倉本一宏著『蘇我氏―古代豪族の興亡』(2015年、中公新書)が、興味深かったです。蘇我馬子が権勢をふるい、蝦夷と入鹿が大化の改新で滅ぼされたことは、皆さん学校で習いましたよね。
しかし、この本によると、大化の改新後も、蘇我氏は有力豪族として生き残ったのです。改新後、蘇我倉山田石川麻呂が力を持ったことは知っていましたが、本宗家が滅んだあとも、別家が力を持ちます。天皇家は引き続き、蘇我氏と姻戚関係にあり、多くの皇子が蘇我氏の血を引き継いでいます。天皇家も、それを意識した婚姻を続けます。それだけ、蘇我氏の地位は高かったのです。それに反発したのが、蘇我氏の血の入っていない中大兄皇子です。
奈良時代に入っても、蘇我氏の血を引く多くの皇子がいました。しかし、その地位を藤原氏に奪われてしまします。天皇家との婚姻による権力者の地位を、藤原氏が引き継ぐのです。ただし、藤原氏にも蘇我氏の血は入っています。藤原不比等の妻に蘇我氏の娘が入っていて、武智麻呂、房前、宇合を生みます。そして、房前の藤原北家が最も栄えます。没落した蘇我氏は、平安時代にどうなったのか。この本をお読みください。
私の生まれ育った明日香村大字岡は、入鹿が首をはねられた板葺宮跡があり、発掘されて公園になっています。私は、ここでカエルを捕っていました。小学校の隣には、馬子の墓といわれる石舞台古墳があり、その上に登って紙飛行機を飛ばしていました。大きな石組みですが、東側(羨道から見て右側)から登ると、簡単でした。現在は、石の上に登ることは禁止されています。
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お坊さんの手配手数料
12月26日の朝日新聞に、「お坊さんネット手配「中止を」 アマゾンに仏教会要請へ」という記事が載っていました。
・・・ネット通販大手のアマゾンジャパンで申し込むことができる僧侶の手配サービスが始まった。このサービスが「宗教行為を商品化している」として、全国の主要宗派などでつくる全日本仏教会(全仏)が年明け、米アマゾン本社に対して文書でサイト掲載の中止を申し入れることが分かった・・・
詳しくは原文をお読みください。宗教は商品としての扱いになじまない、というのが理由のようです。他方で、お坊さんの読経が、金銭の授受によって行われていることも事実です。その宗教行為が無料で行われれば、どうなるのでしょうか。商業としては成り立たないけれども、非営利活動としては「斡旋」が成り立つのでしょうね。対象となる宗教行為が有料でも、斡旋が無料ならどうでしょうか。
今年は読売新聞
民主政には中産階級が不可欠
12月20日の日経新聞「日曜に考える」は、塩野七生さんの「揺れる世界と政治 リーダーの条件とは」でした。
「古代ギリシャ人はまさに民主政の創始者です」との問に対して。
・・・結局、市民社会、市民階級がないところには民主政は成り立たない。そのことは現代でも立証されています。持てる力を可能な限り活用するために生まれたのがアテネの民主政であって、やはり中産階級が重要な役割を担ってきた・・・
「欧州以外はどうでしょうか」との問には。
・・・イスラム世界は中産階級をついに作れなかった。それが民主政が成り立たず、社会が安定しない原因でもある。商人階級は作りました。北アフリカのイスラム世界はサハラの黄金を売っていた。今ならばオイルです。原料を輸出する側はそれだけでもうかる。工業製品を輸出する側は、例えばフィレンツェやベネチアだったら繊維業で、色を付ける、織るなどの過程がある。その人たちに職を与えることになった。
イスラム世界は人々に高学歴を与えることはできた。しかし今なお高学歴にふさわしい職場を作れていない。だから軍隊とかバース党(アラブ主義政党)のような所に貧しい秀才が流れてしまうのです・・・
原文をお読みください。
ビル・ゲイツ講演会
今日15日午後は、ビル・ゲイツさんの講演を聴きに、朝日新聞本社まで行ってきました。彼と奥さんがやっている社会貢献は、有名です。前座に、日本の社会起業家がそれぞれの説明をして、理解と寄付の協力を求めていました。それぞれに、難しい課題に挑戦しています。例えば、フローレンスの赤ちゃん虐待防止。
彼らの社会への貢献を聞いていて、行政の役割を考えていました。行政や政治に、もっとできること、なすべきことがあるのではないかと。