カテゴリー別アーカイブ: 災害復興

行政-災害復興

避難解除地域の住民登録、2割減

NHKニュースによると、9市町村の避難指示が解除された地域で、震災発生時に住民票を登録していた人は約6万1千人だったのに対し、現在は4万9千人と、20%減ったことが分かりました。

予想されたことです。復興庁が市町村とともに行っている住民意向調査では、「戻らない」という回答が、多い町では約半数を占めています。
避難先などで新しい生活を始めた方も多いです。これまで、住民票を元の市町村に残していた人も、新しい生活地に移しつつあるのでしょう。
それを前提に、街づくりを考えなければなりません。

企業の被災地農業支援

福島県南相馬市小高区のお米が、アイリスグループから、パックライスとして発売されたことを、先日紹介しました(1月31日の記事)。
今度は、浪江町の農業を支援してくださいます。協定締結
ありがたいことです。
被災地は、他の地域以上に、従事者の高齢化が進んでいます。作っても、どの程度売れるか不安です。良いものをつくるためには、それだけの技術と投資が必要です。舞台アグリ、アイリスグループがついてくださると、安心です。
もちろん、要求される水準は高いでしょうが。それが、売れることにつながるのです。
これからは、農業も家業でなく事業の時代です。

他方、3月22日の日経新聞夕刊に「福島の高校生 食の魅力発信 」が載っていました。
・・・東日本大震災の被災地で、福島の高校生が生産者に取材し、食材の魅力を伝える季刊誌「食べる通信」が4月で創刊3年を迎える。雑誌と一緒に様々な食材が届くことが好評で、購読者は当初の3倍に増えた。卒業した創刊メンバーの思いを引き継いだ後輩たちが取材に駆け回り、故郷の復興を後押ししている・・・
災害を機に、様々な挑戦がなされています。

放射線量計の配置縮小

原子力規制委員会が、福島県内に設置している放射線量計の台数を縮小することを決めました。朝日新聞の記事(3月21日)を引用します。順次、平常に戻りつつあるしるしです。

・・・原子力規制委員会は20日、福島県内の小学校や公園などに設置している放射線量計約3千台のうち、空間線量が低い地域の約2400台を減らす方針を決めた。東京電力福島第一原発事故から7年が経ち、除染が進んで線量が目安の毎時0・23マイクロシーベルトを下回る地点がほとんどとなったほか、線量計の耐用年数が迫っていることなどから、配置を見直す。原発周辺の線量計は維持する方針だ・・・
・・・維持に年3億6千万円かかっているほか、地元住民からは「線量計があると、ここは線量が高いのかと思われる」といった声が出るようになったことから、3年かけて600台規模まで減らすことにした・・・

田中俊一・前原子力規制委員長、「避難指示解除が遅い」

月刊『文藝春秋』4月号、田中俊一・前原子力規制委員長の「私はなぜ飯舘村に移住したのか」の続きです。
・・・なぜ避難指示の解除まで6年もかかってしまったのか。これは、明らかに政府の失敗です。 そもそも、国は避難指示の解除について、年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることを条件として掲げていました。その基準であれば、5年前にはほとんど全員が帰ることができたはずです。しかし世間では、国が長期的な目標とした年間1ミリシーベルトを目指すべきだという声もあった。そのために、国はいざとなると「年間20ミリでは地元が納得しない」という理由で、ずるずると避難指示解除を先延ばしにしたのです・・・

田中俊一・前原子力規制委員長、「除去土壌の処分方法」

月刊『文藝春秋』4月号に、田中俊一・前原子力規制委員長が「私はなぜ飯舘村に移住したのか」を書いておられます。一部を紹介します。
・・・いま飯舘村には、フレコンバッグが約230万袋あるとされています・・・国の方針では、フレコンバッグは双葉町と大熊町をまたいで建設された中間貯蔵施設に運ばれ、可燃物と土壌に分別されて、可燃物は焼却された上で貯蔵されることになっています。しかし私は常々、その処分方法では、お金と時間を浪費するばかりだと訴えてきました。
いまの方法では、処分にかかる費用は1袋あたり5万円から10万円だと聞いています。その上、大量のフレコンバッグを中間貯蔵施設まで運ぶにも、大変な手間と費用がかかる。これでは、関連業者を儲けさせるばかりです。
私は、中間貯蔵施設に集めるのではなく、各自治体が管理処分場を設けて、土を埋設すればよいと事故直後から主張してきました。土壌に付着している放射性物質は、ほとんどが放射性セシウムですが、これは一度土にくっついてしまえば、そこらか動くことはほぼありません。雨などで土が流れてしまわないよう、しっかりと土止めをし、その上に綺麗な土を50センチもかぶせておけば、放射線も遮断されて安全に生活することができる。わざわざ中間貯蔵施設に運び込まなくても、十分安全に保管できるのです・・・