今朝出勤して、内閣府の建物に入り、階段を下りていました。すると、掃除をしているおじさんが、手を止めて、「おはようございます」と挨拶をしてくれました。いつもは、私から声をかけるのですが、今日は考え事をしながら歩いていたので、こちらから声をかけるのを忘れたのです。毎朝、私から声をかけるので、向こうも覚えていてくれたのでしょう。でも、先に声をかけられたのは、不覚でした。
「明るい係長講座」にも書きましたが、かつて仕えた大臣や知事さんから、挨拶の大切さを学びました。富山県庁で、守衛さんや掃除をしてくれている人たちに、挨拶とお礼を言ったら喜んでもらえたので、その後は、職場で誰彼なしに、挨拶するようになりました。と言っても、「おはようございます」とか「ごくろうさま」「ありがとうございます」と、一言です。「変なおじさん」と、思われているのでしょうかねえ。
先日、初対面のある大臣警護官に挨拶したら、「かつて総理官邸前で警備していたら、当時の岡本総理秘書官に、『ごくろうさま』と声をかけてもらいました」と言われました。帽子をかぶっていたらから、私とわかったのでしょうか(笑い)。
総理官邸前では、たくさんの若い警官が警備で立っています。雨の日も寒い朝も。「ごくろうさま」と声をかけると、敬礼で返してくれます。今の仕事に就いてから、総理官邸に行くことも増えました。離れてから1年半経つのですが、官邸勤めの職員さんたちが覚えていてくれて、声をかけてくれます。ありがたいことです。
「仕事の仕方」カテゴリーアーカイブ
生き様-仕事の仕方
部下に信頼される上司
リスクについて、勉強を続けています。連載の範囲からは少し外れるのですが、安心に関する心理学にも興味を持って、いくつか本を読みました。中谷内一也教授の著作が、勉強になりました。人は何を安全と思うか、報道によっていかにイメージがつくられるかなどです。例えば、『安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学』(2008年、ちくま新書)や『リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか』(2006年、NHKブックス)です。食品偽装事件などを例に、わかりやすく書かれています。
ところで、『安全。でも、安心できない…』は、管理職論、人間関係論として、非常に参考になりました。この本は、リスクに関して関係者(製造業者、商店、厚生労働省)や評価機関が信頼できる場合とできない場合を、心理学の知見から解説しています。いくつも勉強になることが書いてあるのですが、その一つに次のようなことがあります。
人が他人や会社を信頼するのは、その「優れた能力」だけでなく、「まじめな姿勢」と「相手への配慮」によるのだそうです。
なるほど。この3つに要約すれば、わかりやすいです。仕事ができる上司でも、一生懸命さが見えない上司は、尊敬しにくいです。仕事ができ、かつまじめな上司でも、部下である私の話に耳を傾けてくれない上司は、とっつきにくいです(反省)。
今まで、部下に信頼される上司のありかたについて考え、話してきましたが、この整理はわかりやすいです。「何だ、当たり前のことじゃないか」とおっしゃる方もおられるでしょうが、なかなか実践はできないものです。私の経験を加味して、使わせてもらいます。
知識以上に顔の広さ
拙著「明るい係長講座」に、「know how から know who へ」を書きました。判断力を養う方法、視野を広げる方法としてです(「中級編」p51)。一人の人間が身につけることができる知識には、限りがあります。それを補うのが、それぞれの分野について詳しい人を知っていることです。
NHKラジオ入門ビジネス英語12月号に、次のような慣用表現が載っていました。こちらの方は、ビジネスでの人間関係の重要性に重きが置かれていますが。
It’s not what you know, it’s who you know.
管理と経営の違い、運営と統治の責任の違い
必ずしも明確に定義された言葉ではないのですが、管理(運営)と経営(統治)の違いを、説明しましょう。
管理(運営)は、与えられた権限や責任を果たすことです。他方、経営(統治)は、自らに委ねられた範囲の問題に責任を持つことです。
前者は、会社や行政組織の部長や課長を想像してください。与えられた部や課に責任を持ちますが、それは与えられた権限の範囲内です。すなわち、「それは私の担当ではありません」「私の責任ではありません」と言うことができます。
後者は、社長や市町村長、さらには首相を想定してください。社長は会社の生き残りをかけて、あらゆることを考えなければなりません。市長も、市内で起きた問題のすべてに、対応を求められます。もちろん総理もです。「それは私の権限ではありません」「私の責任ではありません」と言えないのです。担当者がいなければ、担当者を任命しなければなりません。また、問題が生じた場合に、「担当者に任せてあります」という台詞も、許されない場合があります。
社長、市長、総理の職責は、部課長とは違うのです。部長や課長の責任は、与えられた権限の範囲内です。それを越えると、越権です。一方、社長、市長、総理は、その組織と地域に無限の責任を持っています。規則や法令が不足するなら、それを作らなければなりません。社長や市長、総理は、「規則に則って処理しました」では不十分な場合があるのです。
前例と規則に則って仕事をするのは、部下の勤め。必要な場合には前例にないことをすること、規則がない時にはそれを作ることが、トップの責任です。それが経営であり、統治です。
年間スケジュールの確認
自治大学校では、今日、幹部会議で、年度後半の業務計画を確認しました。毎週月曜日に定例会を開いて、その週と次の週の、仕事の打ち合わせをしています。今日は、10月になったので、これから半年間にしなければならない事項を、みんなで打ち合わせたのです。皆さんの職場でも、しておられることと思います。
「明るい係長講座」にも載せたように、各部課ごとに案件をカレンダーに落として、一覧表にしてもらったのです。一覧表にすると、良くわかります。各部課長は、それぞれ担当の仕事は把握しているのですが、私はこのように一覧表にしてもらわないと、イメージがわかないのです。「そういえば、こんな仕事もあったなあ」とか「これも片付けなければいけない」と、忘れていた案件も、おもてに出てきます。
この表ができれば、管理者としての仕事の半分はできたと同じです。あとは、案件の締め切り時期の少し前に、「どこまで進んだの?」と、聞けばよいのですから。