カテゴリーアーカイブ:社会の見方

陸地が正しく表示される世界地図

2016年11月25日   岡本全勝

オーサグラフって、ご存じですか。陸地の面積比と形状をほぼ正確に表記し、かつ海を分割することなく矩形の平面に収めた世界地図です。
これは優れものですね。ふだん見慣れている世界地図は、東西と南北は正しいのですが、面積が北に行くほど広くなっています。この地図だと、カナダがアメリカに比べてそんなに大きくなく、グリーンランドもオーストラリアより小さいことがわかります。もっとも、東西南北や海の広さが不正確になります。

グローバル化への反乱、シュトレークさん

2016年11月25日   岡本全勝

11月22日の朝日新聞オピニオン欄、ヴォルフガング・シュトレーク(ドイツの社会学者)さんの「グローバル化への反乱。自由市場の拡大、成長阻む格差生み国家は形骸化」から。
・・・私たちが目にしてきた形のグローバル化が、終わりを迎えようとしているのかもしれません。自由貿易協定も、開かれすぎた国境も、過去のものとなるでしょう。
米大統領選はグローバル化の敗者による反乱でした。国を開くことが、特定のエリートだけでなく全体の利益になるというイデオロギーへの反乱です。そのような敗者たちはさげすまれ、政治からいずれ離れるというエリートたちの楽観は、一気にしぼみました・・・格差の広がりは、自由市場の拡大がもたらした当然の結果です。国際競争で生き残る、という旗印のもと、それぞれの国家は市場に従属するようになりました。政府が労働者や産業を守ることが難しくなったのです・・・

・・・低成長を放置すれば、分配をめぐる衝突に発展しかねません。それを回避し、人々を黙らせておくために、様々なマネーの魔法によって「時間かせぎ」をしてきた、というのが私の見方です。
分水嶺が70年代でした。まずはインフレで見かけの所得を増やしました。それが80年ごろに行き詰まると、政府債務を膨らませてしのいだ。財政再建が求められた90年代以降は、家計に借金を負わせました。その末路が2008年の金融危機です。今は中央銀行によるマネーの供給に頼りきりです。いずれも、先駆けたのは米国でした。「時間かせぎ」の間に、危機は深刻さを増しています。
大きな傾向は日米欧とも同じですが、停滞を真っ先に経験したのが日本でした。日本では長期雇用と年功賃金制が社会の安定の源でした。80年代以降、企業が競争力を失っても、政府の支えのもと銀行が融資を続けたのは、長期雇用に手をつけて「内戦」になるのを避けるためです。その結果が不良債権問題であり、長期停滞です。賃金は上がらず、非正規雇用へのシフトが進みました・・・
ごく一部を紹介しました。原文をお読みください。

新聞への信頼の低下、アメリカ大統領選挙

2016年11月24日   岡本全勝

11月15日の朝日新聞国際欄「旧来メディア 問われる役割」の続きです。今回は新聞についてです。
・・・全米の新聞は、圧倒的に「反トランプ」だった。だが既存政治に不満を抱える有権者には響かなかった。
米国では新聞社が社説で候補を推薦する伝統がある。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のまとめによると、全米で部数が最も多い100紙のうち、57がクリントン氏を推したのに対し、トランプ氏は2紙だけ。リバタリアン党のジョンソン氏を推薦した4紙よりも少なかった・・・
・・・経営不振が続く米メディアの構造的な問題もある。
メディア研究などを手がける、ハーバード大学のショレスタイン・センターのニッコ・ミリ所長は10日にウエッブサイトで、米メディアの記者のうち5人に1人がニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルスの3都市に勤務していると指摘した。対照的に、50州中21州では連邦議会を専門に担当している記者を置く新聞が1紙もないという。
記者が暮らしの現場から離れる一方、数多くの州では政府で何が行われているのか、市民が知る方法がなくなっているとの分析だ。
大手メディアの本社は大都市部に集中する。トランプ支持者の「エリート」「エスタブリッシュメント(既得権層)」批判は、メディアにも重ねられた。
ギャラップ社の今年の調査によると、「メディアを信用する」と答えた人は過去最低の水準で、特に共和党支持者では14%に急落した・・・
原文をお読みください。

「テレビとジャーナリズムは違う」、アメリカ大統領選挙

2016年11月23日   岡本全勝

11月15日の朝日新聞国際欄「旧来メディア 問われる役割」から。
・・・トランプ大統領という「怪物」を生みだしたのはメディアだった。過激な発言をひっきりなしに取り上げたあげく、その本人に「最も腐敗した既得権層」と敵視され、切り捨てられた・・・という書き出しで、次のようなことが書かれています。
過激な発言を繰り返す実業家は、昨年6月の立候補表明直後から、高い視聴率を稼げる「キラーコンテンツ」になった。今回の選挙で、トランプ氏がメディアを通じて得られた宣伝効果は50億ドルに相当するという試算もある。特にケーブルテレビのCNNは、トランプ氏の会見や集会の中継を続けた。CNNのテレビとデジタルをあわせた広告収入は通常の選挙の年よりも1億ドル増える見通しという。
・・・ワシントン・ポスト紙のメディア担当、マーガレット・サリバン氏は10月のコラムで、(CNNの社長)ザッカー氏についてトランプ氏を躍進させた1人だと指摘。「テレビ局の幹部が視聴率と利益を目指すのは当然だ。しかし、ジャーナリズムは違うのではないか」と批判した。ザッカー氏も10月の講演で「トランプ氏の集会をそのまま放送したのは間違いだったかもしれない」と認めた・・・

近代世界システムの危機、ウォーラーステイン教授

2016年11月13日   岡本全勝

11月11日の朝日新聞オピニオン欄は、世界システム論で有名なイマニュエル・ウォーラーステイン氏の「トランプ大統領と世界 覇権衰えた米国、衝撃は国内どまり。構造的危機の時代」でした。

アメリカ大統領選挙結果について
・・・個人的には、結果を聞いて驚き、失望しました。一方で、分析的な視点に立つと、この選挙の影響については一言で表現できます。米国内には大きなインパクトがありますが、世界にはほとんどないでしょう・・・
・・・しかし、世界に目を向けると、トランプ大統領の誕生は決して大きな意味を持ちません。米国のヘゲモニー(覇権)の衰退自体は50年前から進んできた現象ですから、決して新しい出来事ではない。米国が思いのままに世界を動かせたのは、1945年からせいぜい1970年ぐらいまでの間に過ぎず、その頃のような力を簡単に取り戻すことはできません・・・

「グローバル化の影響が出ているのではないですか」との問に。
・・・私はグローバリゼーションという言葉に懐疑的です。物と人と資本がより簡単に行き来するために障壁をなくす、という状態を指しているのであれば、それは500年前から続いてきたことです。流れによって利益を得る時は皆が開放的になりますが、下向きになると保護主義的になるという循環が繰り返されてきました。最近は、この上向きのサイクルのことをグローバリゼーションと呼んでいますが、すでにスローガンとしての価値はなくなりつつある・・・現在の近代世界システムは構造的な危機にあります。はっきりしていることは、現行のシステムを今後も長期にわたって続けることはできず、全く新しいシステムに向かう分岐点に私たちはいる、ということです・・・

・・・新しいシステムがどんなものになるか、私たちは知るすべを持ちません。国家と国家間関係からなる現在のような姿になるかどうかすら、分からない。現在の近代世界システムが生まれる以前には、そんなものは存在していなかったのですから。
その当時もやはり、15世紀半ばから17世紀半ばまで、約200年間にわたるシステムの構造的危機の時代がありました。結局、資本主義経済からなる現在の世界システムが作り出されましたが、当時の人がテーブルを囲んで話し合ったとして、1900年代の世界を予測することができたでしょうか。それと同じで、西暦2150年の世界を現在、予想することはできません。搾取がはびこる階層社会的な負の資本主義にもなり得るし、過去に存在しなかったような平等で民主主義的な世界システムができる可能性もある・・・原文をお読みください。