13日の日経新聞経済教室・労働契約を考えるは、笹島芳雄教授でした。「ワーク・ライフ・バランスの実現が困難な最大の要因は、現在の日本的働き方にあり、典型的には長時間労働・恒常的残業という姿で表れている。厚生労働省で進められている労働時間法制の見直しにより、日本社会にワーク・アンド・バランスが根付く政策の実現を期待したい」。
そして、残業時間に対する賃金割増率の引き上げに関して、日本では算定の基礎賃金に賞与分を含んでいないこと、賞与の割合の大きい日本にあっては、割増率だけで諸外国と比較しては間違うことを指摘しておられます。
また、自律的労働時間制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)についても、アメリカでは83%の企業で職務記述書が用意されていて、個々の労働者の業務内容ははっきりしていること。それに対し、日本では職務記述書はなく、職務内容のあいまいさは弾力的な業務運営を可能とするが、全体として非効率・長時間労働の温床になっていること。チームワークでの業務が多く、自律的な働き方を困難にしていること。アメリカでは、担当職務の選択権をホワイトカラーが保持していて、転職もしやすいこと。それによって、不満な職員は転職によって、長時間労働をしなくて良くなることなども、指摘しておられます。
日本の雇用慣行や仕事の仕方が、長時間労働・家庭を顧みない父親・企業戦士を生んでいるのですよね。これを改革するのは、容易ではありません。もっとも、前にも書きましたが、他の国でできているのですから、日本にできないはずがありません。
上司であるあなたに、明日からでもできることは、なるべく部下に残業をさせないこと。また自分の仕事を片付けたらさっさと帰ることで、見本を見せることでしょう。残業時間を自慢する上司は、それだけで失格です。それは、仕事が忙しいのではなく、無能の証明です。一時的に忙しいのは仕方がないとしても、恒常的なら、仕事のやり方の変更を考えるべきです。しかも、それで国民に役立つことをしていればいいですが、国民生活向上にあまり役立たないことをしているとすると、税金泥棒という罪も重なります。