現場で汗をかくことと、本部で先を読むことと

被災者支援の仕事をしていて、常に考え、悩んでいることがあります。それは、「今、私たちの仕事で欠けていることは、何だろうか」と「次に、必要な仕事は、何だろうか」ということです。
当然、今取りかかっている仕事が、うまく進んでいるかを確認することは、重要です。しかし、それは部下職員が、それぞれ責任を持ってやってくれています。
責任者としての私が考えなければならないことは、「今できていないこと」の拾い上げです。そして、「次にすべきこと」の手配です。これは、難しいですね。あることの評価でなく、無いことの想像ですから。いろんな方面から情報を集め、今の仕事から少し距離を置いて、そして例えば2週間や1か月後の状態を想像しながら、考えるしかないです。構想力が問われます。課題がわかれば、次にはそのための職員配置を考え、工程表を立てることができます。それは、大まかな方向を示せば、参事官たちが考えてくれます。

私がこの仕事に従事して最初にしたことは、「現地の課題と被災者生活支援チームの取組み(分類)」を作ることでした。そして、それに合わせて組織をつくること(班編制と職員集め)でした。この表は、その後は、各参事官が更新してくれています。私は、この表に載っていない課題を考えることが仕事なのです。
毎日忙しいので、目の前の仕事に忙殺される。それはそれで充実感があるのですが、それに没頭していると、先のことが考えられません。

定例的な業務をしている際には、このようなことを考えなくても、目標と工程表はあるのです。軍隊や初めての仕事を立ち上げる場合には、このような「作戦参謀」の仕事が必要なのでしょう。
各市町村の災害対策本部でも、現在の課題と取り組み状況の確認と合わせ、次の課題と取り組み方を考えておられるでしょう。市長とその参謀が、それをどれだけ適確にするか。「先を読む」。それによって、業務の進み方が、大きく違ってくるでしょう。うまくやれると、部下に無駄をさせず、また、住民の希望に先回りして応えることができます。