カテゴリーアーカイブ:著作と講演

連載「公共を創る」第123回

2022年7月15日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第123回「政治参加の現状─主権者教育と地方自治」が、発行されました。国民の政府や政治に対する意識を議論しています。

民主主義国家における国民は、政府や政治に関して、政府を「信頼や失望」で評価する受動的な意識とともに、自分たちの意見を提案するなど政府を支え、必要に応じて変えていくという能動的な意識も持つことができます。ところが、日本では政治参加の意識が低く、行動も少ないのです。どのようにすれば、政治参加を増やすことができるか。
その一つが学校教育ですが、学校では民主主義の制度は学びますが、「政治的中立性」の名の下に、政治には深く立ち入らないようです。

もう一つは、地方自治です。「地方自治は民主主義の学校」とは、イギリスの政治家ジェームズ・ブライスの言葉です。その元となったのは、フランスの政治思想家アレクシ・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』です。彼は、民主主義の三つの学校を指摘しています。自由の小学校としての地方自治、法的精神の学校としての陪審(裁判参加)、共同精神の学校としてのアソシアシオン(結社)です。

人事院の初任行政研修講師2

2022年7月14日   岡本全勝

今日14日は、人事院の初任行政研修その2に行ってきました。先週4日に基調講義をした初任行政研修です。
90人の研修生たちが15班に別れて、与えられた課題を議論し、発表します。指導教官は、私のほかに2人。それぞれ5班ずつを指導します。後の二人は、被災者支援本部で一緒に苦労してくれた、福井仁史君と、辻恭介君にお願いしました。私たちは研修所(別々の部屋)ですが、研修生たちは新型コロナ対策で自宅や職場からのオンライン参加です。

各班ともよく調べてあって、論点の整理、資料の作成、発表も良くできていました。とても、入省して4か月目の新人たちとは思えない出来でした。各課題とも、正解のない問題です。他省庁の職員と集まって、議論をして、一定の結論を出す。それがこの研修の狙いです。成功でした。

市町村アカデミーで講義

2022年7月13日   岡本全勝

今日7月13日は、市町村アカデミーで講義をしました。「管理職を目指すステップアップ講座」のうち、「目標設定と職場のマネジメント」の科目です。この研修とこの科目は従来からやっているのですが、今回、担当教授から「この科目を学長がしゃべれ」との指示がありました。

この研修は「人材育成・人事管理の在り方、行政経営、リスクマネジメント等に関する講義、演習等により、管理職(所属長)になった場合に求められる能力の向上を目指します。今後、管理職(所属長相当職)として活躍が期待される課長補佐等の職員を対象とします」ものです。いくつか実施している管理職研修の一つです。

管理職に必要な能力については、いろいろ話したいとがあります。今回は2コマ分(2時間半)あったので、かなり話すことができました。いつものように、私の体験談(失敗談)を豊富に織り込みました。骨子には要点を書いて重要なことは覚えてもらうようにしました。みなさん、千葉まで研修に来られるだけあって、熱心に聞いてくださいました。
参考。このホームページに書いている「明るい課長講座」。

連載「公共を創る」第122回

2022年7月8日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第122回「行政と官僚ー信頼回復への道筋」が、発行されました。
行政への不信についての説明を続けます。
国民が行政に何を期待するかによって、行政への信頼そのものも変わります。官僚への国民の信頼の低下は、官僚機構が国民の期待に答えていないことともに、国民が官僚機構に「間違った期待」をしている面もあるようです。

すなわち、経済発展を進める時代には、官が民を指導することに効果がありました。しかし、成熟社会になった今では、官が民を指導することは効果的ではありません。国民が統治の客体という意識から主体であるということへの転換が必要であり、官僚主導から政治主導への転換です。
行政手法としては、例えば1990年代と2000年代に進められた、事前調整型から事後監視型への転換です。行政による民間活動への不透明な指導や事前調整をやめ、規制の規則を明確にして民間の自由な活動に委ねます。違反した場合や紛争が生じた場合は当事者の反論を可能にした上で、裁決や裁判など第三者を含めた公正な手続きの下で決着をつけます。行政の任務を、透明な手続きにのっとって規制の規則を定め、それへの違反を監視することに転換しようとしたものです。

例えば金融界では1990年代半ばから金融ビッグバンと呼ばれる自由化が進められました。ところが、金融機関は新しい仕組みへの移行に戸惑いました。時あたかもバブル経済の崩壊を受け、苦境に陥った金融機関がたくさんありましたが、もはや護送船団方式による救済は受けることができませんでした。長期信用を担っていた銀行をはじめ、幾つもの金融機関が倒産することになりました。

報道機関や政治家、国民による官僚たたきの中には、今なお官僚主導を期待し、それができないことへの不満があるようにも思えます。事前調整から事後監視へという改革が、行政の改革以上に国民の意識と行動の改革であることが、まだ十分に理解されていないように思えます。

今回の改革は、明治維新、戦後改革に並ぶ「第三の改革」「第三の開国」とも呼ばれます。日本が経済力で世界の先進国となったのですが、それがはじけて停滞したのが平成時代でした。30年かけても、まだ改革の道筋が立っていません。それは、前二回の改革が指導者たちが手本を輸入することで達成できたのに対し、今回の改革は国民の意識と行動を変えるものだからです。

フィリピン国会事務局研修講師

2022年7月7日   岡本全勝

今日7月7日は、フィリピン国会事務局職員研修で、政策研究大学院大学に行ってきました。
対象者は、上下両院の事務局職員たち45人です。コロナ禍で来日することができず、オンラインでの研修です。私は日本語でしゃべり、同時通訳を介します。講義骨子や投影資料は、事前に英語に翻訳してもらいました。
フィリピン政府の研修では、昨年に次官級の研修講師を務めました。「フィリピン政府次官研修の講師

今回も要望は、東日本大震災での対応についてです。フィリピンも自然災害多発地帯ですから、日本の経験には興味を持ってもらえるようです。前回の経験を基に、資料と話の内容を少々入れ替えて話しました。質問や感想がたくさん出たので、うまく伝わったということでしょう。