カテゴリーアーカイブ:社会の見方

企業の復興CSR、意識調査

2017年4月22日   岡本全勝

4月20日の河北新報が、「復興CSR89%意欲」を伝えていました。企業の意識調査結果です。
・・・東日本大震災の復興支援で活発に展開されたCSR(企業の社会的責任)活動について、河北新報社は仙台経済同友会(仙台市)と公益社団法人経済同友会(東京)の協力を得て、企業意識調査を実施した。復興支援を実践した企業は全体の9割で、このうち被災地との関係を続けたいとの回答は89.2%に上った。復興支援を自社が取り組む長期的な課題と位置付ける姿勢がうかがえた。
復興支援に関わった企業は仙台82.3%、東京94.9%。被災企業が多い仙台に比べ、震災前からCSRの態勢を整えていた大企業が多い東京が目立った。このうち、現在も支援を継続する企業は72.5%(仙台67.7%、東京76.0%)だった・・・

CSRへの影響は、「被災地との関係強化」「ブランド価値向上」のほか、「従業員の忠誠心・会社への一体感」や「企業理念の再確認」をあげる企業もあります。理念を述べるだけでなく、体を動かすことで社員に浸透すると思います。震災でCSRへの意識が変わったという企業が半数あります。社会との関わりを強められるという企業が多いです。
CSRを推進するために必要なことは、従業員や株主の理解とともに、自治体・NPOとの連携、コーディネーターの存在もあげられています。「解説記事」「解説2」、調査結果と方法は紙面p5に載っています。

企業は近年、CSRに力を入れるようになりました。平時の活動は目立たないのですが、災害支援になると役割が大きくなり、注目されるとともに企業にも効果があるのでしょう。原文をお読みください。

日本の社会システムの改革

2017年4月19日   岡本全勝

4月18日の日経新聞「東電改革、何が必要か」で、冨山和彦さんが、次のように述べておられます。
・・・国鉄の分割・民営化から今年はちょうど30年だ。この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた。国鉄やNTTの民営化、金融制度改革、そして電力改革と農業改革が恐らく最後の産業社会システムの転換点になる。大手製造業など日本企業が経験してきたことだが、東電の形もこれまでと大きく変わることになるだろう。
6月の株主総会で東電の社外取締役に就く。日本航空の再生にも携わったが、東電との共通点は多い。ともに規制に守られた独占企業で、顧客より監督官庁や政界、経済界の方を向いて仕事をしてきたという点だ。
それが競争を意識しなければならない時代に変わった。かつての東電からすれば、コペルニクス的転回だろう・・・

「この30年間は日本の停滞期で、高度経済成長を支えたシステムが次々に耐用期限を迎えてきた」という見方に同感です。それは、ここに挙げられた企業や経営モデルだけでなく、政治行政を含めた日本社会の転換点でした。
日本の成功の大きな要因は、明治維新以来の西欧をお手本とした追いつけ追い越せ主義、戦後の国内という守られた範囲での競争でした。この国内条件とともに、アジア各国が追いかけてこないという国際条件の下で、経済成長、安定した社会をつくることに成功しました。
しかし、西欧に追いついたとき、国際化の波にのまれたとき、アジアが追いかけてきたときに、これらの条件はなくなったのです。
それに適応するための改革に、時間がかかりました。金融自由化で金融制度改革が必要になりました。独占企業であると思われていた、国鉄、電電公社とともに、電力会社も競争の世界に入ったのです。
また、まだ改革途中のものもあります。その一つが政治と行政であると、私は考えています。

日米経済摩擦の歴史

2017年4月17日   岡本全勝

4月14日の日経新聞の経済教室に、細川昌彦・中部大学特任教授が「日米経済対話の焦点 WTOの補強主眼に」を書いておられます。内容は、記事を読んでいただくとして。「世界の通商システムの変遷」という、日米間協議と多国間協議の年表がついています。
1981年からの日米間の経済摩擦、自動車などの自主規制、半導体協定、構造協議など、若い人は知らないであろう衝突と克服の歴史が載っています。
もっとも、この年表だけでは、経緯や内容、その影響はわからないので、別途その解説が欲しいですね。

この歴史を見ると、製造業の競争力を失うアメリカに対し、日本が安くて優秀な労働力と優れた技術で攻め込む構図でした。しかし今や、日本を追いかけてきたアジア各国がかつての日本の立場にあり、日本は当時のアメリカのように守勢に立っています。
さて、このあと日本の産業は、どのような道を歩むのか。今までの路線は続かないこと、アメリカのまねは難しいことは明白です。第三の道を探さなければなりません。

プロテスタンティズム

2017年4月17日   岡本全勝

深井智朗著『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』(2017年、中公新書)が勉強になりました。
ルターが、1517年にキリスト教の宗教改革を始めて、今年で500年です。宗教改革は歴史で習います。この本は、そのプロテスタントの始まりから、その後の社会での位置づけや果たした機能を解説しています。ルターの改革の呼びかけが、政治に利用されたこと、それを受け入れるだけの社会の変化があったこと。
その後のプロテスタントの中で、大きく2つの流れがあること。一つは政治と一体となった支配者の教会(ドイツやイギリス国教会)であり、もう一つは政治とは距離を置く自発的結社としての教会(ピューリタンなど)です。そして、前者は保守としてのプロテスタントに、後者はリベラルとしてのプロテスタントとなります。

そのほかまだまだ、なるほどと思うことが書かれています。プロテスタントと西欧政治の関係、プロテスタントから見た西欧社会の文化人類学ともいうべき分析です。
マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」は有名ですが、それよりはるかに、政治や社会の分析に成功していると思います。しかも、読みやすいです。お勧めです。

企業の従業員によるボランティア活動

2017年4月17日   岡本全勝

「企業ボランティア・アワード」って、ご存じですか。
東京ボランティア・市民活動センターが行っている事業で、「都内の企業で働いている人たちによる非営利団体でのボランティア活動を表彰し、広く社会に広報することによって、企業人のボランティア活動への参加や企業と非営利団体の協働を促進することを目的とした事業」です。このほど、第2回の受賞企業が発表されました。
どのような企業のボランティア活動が受賞したかは、それぞれの紹介を見てください。

ここでは、MS&AD インシュアランス グループ(三井住友海上火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険)の「世界の子どもたちへ編み物作品を贈ろう」プロジェクトを紹介します。読んでいただくとわかるように、従業員たちが始めた編み物を送る支援は、企業の枠を越えて、編み手のボランティア、その人たちとの連携、輸送など、たくさんの人と企業を巻き込んだ活動になっています。

個人ボランティアでは、限界があります。その人たちをどのように束ねるか。連携や協同が重要です。企業ボランティアは、組織と継続性があるので、期待できますね。