・石坂典子社長の「カリスマ性より理念で勝負」でした。風評被害で存続の危機にあった産業廃棄物処理会社を父から引き継ぎ、社会で理解される会社に生まれ変わらせました。産業廃棄物処理は、ゴミ処理場などと同じく、社会にとって不可欠の仕事です。しかし住民は、「自分の近くでは操業しないでほしい」と拒否反応を示します。

この記事は、リーダー論です。
「「世界で一番、人から愛される会社に変わろう」。後を継いだ石坂典子社長は高い理念を掲げて社員の意識を変え、やる気を引き出す。反発する社員の大量退社も乗り越え、環境共生のモデル企業と呼ばれるまでになった」

――良いリーダーの条件とは何でしょう。
「ちゃんと先を見すえている人じゃないとダメでしょうね。あとは、ぶれずに芯があり、誠実であることでしょうか。私の父がそうでした」
「毎期の売上高も大事です。でも社員はリーダーの口から、未来の話こそ聞きたいのではないかと思うのです。想像できないような遠い先に、世界はどうなっているか。自分たちはどんな役割を果たせるか。単に会社の将来の話だけでは、若い人たちは自発的に動いてくれません」
「この人は何をしたいのだろうと、リーダーは日々、社員から人間性をみられています。責任感はもちろん必要ですが、それだけではリーダーはできない気がします。事業への前向きな使命感をもっているかどうかが大事ではないでしょうか。それと情熱です。どれが欠けてもリーダーは難しいと感じます」

「オールド・ボーイズ・クラブ」2

オールド・ボーイズ・クラブ」の続きです。第5回9月3日は「多様性が「当たり前」に挑む」でした。第4回までは男性社会を取り上げていましたが、女性社会もありました。
・・・男性が多数派の世界で形成されるオールド・ボーイズ・クラブ(OBC)。男性が悪いというよりも、一つの性が多くを占め、多様性に欠けることが問題なのではないか。そこで、女性が多い看護師の世界を取材した。
自民党の石田昌宏参院議員(54)は1990年に看護師となった。「当時はまだ男性看護師が1%くらい。看護協会本部の建物でも、女性用トイレに壁を作って男性用にしていた時代です」
いま男性看護師は8%ほど。まだまだ少数派だ。現場の看護師はどう感じているのだろう・・・

・・・たばこ部屋や飲み会ならぬランチ会で、知らぬ間に決まっていることもよくあった。「病棟の方針や仕事の手順など重要なことが、さっき決めたから、ランチ会でそうなったから、と言われて」
男性多数の企業社会で起きていることと似ていないか。

男性が増えたら変わりますか? 佐藤さんに聞いた。「ただ増えるだけではなく、役職がつき、責任ある立場につくことが必要です」。米国の女性と政治の専門家が「ただ女性が増えるだけでなく、役職につかなければ」と強調していたことと同じ答えだった。
多数派は新しいことに踏み出すのをためらう――。関西在住の男性看護師(33)も似た経験をした。「患者の床ずれを防ぐために2時間ごとに体位を変えていたんですが、患者によっては4時間でも大丈夫だというガイドラインが示されたんです。そこで、一人一人データを取りつつ、3時間に変えようとしたんです」。しかし、ものすごい抵抗にあったという。
「2時間おきに変えるより記録をとる方が空いた時間を患者の状態を分析する時間に振り向けられる。患者にも良いと思ったんですが……」。マニュアルや手順書を作り、データを示し、勉強会を重ねてようやく受け入れられた。「私たち少数派は視点が違う。多様な人がいる方がフットワーク軽く挑戦でき、変革できます」・・・