カテゴリーアーカイブ:社会の見方

経済と国家

2008年3月10日   岡本全勝
9日の東京新聞「時代を読む」は、佐々木毅先生の「資源高騰と経済の舵取り」でした。
・・資源価格の高騰を背景にして資源を多く持つ国々が国家的ファンド(SWF)をつくり、先進国の市場に資金を大量に投入することが話題になっている。これを市場に対する「国家の復活」であるとする議論もあるが、こうした国家的ファンド自身が市場の産物であり、市場動向に基本的に依存した現象である。
・・注意すべき点は、われわれの歴史的体験と違うタイプの国家なるものが登場しつつあることである。近代化とは多くの国民が創意工夫をこらして営々と労働し、その成果を民主政治などを通して享受することであるというのが、この数世紀の人類の共通の理解であった。これに対して、富は生産されるものであるよりも、地面を「掘る」ことによって得られるというタイプの国々が台頭しつつある
・・先に述べた近代化モデルのような政治的民主化といったものへの社会的誘因は弱く、膨大な富の蓄積と権威主義体制との両立が起こりやすい
・・この資源価格高騰依存型の体制が、世界の新しいモデルになる可能性は少ない。しかし、その間、膨大な富の国際的移動が起こり、かつての先進国が相対的に富を失うことは避けられない・・そのダメージをなくすることはできないにしても、それを少なくするための賢明な方策を考えることは、今や政府の大きな課題である。

翻訳書の罪

2008年3月8日   岡本全勝

鈴木直「輸入学問の功罪」(2007年、ちくま新書)が、おもしろかったです。「輸入学問」という表題に引かれて読んだのですが、内容は「思想・哲学の翻訳書はなぜ読みにくいか」、特にかつて教養とされた、ドイツ哲学についてです。
カント、ヘーゲル、マルクス、ウエーバー・・、学生時代に挫折した記憶があります。当時は、理解できない自分、あるいは読み続けることができない自分が、恥ずかしかったです。先輩たちはすごいんだなあと、思っていました。
その後、「どうも、訳がおかしいのではないか」と思い始めました。2005年に、トクヴィル「アメリカのデモクラシー」の新訳が出て、自信を深めました。学生時代に線を引きながら読んだ講談社文庫は、読みにくかったです。新訳は読みやすいです。
鈴木さんの本では、資本論とカントについて、これまでの訳文を並べて比較してあります。古典とも言える岩波文庫などの訳が、とんでもない訳であることがわかります。日本語になっていないのですよね。
しかも、当時の大御所は、わかりやすい訳を徹底的に攻撃するのです。どうして、そのようなことになったのか。117ページあたりに、社会的背景が分析されています。
・・新政府のリーダーたちの多くが、地方雄藩の下級士族の出身であった。彼らは、上級士族はもちろん、江戸下町の庶民より、無教養であった。この新支配層が威光を放ち、庶民の敬意を勝ち取るために、外国語の知識や文明の利器ほど、好都合なものはなかった。文明開化は、新支配層の文化的コンプレックスを糊塗する、絶好のアクセサリーとしても機能した。
翻訳文化と外国語教育が、国家エリート選抜のための高等教育に囲い込まれることによって、実際の経済社会から切り離された。この卒業生が支配層に移行し、輸入学問は官尊民卑を正当化するステータス・シンボルになった・・
納得します。

民間の力、競争

2008年3月8日   岡本全勝

桜の季節が近づき、開花予想が出ています。8日の朝日新聞夕刊は、「開花予想競う官民」として、気象庁、日本気象協会、ウェザーニューズの三者の競争を、取り上げていました。気象業務が民間に開放され、こんなサービスも進みました。良いことですよね。

消費税導入

2008年3月8日   岡本全勝

8日の朝日新聞変転経済は、「消費税導入」でした。大平内閣の一般消費税構想が1978年、中曽根内閣の売上税法案が87年、消費税法成立が88年。もう、20年も経つのですね。

日本の停滞、イギリスの見立て

2008年2月27日   岡本全勝
2月27日の日経新聞に、イギリス・エコノミスト誌の特集記事が、紹介されていました。「なぜ日本は失敗し続けるのか」です。
「・・日本経済が回復できないのは、改革の歩みを止めた自民党、党内の意思統一ができない民主党など「政治家」が元凶だと指摘した・・日本停滞の責任の一端は増益を記録しながら賃金を引き上げない企業にもあると指摘。改正建築基準法による住宅着工大幅減など官僚の失敗にも言及した・・」
20年以上前だったら、イギリスに、このような見立てをしてもらうことは、あり得なかったですね。「老大国」と言われたイギリスの復活が、うらやましいです。