連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第5回「想定外が起きた─政府の役割を考える(3)試された官僚の能力」が、発行されました。
前回の被災者生活支援本部の立ち上げに続き、今回は、どのように仕事を軌道に乗せたかを説明しました。
組織を作っただけでは、仕事は進みません。誰が、何を、どのように判断し、処理するのか。その仕事の流れを作り、職員が共有しなければなりません。
一般に役所では、文書決裁規定と組織訓令で定められています。もっとも職員はそれを意識することなく、前任者から引き継いだ、また同僚や上司に教えられて、前例通りに仕事をしています。
しかし、急きょ立ち上げた支援本部は、前例がありません。規定を作る前に、試行錯誤しながら仕事の流れを作っていく必要がありました。
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連載「公共を創る」第4回
連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第4回「想定外が起きた─政府の役割を考える(2)何をするかを考える」が、発行されました。
今回は、急きょ作られた、被災者生活支援特別対策本部を立ち上げた際の苦労を紹介しました。
現地の詳しい状況と全体像が、わからない。何をしたらよいかがわからない。そのような状況で、何をするか、そのためには、どのような組織を作るか。私が考え行ったことを、整理しました。
連載「公共を創る」第3回
連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第3回「想定外が起きた─政府の役割を考える(1)東日本大震災の衝撃」が、発行されました。
今回から、本文に入ります。全体構成では、次のような位置づけになっています。
第1章 大震災の復興で考えたこと
1 想定外が起きたー政府の役割を考える
(1)東日本大震災の衝撃
第1部では、東日本大震災にの際に私が考えた「行政の役割の再考」と「町とは何か」についてお話しします。この経験が、公共と行政を考え直す具体事例になりました。それまでも、このテーマで長く考えていたのですが、身をもって体験することになったのです。そして、かねて考えていた方針を、実行することができました。
あれから、8年が経ちました。若い人たちは、詳しく知らないのですよね。で、まず今回は、大震災の概要を説明します。
連載「公共を創る」第2回
連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第2回「はじめに2 公共とは何か」が、発行されました。
今回の連載で考える「公共」について、少し説明しました。
公の対になるのは、私です。公私区分には2種類あります。1つは、官と民の区分です。もう1つは、社会・世間を公として、家庭を私とする区分です。
近代市民社会では、国家は私の分野には介入しないとされました。市場に介入しないレッセ・フェールであり、家庭には立ち入ってはならないのです。しかし、この区分が崩れました。
また、ここでは、公共を3つの次元から考えます。
1つめは主体です。公共を創るのは行政だけでなく、企業も、民間非営利団体もあります。
2つめは、機能や関係です。世間で暮らしていくには、公共サービスだけでなく、民間サービスも重要です。そして、他者とのつながりも必要です。
3つめは、場です。暮らしやすい社会は、各種の制度や人と人の関係の「束」からなる場です。上皇陛下が、在位30年記念式典で「この国の持つ民度」という言葉を使われました。
いずれにしても、私の関心は、公共を行政だけで考えるのは狭いということです。これまでの、公共政策論は、狭いのです。
連載「公共を創る」執筆の苦しみ2
「連載「公共を創る」執筆の苦しみ」の続きです。
いつものことですが、苦しんでいます。この連休も、家族との「お勤め」や、美術展巡りのほかは、原稿と格闘中です。なかなか、思うようには進みませんねえ。ほかの本に手を出したり、このホームページにしょうもないことを書いてみたり。夜は早くに寝てしまうので、朝起きたら机に向かっています。
粗々の全体構成は、できています。「部品」は、このホームページを含め、いろんなところで書きためてあります。ところが、その部品を、忘れているのです。
全体構成を眺めつつ、「あれも忘れていたな」と、書くべきことを思い出しています。また、各部品が、うまく全体構成にはまるとは限りません。力を入れて詳しく書いたのに、全体を通して読むと、不必要に長かったりします。で、せっかく書いた文章を、ばっさり削除します。その過程で、構成が変わります。
執筆には、集中が必要です。そのような時間を、作らなければなりません。それが、なかなか難しいのです。平日は仕事があり、休日は他のことに気が向きます。そしてなにより、体力と気力も必要です。若い時のように行かないことを、痛切に感じます。
少しずつ、書けるところから書いて、何度も手を入れることを繰り返しています。いつものことです。
締めきりがないと、執筆は進みません。しかし、毎週締めきりが来ることは、精神衛生上良くないです。で、いつも、なにかに追われる人生です。貧乏性です。
今回の連載も、書いた原稿を「右筆」に見てもらい、大胆に加筆してもらっています。私の文章が読みやすくなっているとするなら、右筆のおかげです。