4日の日経新聞「経済教室」は、神野直彦先生の「国・地方で税財政大再編を。消費税の配分厚く、法人事業税は外形標準化」でした。同じく読売新聞「論点」は、西川一誠知事の「税源の偏在是正、納税者の思いを形に」でした。
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地方行財政
税源移譲
6月も半ばになり、勤め人の方には、月給が出るころだと思います。私も、給与明細書を渡されました。現金は銀行振り込みですから、私を素通りして、まっすぐ「キョーコさん」のところに行きます。今月は、給与明細の他に、「税源移譲について」のお知らせがついていました。
所得税(国税)から住民税(県税・市町村税)への税源移譲が、今年から実行されています。所得税は1月から減り、その分が6月の住民税から増えているのです。皆さんも、今月の給与明細書を先月のと、さらには去年12月のと比べてみてください。ただしこのほかに、定率減税の廃止による税金の増加もあります。
さて今回の改正で、次のようなことも起きます。これまでは、納税者の8割以上の人は、住民税より所得税の方が多かったのです。これからは、逆に8割以上の人は、住民税の方が多くなります。大概のサラリーマンは、ここに入ります。これまで「税金が高い」と思っていても、国税が主だと、「総理には、文句を言いに行きにくいなあ」でした。これからは「住民税が高いので、市長に文句を言いに行こう」となります。私は、それを期待しています。国は遠いですが、市役所は近いです。これが自治です。
あなたの税金が無駄に使われていないか、よーく市役所を監視してください。「毎月給料日は、住民税を考える日」です。この点については、「続・進む三位一体改革」月刊『地方財務』2005年6月号p152に、図表入りで解説しました。抽象的に分権を解説するより、給与明細書(実際の負担)の方が、はるかに自治を実感してもらえると期待しています。
2007.06.08
神野直彦先生の「財政学」の改訂版が出ました。初版は2002年で、その後の制度改正、数字の変化が反映されています。
2007.06.07
林宏昭先生が、「分権社会の地方財政」(2007年、中央経済社)を出版されました。分権社会を目指す上で、地方財政の枠組みはどうあるべきか、地域はどのような責任を果たすべきか。1つの項目が2~3ページで簡潔に解説されていて、読みやすいです。三位一体改革、交付税の変化、地方債の変化など、最新の情報が入っています。
分権、世論がカギ
6日の朝日新聞では、坪井ゆづる編集委員らが「分権推進委員会第2期改革、地方政府へ始動。勧告実現、世論カギ」を大きく解説していました。
・・10年余りにわたって続いてきた分権は、第2期改革の幕を開けた・・新たな切り口を象徴するのが「考え方」に入った「地方政府」という言葉だ。政府関係の文書に、初めて登場した。財政面では補助金や交付金を頼り、仕事も各省の指示通りにやる自治体は、しょせんは半人前。「政府は中央政府だけだ」という霞ヶ関の常識があったからだ。それが10年余りの分権改革で、自治体も立法、行政、財政権を備えた政府を目指すという位置にまではこぎつけた・・
第2期改革の大きな特徴は、分権委と経済財政諮問会議とが二人三脚で進みそうなことだ。丹羽委員長が、両方のメンバーで連結役になる。すでに諮問会議が、政府の出先機関の半減案を提示。それを分権委で審議するレールを敷いた。国と地方の役割分担を、公務員の定員で論じる手法は具体性があり、論議の種発点になりそうだ。分権の旗振り役に、これほど内閣への発言力があった例はない。ただ、内閣には分権委の勧告を尊重する義務はない・・世論がどちらを向くのかが、カギを握る・・