3月1日付け読売新聞は、1面で復興についての連載を始め、また「被災企業と雇用」について特集を組んでいました。
3県で被災した商工業者は2万7,149業者で、うち22%、5,947業者が事業を再開できていません。1,754業者が廃業を決めています。
街の復旧、インフラの復旧が進んでいないこともありますが、新たな借金を抱えて事業を再開することが困難な上に、人口減少が続く高齢過疎の町が多く、将来の見通しが難しいことも大きな理由です。
求職者数と求人数のズレも,大きな課題です。がれき処理など,短期で臨時の雇用が多く、安定した仕事が少ないのです。
自治体などが被災者を雇用する「雇用創出基金事業」は、これまで約3万人を雇いました。もっともこれは、短期の雇用です。
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行政-災害復興
復旧復興予算の執行
復旧復興が進んでいないという批判の一つに、予算が執行されていないという指摘があります。補正予算がどの程度執行されているか、各省の協力を得て、取りまとめました。平成23年度補正予算についての調べです。
何をもって「執行」というかは、いろいろな定義があります。建物が完成した時点、予算が支出された時点、契約が締結された時点、国から地方団体に予算が渡された時点などです。この調査では、国においてか所付けをした時点=地方団体が執行する金額が確定し、執行できる状態になったものを調べました。これより先の数字を調べようとすると、地方団体の協力が必要で、忙しい団体にさらに仕事を増やすことになるからです。
これで見ると、約55%が執行されています。予算額の多くを占める第3次補正予算は、11月に成立したので、それから数えると3か月経っていません。各省とも頑張っています。なお、例えば総務省は23%と低くなっていますが、復興特別交付税が3月に決定されるので、それが行われれば、一気に上がります。
進んでいない事業には、被災地での計画作りが進んでいない、住民合意が遅れている、専門職員が不足しているといった課題もあります。
職員の応援
総務省が、被災地への地方公務員の派遣数を公表しました。延べで7万9千人です。現時点で、約800人が派遣されています。これは、消防や警察を除いた地方公務員の数です。今回の被災地支援の特徴の一つが、職員の派遣です。当初は、避難所の運営などの応援が多かったのですが、現在では施設の復旧や復興計画策定の支援が多くなっています。
復旧復興を進めるには、施設の復旧の技術者や街作りの専門家が、必要です。被災地の市町村にはそのような専門家が少ない上に、何年分もの事業があるのです。国からも応援に行っていますが、他の自治体からの職員の応援も、さらに増やしてもらう予定です。全国知事会、市長会、町村会や、国土交通省、総務省が全国の自治体に呼びかけて、専門職員の派遣をお願いしています。
もっとも、応援に出す自治体も、職員に余裕があるわけではありません。各自治体も行革で職員数を削減していますし、専門職となると数も限られています。そもそも、自らの自治体の業務量に応じて職員数を確保しているのです。民間の技術者も、OB職員も、それぞれに仕事があります。お金を出せばたくさん集まるというものではありません。
ところで、今朝2月23日の朝日新聞が、現地で技術職員が不足していることを取り上げていました。指摘は正しいのですが、次のような記述がありました。
・・国交省は4月から技術系職員150人を被災地に派遣することにしたが、岩手県のある市幹部は「時期も遅いし、人数も一けた少ない」と冷ややかだ・・
このような発言が出るのは、残念です。上にも書いたように、それぞれの自治体や国も、職員数に余裕があるわけではありません。限られた職員、忙しい職員をやりくりして、支援しているのです。その事情を理解してほしいです。
復興宝くじ
昨日、下のように書いたら、今日、職員から言われました。
職員「岡本統括官は、ポジティブですねえ。だって、ほとんどの人が当たらないのですよ」
全「そりゃそうだ。だから、被災地に支援することができるのだから」
職員「たくさんの人がはずれるから、たくさん支援できるのですよね」
復興宝くじ
復興支援グリーンジャンボ宝くじが、14日から売り出されています。1等賞金3億円、前後賞を入れると5億円です。コンビニのローソンでも買えます。
当たるとすごいですよ。サラリーマンの生涯所得以上の金額が、非課税で手に入ります。1等賞は22本。「なかなか当たらない」とおっしゃいますが、22人は当たります。もしはずれても、復興を支援したと納得できます。