カテゴリーアーカイブ:行政機構

国家戦略会議

2011年10月23日   岡本全勝

10月21日の閣議で「国家戦略会議」を開催することが、決定されました。報道によると、経済財政諮問会議に似た機能を担うようです。
かつて、このホームページでは、内山融先生の『小泉政権ーパトスの首相は何を変えたのか』(中公新書、2007年4月)
を紹介して、経済財政諮問会議の効果を述べました(「経済財政諮問会議の効果」2007年4月28日)。また、経済財政諮問会議が果たしている、政府の「企画部」としての役割を指摘したことがあります(「政府の企画部」2007年4月26日)。
政策の優先順位付け、争点の設定、決定過程の透明化、総理の主導権など、閣議ではできない機能を担うことが、期待されます。

懐かしの執務室取り壊し、内閣を補助する事務の統合と管理

2011年10月8日   岡本全勝

内閣府庁舎の別館(B棟)の、取り壊し工事が始まりました。総理官邸の向かいに、いわゆる本府ビルがあります。その南側に、講堂や会議室がある別館があります。3月20日以降約3か月間、そこの講堂と会議室に、被災者支援本部(チーム)が入っていました。講堂とその上にあるプレハブなので、執務室としてはあまり環境は良くありません。
さらに、当初は机も椅子もなく、大変な状況でした。当時の状況は、写真で残してあります。この写真の内、下段左2つが講堂、下段右がプレハブ執務室です。なつかしいですねえ(4月21日の記事でも、紹介しました)。仕事が大変だっただけに、思い入れもひとしおです。新しいビルを建てるので、取り壊されます。

内閣府と内閣官房は、省庁再編の際に、いろんな部局と機能が集まったので、本府庁舎のほかに、いろんなところに分散しています。さらにその後、新しい課題に対応するため、新組織や臨時組織がつくられています。内閣官房にどのような組織があるか、組織図をご覧ください。
私どものように、民間ビルに入っている組織も多いです。やはり不便ですね。課題は、庁舎を建てて近くに寄せることと、これら機能の管理と統合をどうするかです。
後者は、行政組織論、統治機能論として、大きな課題です。世間では、国家行政機構を「霞ヶ関」「1府12省」「各省庁」と呼び、そのようにイメージすることが多いです。しかし、官邸行政機構(総務官室や秘書官室など)の機能と役割、内閣官房の機能と役割、内閣府の機能と役割は、大きくなっています。各省より一段上に、これらの組織があります。各省に属さない新しい仕事、各省にまたがる仕事、総理からの特命の仕事、さらに各省間を調整する仕事が主です。課題が次々と変わっていくことも、特徴です。また、仕事柄、各省との連携も重要です。職員は、寄せ集めにならざるをえません。
これらの制度設計、職員の配置と養成をどうするか。これまでの教科書や論壇で取り上げられていませんが、大きな課題です。いつか時間ができたら、事実と議論を整理しようと思っているのですが。いつものように決意表明(苦笑)。

臨時的組織の難しさ

2011年7月7日   岡本全勝

私たちの復興本部は、臨時的組織です。大臣、副大臣、政務官を持ち、職員は現時点で約60人。すると、政策を企画する部隊のほかに、様々な機能が必要になります。すなわち、大臣などの秘書室、国会担当、広報担当、人事や庶務担当です。前線で戦う部隊のほかに、後方で支援する部隊です。
これがなかなか難しいのです。各省にある大臣秘書室、国会担当課、庶務課では、過去からの蓄積があり、経験豊かな職員とノウハウを持っています。しかし、臨時的組織で寄せ集めの組織では、いかに優秀な職員を集めても、経験やノウハウの伝授がありません。 また、多くの職員は、法律を作るのは上手でも、旅費の支出手続は詳しくないとか。
例えば、私はかつて総務省総務課長で、国会担当を勤めました。新人課長を、経験豊かな職員たちが、過去からの引継ぎを基に支えてくれました。(2004年2月26日の記事)。紙には書かれていない「しきたり」があって、それを知らないと仕事がうまく回らないのです。
今日、久しぶりに国会の準備に回りましたが、かつての経験はすっかり忘れてしまいました。2年半にわたり、年間の半分を国会で過ごしていたのに・・。仕方ないので、当時のお師匠さんである福本さんに、電話をかけて教えてもらいました。
復興担当大臣は防災担当大臣と兼務なので、内閣府防災部局に助けてもらっています。もっとも、そこも一つの省ではなく、局に相当する「政策統括官」組織です。秘書課や総務課を持っていません。
日頃の業務が、いかにたくさんの人たちに支えられているのかが、良くわかります。感謝。

政府の組織設計

2011年6月9日   岡本全勝

職場の管理職として、どうしたら楽しく仕事ができて良い成果を出すことができるか、長年考えてきました。『明るい係長講座』を書いたりもしました。自治大学校長として、あるいは講演に呼んでいただいて、しゃべったりもしました。早く、一冊の本にまとめなければと、思っているのですが。
職場管理や職員養成とともに、職場の組織をどう設計するかも、私の関心の一つです。霞ヶ関では、各省の内部組織をどう設計するか、各省をどう編成するか、そして内閣官房や内閣府をどう設計するか。これは大きな課題です。2001年に省庁改革を行い、現在の形になっています。その時もいろいろ勉強しました(『省庁改革の現場から』)。
今回の被災者生活支援本部事務局を立ち上げ、運用する際にも、考えることが多かったです。
民間企業と比べて、あるいは地方自治体と比べても、国家行政機構の組織設計、特に内閣の周りは、改善の余地があると考えています。まず、経営企画室(部)に当たる組織がありません。民間企業では、考えられないでしょう。次に何を売るかを考えることが、最も重要なのですから。地方自治体なら、企画部か首長直轄の政策立案機関があります。
また、人事と組織の戦略を考える人事部や組織設計部がありません。各省にはあるのですが。そしてそのような組織設計を考えている人や組織がいないのです。これらについては、別途、書きましょう。

本屋には経営学や、組織論の本がたくさん並んでいます。それらは民間企業向けで、行政機構の設計について書いた本は、見あたりません。それは仕方ないとしても、なかなか参考になる本が見つかりませんね。

(職位から見た組織論・出世とともに何が必要となるか)
その論点とは外れますが、稲葉祐之ほか『キャリアで語る経営組織―個人の論理と組織の論理』(2010年、有斐閣)は、管理職論としてわかりやすく、有用でした。目次を見てもらうとわかるように、職員が入社して、異動し出世し、社長になる過程ごとに、組織論のテーマを解説してあります。中堅の公務員が読んでも、役に立つと思います。平職員と管理職、さらにはトップでは、見方が変わり、必要な知識も違うのです。平職員の時には上司を批判していたのに、いざ自分が課長になったら、「そうだったのか」と納得することがあります。
ある程度の歳になり、ポストに就くと、リーダーシップ論や管理者論を、本を読んだり経験で知っておられるでしょう。この本を読むと、それらが体系的に整理できます。

司法制度改革10年

2011年6月8日   岡本全勝

7日の朝日新聞が、司法制度改革10年を特集していました。司法制度改革審議会が意見書を出して、10年になります。実際の改革は、その後、25本もの法律改正によって実施されました。
裁判員制度、法テラス、ADR、知財高裁、法科大学院、司法試験改革などです。司法を身近にすること、法曹の量を増やすこと、国民の司法参加が、目的でした。司法制度改革は戦後改革以来初のことで、これらは日本社会の大きな改革でした。
私は、行政改革の分類の中で、これらを、「事前調整から事後監視へ」や「公開と参加」などに位置づけました。このような改革は、ある日突然変わる、あるいは写真になるような改革ではないので、なかなか国民の実感には現れません。裁判員に選ばれると、実感するのでしょうが。

ところで先日、北村亘大阪大学教授から、この表について、地方分権改革は、「官の役割変更・経済活性化」に位置づけるより、「ガバナンス改革」に位置づける方がよいのではないか、との指摘を頂きました。
確かにそうですね。実はこの大分類は、後から考えたものです。何度も試行錯誤しました。その際に、国から地方への地方分権改革は、中央政府のスリム化であるとの位置づけからスタートしたので、それに引きずられた結果になっています。北村先生、御指摘ありがとうございました。